表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MEMOVERUS ~幻異界転生~  作者: 中島 弓夜
第六章 コールダスク 18歳
83/146

Healer

「門脇さん!」


コールダスクは倒れている門脇に駆け寄り、負傷しているか確かめた。

予想した通り、腹部に深い傷を負っているため、溢れ出た大量の血が床を染めている。

「七奈美さん、治せそう?」

「ええ、やってみる」

七奈美は門脇に向かって手をかざし、過去を書き換えて傷を治そうと試みた。

「後数分遅れてたら危なかった……もう大丈夫だから」

七奈美がそう言うと、門脇の目が開いてその場で立ち上がった。

「俺ぁ……一体? そ、そうだ、あのガキに襲われたんだよな」

「そいつはもう倒しました。原生種に寄生された子供だったようです」

「おう、さすがだなコール! あの野郎、あまりにすばしっこい動きだから往生したぜ」

コールダスクは門脇に背中をバンバンと叩かれたが、急に痛みを覚えてその場で(うずくま)ってしまう。

「ど、どうしたんだよ、おい!」

「いや……さっきあの子供に脇腹を斬られたっス」

見ると、コールダスクの脇腹から血が流れていた。

だが、回復を担う七奈美も何故か気を失っており、どちらも瀕死(ひんし)の状態である。

「大丈夫かよ、お二人さん! ちくしょう、まずはコールから応急手当をしないとな」

門脇は背負っていたボストンバッグから医療用具を取り出し、コールダスクの傷口を()おうとした。


「ま、待って!私が治します」


その時、門脇は背後から七奈美に呼び止められたため、応急措置の手を止める。

「七奈美ちゃん、大丈夫か? さっきまで気を失ってたんだぜ」

「ええ……この過去を書き換える力は日によって調子が違うみたい。今日はもの凄く疲れた感じで、急に意識を失ったの」

「そ、そうか。じゃあコールを治すのも辛いんじゃないのか?」

「大丈夫、やってみせます」

七奈美はコールダスクに向かって手をかざし、過去を書き換えて脇腹の傷を治そうとする。

すると、今まで流れていた血が自然と止まった。

「助かった、ありがとう七奈美さん。けっこう血が流れ出たから、俺も意識を失いそうになったよ」

しかし二人が安心したのも束の間、今度は七奈美がその場で倒れてしまう。

「くそっ! 言わんこっちゃねぇぜ!」

「凄い量の汗だ……しばらく何処かの部屋で休ませよう」

コールダスクは七奈美を抱き上げると、同じ階にある休憩所へ向かい、そこの長椅子に彼女を寝かせた。


「……これからどうするよ、コール?」

「俺たちだけで行動しましょう。七奈美さんは、これ以上一緒に行動するのは無理だと思う」

「そうだな、まずは53階へ行こうぜ」


二人は七奈美を休憩室に残し、外から部屋の鍵を掛ける。

そして先ほどのホールへ戻り、階段を使って53階へと駆け上がった。


53階は誰もいる様子がなく、物音一つ聞こえない。

あるのは生活感のない役員室ばかりで、受付の人間も姿を消していた。

「この階は静かだな……原生種が襲って来る気配もなさそうだ」

「やはり高田が原生種の動きを抑えているみたいですね。だけど、人間に寄生したものだけは見逃しているのかも」

「なるほど、じゃあ油断はできねぇな」

二人は武器を構えて慎重に進むと、廊下の突き当りにエレベーターを発見する。

「これって、50階と(つな)がってる専用エレベーターですよね?」

「ああ、そうみたいだな」

「じゃあ、ここから55階まで一気に登りましょう。今度は七奈美さんもいないし」

「うえ、オッサンの体にはキツイぜ」

門脇は渋い表情を浮かべたが、背に腹は代えられないので、コールダスクの提案に乗ることにする。

だが、エレベーターの扉をこじ開けて中を見ると、何故かエレベーターのワイヤーロープが切断されていた。

「ちくしょう! マラーニャの野郎、上で切断しやがったな」

「これじゃあ登れないな……どうしよう」

コールダスクはその場で頭を抱えたが、しばらく考え込むと、あるアイデアが思い浮かんだ。


「そうだ、天井を壊して登るってのはどうっスか?」

「はあ? どうやるんだよ」

「俺の衝撃波でぶっ壊します」


コールダスクは天井を見上げながら、床を力強く踏んで地脈の流れを掴もうとする。

そして十分なエネルギーを体内に貯めた後、日本刀を素早く引き抜き、天井目掛けて衝撃波を放った。


ドォォォン!


凄まじい音と共に天井が崩れ落ち、54階へと通じる巨大な穴が姿を現した。

「やったぜ! 待ってろ、ワイヤーガンを撃ってやるからな」

門脇はボストンバッグからワイヤーガンを取り出し、54階に向かって射出した。

「これで登れそうだ」

「行きましょうか門脇さん」

「ちょっと、私を置いて行かないで!」


二人が54階へ登ろうとしたその時、突然、背後から七奈美の声が聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ