Death Match
マラーニャは垂らした糸を指先で操りながら、渦を巻くようにクルクルと回して見せる。
そして、渦を巻いた糸が高速で回転しながら、矢のように飛んでコールダスクに襲い掛かった。
糸が不規則に動き回るため、日本刀で斬り落とそうにも狙いが定まらない。
「鬱陶しい攻撃すんな!」
コールダスクは日本刀を十字に斬り払うと、何本かの糸は動きを止めて床に落ちたが、後続の糸が攻撃の手を緩めず、刀身に巻き付いて離れなくなってしまう。
日本刀が使い物にならなくなったため、彼はホルスターからリボルバーを取り出し、マラーニャに向かって何発か発砲した。
マラーニャは即座に大きく飛び上がって、銃弾を辛うじて躱す。
「テメェ! 飛び道具を使うんじゃねぇよ!」
「おまえだって飛び道具を使ってるだろ! お互い様だ!」
腹を立てたのか、マラーニャは近くの壁を蹴って前方へ飛び出すと、大きく振り被りながら大量の糸を指先から吐き出し、投網のような形を作ってコールダスクを捕縛しようとした。
目の前に巨大な投網が現れたため、彼は横跳びして躱そうとしたが、運悪く足に巻き付いて床に倒れてしまう。
だが、その横から門脇がファルシオンで投網の一部分を切り裂き、コールダスクは緩んだ網を解いてなんとか脱出する。
「あ~ん、やっぱり1対2は卑怯だよぉぉぉ。そのオッサンが邪魔するなら、カワイイ子供たちの相手をしてもらうからね!」
マラーニャがそう言うと、ゴシック調の服を着た子供たちが三人ほど奥の部屋から現れた。
「さあ行きな、冥府の吾子たち! あのオッサンを血祭りに上げるんだよ!」
命令された子供たちは、一斉に門脇へ襲い掛かる。
手にする武器はダガーやハルバードと多岐にわたるため、門脇は対応し切れずに防戦一方となる。
「くそっ! こいつはキリがねぇ」
「門脇さん、俺も応戦します!」
コールダスクは門脇をサポートするため、子供たちの背後に回ってリボルバーを何発か撃つ。
自分への注意が逸れたためか、マラーニャは再び巨大な網を作って、コールダスクに向かって投げ飛ばした。
「捕まえてやるからっ!」
油断したのか、投網はコールダスクの全身を覆い、身動きできなくしてしまう。
「しまった!」
「キャハハハ! そいつを刺し殺しちまいな!」
子供たちは動けなくなったコールダスクに気が付き、攻撃のターゲットを変更する。
幸いなことに、今度は門脇が自由に動けるようになったため、ショットガンを取り出して背後から子供の二人を撃った。
だが、もう一人は被弾せずに、手にしたハルバードでコールダスクの腹部を突き刺す。
「ぐはっ!」
コールダスクは痛みで膝から崩れ落ちるも、なんとか耐えてハルバードの柄を握った。
「残念だったな……切っ先が内臓にまで達してないぞ」
そう言うと、ハルバードの先端を腹部から引き抜き、持っていたリボルバーで子供の頭を撃ち抜いた。
その様子を見て、マラーニャは首を傾げる。
「あれ……? どうして死なねぇんだよ。さすがのテメェでも、今の一撃は致命傷だろ」
コールダスクは立ち上がり、今の質問に答えようとする。
「地脈のエネルギーを体内に溜めたんだ。どうやら身体の防御力が少しだけ上がったらしい」
「はあ!? そんなやり方を何処で覚えたんだぁ?」
「原初の力は、あらゆる物質に宿らせることができるんだ。オリジナルのアイデアってヤツだよ」
「ケッ! 冷めるわ。都合が良過ぎんだろ、そいつはよ」
マラーニャは壁に埋め込まれた人間の一人を、悔しそうに蹴飛ばした。
「もう伏兵はいないようだな……そんなに卑怯だと言うなら、俺とサシで勝負しようじゃないか」
「ほう、ようやく面白い遊びができそうじゃん。それを早く言えよ!」
マラーニャは興奮しながら、自分の愛刀であるツヴァイヘンダーを取り出し、片手で軽々と振り回した。




