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MEMOVERUS ~幻異界転生~  作者: 中島 弓夜
第六章 コールダスク 18歳
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Quarrel

三人は窓から本社ビルへの侵入に成功すると、突然、防火用のシャッターがすべての窓を塞いだ。

「なんだ!?」

すると近くにあったPCのモニターが点灯し、マラーニャの顔が映し出される。

「遅かったじゃねぇか! アタイは待ちくたびれて声がガラガラになったぜ」

「マラーニャか、今から最上階へ行ってやるから覚悟しろ」

「ああん? そんなこと言ってられんのも今の内よん。まずはそこの部屋から出て見せろや」

コールダスクは、部屋のドアノブに手を掛けて開けようとしたが、何故かビクとも動かない。

「キャハハハ! 閉じ込められちゃったねぇ。その部屋で原生種ちゃんたちに喰われちゃってちょうだい!」

コールダスクたちは武器を構えて原生種の襲来(しゅうらい)に備えたが、10分が経過しても現れる気配はない。

「……あ、あれ? どうしたの、アタイの原生種ちゃん?」


恐らく高田が原生種を抑制(よくせい)しているのだろう。

緊迫した空気が流れる中、「カチャリ」と三人の背後で音が鳴り、閉ざされていたドアが自然に開いた。


「どうやら、おまえの原生種は襲って来ないようだな。遠慮なく部屋から出るとするわ」

「え~ん、おかしいよ。マラーニャ泣いちゃうから!」

三人はマラーニャを無視して部屋から出ると、最上階へ向かう非常階段を目指して走り出す。

「分かってると思うが、非常階段は50階までしか上れないぞ。最上階の55階はエレベーターでしか行くことができねぇ。だが、マラーニャは確実にエレベーターを停止させてるだろうから、後の5階分をどう登るか考えなきゃならん」

門脇は走りながら、今後の行動についてコールダスクに相談した。

「エレベーターのワイヤーロープを登るとか……体力勝負になりますけど」

「まあそんなとこだろうな。だが、七奈美ちゃんは登るの無理だろ」

「1階分くらいなら登れそうな気がします。一気に5階分を登るのはちょっと……」

「よし、着いてから検討するか。ここでウダウダ考えてても仕方ねぇ。まずは50階を目指そうぜ!」

一行は非常階段のドアを開け、50階を目指して駆け上がった。


――その頃。

マラーニャはネット回線を通して高田と口論していた。


「テメェの仕業(しわざ)だろ! アタイの原生種ちゃんを縛るんじゃねぇ!」

「……はて? なんの話かな」

(とぼ)けないでよっ! いくらあんたでも、ここまで妨害するのは戒律違反(かいりついはん)でしょ!」

「ふむ……それは一理あるな。少々やり過ぎたのかもしれない」

「もう~、高ちゃん正直なんだからぁ。だからネ、ネ? 原生種ちゃんたちを解放してよぉ」

「いいだろう……しかし条件がある。貴女が保有する第三型の原生種のみを解放しよう。それ以外はお断りさせていただく」

「全部解放しろや、このクソ野郎がぁ! 」

「貴女に選択肢はない。原初の力を失わないだけでも感謝したまえ。それでは通信を切らせてもらう」

高田の通信がプツリと切れたため、マラーニャは頭を()(むし)りながら狂ったように叫び出す。


一方で本社ビルの外では、高田がマラーニャとの会話を終え、スマホ片手にビルの周辺を調べている最中だった。

「やれやれ、ようやく話が終わったな。まったく、騒がしい女だ。蠅が30匹周りを飛び交うより五月蠅(うるさ)いと言える」

高田はスマホをスリープ状態にすると、コルト・テックの本社ビルを見上げてしばらく黙考(もっこう)する。

(さて……我々もそろそろ行動を起こすか。アレが死んだ後が問題だからな。これから忙しくなりそうだ)

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