Battlefield
ツヴァイヘンダーの全長は2メートルほどあり、マラーニャの身長よりも長いと思われる。
本来は、その重さ故に両手持ちの武器だと言われているが、彼女は片手で難なく操れるため、重量はハンデになっていないらしい。
「こいつはアタイが鍛え上げた特注品だ。西洋の武器は切れ味を軽視しがちだけど、日本刀に引けを取らないほどスパッと切れんだぜ。試してみる~?」
「前置きはいいから、早く掛かって来い」
「じゃあ遠慮なく行くぜっ!」
マラーニャは前方に大きく跳び上がると、上段の構えから剣を振り下ろし、コールダスクの頭を叩き割ろうとする。
その攻撃を彼は後ろへステップして回避すると、今度は壁を三角飛びしてマラーニャの背後に回った。
「チッ! 曲芸師みたいなことすんじゃねぇ!」
マラーニャは振り向き様に剣を横へ薙いだが、そこにコールダスクの姿はなく、気が付くと彼は頭上に飛んでいた。
「たあああぁぁぁ―――!」
コールダスクは日本刀を縦に斬り下ろしたが、マラーニャの神懸かり的な反応速度で、攻撃を剣で防がれてしまう。
その衝撃でコールダスクは後方へ吹き飛ばされたが、体を回転させながら床へ上手く着地した。
(凄まじい反応の速さだ……やはり物理的な攻撃で刺客に対抗するのは厳しいか)
互いに睨み合いながら、コールダスクは頭の中で懸命に作戦を練る。
「そういやテメェは、四大元素の一つって言われる『土』の力を授かったんだよな。他の三つはどうした?」
「……まだ教えられてない」
「そうなんだ~。じゃあこれ知ってるぅ?」
マラーニャはツヴァイヘンダーに手をかざすと、刀身に炎を纏わせた。
「……なっ!」
「キャハハハ! こいつでテメェの全身をこんがり焼いてやるぜ」
そう言うと、マラーニャは床を蹴って前方へ飛び出し、炎を纏わせた剣を横へ振り払った。
コールダスクは、その場で跳び上がって振り払われた剣を避けたが、炎が生き物のように全身を包み、あまりの熱さで床を転げ回ってしまう。
また、手で衣服に着火した火を消そうとするも、なかなか消えないため、すぐに衣服を脱ぎ棄てTシャツ一枚になる。
「どうだ? この炎はしつこいぜ~。相手を燃やし尽くすまで、執拗に追い掛けてくれるんだもんね」
「おまえの性格が粘着質だから、原初の力まで粘着質になるのか?」
「うっせぇうっせぇ! 本人の目の前で堂々と悪口言うんじゃねぇよ。これでも繊細な乙女なんだから!」
マラーニャは怒りながら、再び刀身に炎を纏わせる。
「コールちゃんにはキッツイお仕置きが必要だね! 今度はもっと濃厚な炎で焼いてあげるから」
そして、炎を纏わせた剣を頭上でクルクルと回すと、天井にまで届くような巨大な炎の円が現れ、それをコールダスクに向かって投げ飛ばす。
日本刀で防げるような大きさではないため、誰もが万事休すだと思ったが、何故か彼は冷静にその場を動かないでいた。
「どうやら諦めたようだね……死ねや!」
――勝利を確信したマラーニャだったが、次の瞬間、ドォン! と音がして後方へ吹き飛ばされてしまう。
どうやらコールダスクが衝撃波を放ち、すべての炎をかき消したらしい。
「ゲ……ゲホッ……」
後方へ飛ばされたマラーニャは、壁に激突した後に衝撃波をモロに受けてしまい、甚大なダメージが体に蓄積された様子である。
「やはり、最後は原初の力で対抗するしかないってことだな。おまえたち刺客は物理的な攻撃が効かないから、衝撃波で倒すのが一番手っ取り早い」
「ち、ちくしょう……アタイより原初の力が強いってのはどういうことなの? 覚えたてのド素人のクセにさ」
マラーニャは苦しそうに立ち上がると、ツヴァイベンダーを肩に乗せて、再びコールダスクと睨み合う。
「アタイはまだ負けてないよ、さあ! もう一戦やろうじゃねぇか!」




