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MEMOVERUS ~幻異界転生~  作者: 中島 弓夜
第六章 コールダスク 18歳
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Someone's Stooge

(子供が何故……?)


コールダスクは日本刀を正眼に構えて相手の出方を待つ。

すると、死人のような子供は懐から何本かのクナイを取り出し、コールダスク目掛けて投げ飛ばした。

飛んで来たクナイを避けずに日本刀で弾き落としたが、その隙を突いて、相手はコールダスクの懐に入り込む。

(は、速いっ!)

先ほどのパントマイムのような動作とは違い、あまりに俊敏(しゅんびん)な動きに切り替わったので、コールダスクは横跳びして子供の攻撃を(かわ)した。

見ると、子供の手には武器のファルシオンが握られている。

「ぐはっ!」

攻撃を躱したと思ったが、脇腹を(わず)かに斬られていたため、コールダスクは痛みで(うずくま)ってしまう。

だが、子供は追撃の手を緩めず、地面を蹴って加速しながら襲い掛かって来た。


ガキィィィン!


子供はファルシオンを縦に斬り下ろし、コールダスクの頭を割ろうとしたが、寸でのところで日本刀を使って弾き返した。

だが、凄まじく重い一撃だったため、腕がビリビリと痙攣(けいれん)してしばらく力が入らなくなる。

(あの小さい体で、何処からこんな力が生み出せるんだ?)

可愛らしい見た目に騙されそうだが、子供の戦闘スキルは手練(てだ)れの暗殺者に匹敵(ひってき)し、少しでも気が緩めば、首を簡単に斬り飛ばされてしまう可能性がある。

コールダスクは腕の痙攣を誤魔化(ごまか)しながら、再び日本刀の(つか)を力強く握った。

(原初の力を使うしかない。相手は子供だが……油断したらすぐにやられてしまう)

……それに、倒れている門脇のことも気になる。

早く決着をつけるため、コールダスクは修業の成果をここで試すことにした。


ドン!


コールダスクは床を力強く踏み、地脈の流れを足元から(つか)もうとする。

だが、ここは高層階にある場所なので、衝撃波を放つには相応の時間が掛かりそうだ。

そんな状況を逃すはずもなく、動きの止まったコールダスクに子供が襲い掛かる。


「キィエエエエエ!」


子供は奇声を上げながらファルシオンを横に振り払い、コールダスクの首を切り落とそうとした。

その攻撃に対し、彼は日本刀を縦に構えてファルシオンを受け止め、しばらくジリジリと鍔迫(つばぜ)り合いをしたが、力勝負なので子供の方が根負けする。

やがて不利だと思ったのか、子供は日本刀を弾いて後ろへ下がった。

(やはり衝撃波を放つまで待ってくれないか……ではこれならどうする?)

コールダスクは日本刀の刀身に原初の力を(まと)わせ、正面からの勝負を挑んだ。

少しだけ威力の上がった日本刀は、何度も斬り合いを行う内に、徐々にファルシオンに刃毀(はこぼ)れを起こさせる。


「たあああぁぁぁ―――っ!」


そして、ついにコールダスクはファルシオンを真っ二つに折り、その衝撃で子供は後方へと吹き飛ばされた。

……すると子供は涙目になり、許しを()うような態度を見せる。

(終わったな……さすがにこれ以上戦うのは無理だろ)

コールダスクは日本刀を鞘に納め、子供に背を向けて門脇のいる場所へ向かおうとする。

「コール、後ろっ!」

油断したコールダスクに、子供はクナイを手にして突き刺そうとしたが、横跳びして攻撃を躱すと、彼は日本刀の鞘でクナイを叩き落とした。

もはや手段がなくなったのか、子供はコールダスクの肩へ噛み付こうとしたが、その奇襲をもヒラリと躱して床に体を押さえ付けた。

「な、なんだこれ!?」

見ると、子供の体は腕や脚がバラバラになっており、細い糸のようなもので繋がっているだけだった。

何人かの欠損した部位を繋ぎ合わせたかのようで、この子供自体の性別すら分からない。


「痛い、痛いよう。苦しいよう。助けて……」


今まで聞き取れなかったが、子供はこの言葉をずっと(つぶや)いていたらしい。

「コール……この子に止めを刺して。苦しみから解放してあげるの」

「で、でも……」

「辛いのは分かるけど、この子はもう死んでいるのと同じだから」

「分かったよ……」

そう言うと、コールダスクは日本刀を引き抜いて子供の首を切り落とした。

「こうしても……まだ意識は残ってるんだよな」

「恐らくね。全身を燃やさないと明確に死んだことにはならない」

「ちくしょう! マラーニャの奴、(ひど)いことしやがる」


――コールダスクは日本刀を強く握り締め、マラーニャに対する怒りを露わにした。

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