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MEMOVERUS ~幻異界転生~  作者: 中島 弓夜
第六章 コールダスク 18歳
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Nephila Clavata

コールダスクは通話している相手が分かり、ガックリと項垂(うなだ)れた感じになる。

「マラーニャか、相変わらず元気そうだな」

「元気だよ~。コールダスクはそんなとこで何やってんの?」

「どうせ何処かのカメラから俺を見てるんだろ。殺人のあった現場を調べてるんだ」

「あらら、猿渡はアタイが有名にしてあげたのに死んじゃったんだぁ。原生種ちゃんには、キツイお仕置きが必要みたいね」

「え……? おまえ、まさか……」

スマホのスピーカーを通して、マラーニャの高笑いが部屋中に響き渡る。


「そうだよ~、アタイが悪しき者の刺客なのさっ!」


――その言葉を聞いて、コールダスクの眉間(みけん)に深い(しわ)が寄った。

「キャハハハ! 驚いた? 今まで黙っててゴメンねぇ。心は乙女だから、恥ずかしくてコーちゃんに言えなかったの~」

「直接会ったこともないのに、馴れ馴れしい呼び方しないでくれ。それに、おまえが乙女ならゴキブリだって乙女になれるわ」

「なんだとオラァ!簀巻(すま)きにして東京湾に沈めっぞ!」

急に怒号が飛んだため、コールダスクは慌ててスマホを耳から離す。

「テメェみたいな半端もんがハッカー名乗ってんじゃねぇよ! アタイがコルト・テックにちょっかい出した時もさ、テメェは手も足も出なかったじゃねぇか!」

「そんなこともあったな……おまえのスキルは素直に認めてやる。そのコルト・テックに雇われたらしいじゃないか」

「いや~ん、そうなの。コーちゃんはアタイの先輩になるから、これからよろしくねっ! コーちゃんだと馴れ馴れしいって言うしぃ、センパイって呼んだ方がいいかな?」

コロコロと態度が変わるため、コールダスクは相手のペースに飲まれないよう大きく深呼吸した。

「好きにしろ。それで……おまえが悪しき者の刺客なら、俺の命を狙ってるってことだよな」

「もっちろ~ん。だからぁ、コルト・テック社のビルを占拠(せんきょ)しちゃいました!」

「なにっ!?」


……どうやら怖れていたことが起こったらしい。

マラーニャに占拠されたとなると、コルト・テックの内部システムはすでに崩壊したと思われる。


「コルト・テックは関係ないだろ、何が望みなんだ?」

「キャハハハ! デスマッチだよデスマッチぃ! テメェはアタイのいる最上階まで登って来るんだよ。無事に辿り着けたら、その時はぶっ殺して結婚してあげる!」


コルト・テックの最上階は、役員でも安易に入ることができない神聖な領域だと言われている。

今まで培った技術のすべてが記録されているため、セキュリティを突破するのも容易ではなく、厳重にロックされた分厚い扉を開ける必要があった。

……だが、彼女はそこにいるらしい。


「アタイの話は理解できたぁ? じゃあ待ってるから、差し入れにケーキでも用意しといて! それから忠告しとくけど、警察の人たちがそっちに向かってるぞ~。早く脱出しないと捕まっちゃうから、気を付けてねん。あ、エレベーターで帰ろうなんてアホなこと考えちゃダメだよ!」

マラーニャはそう言葉を残して通話を切った。

「くそっ! 今の俺を占ったら、女難の相が出てる自信あるわ!」

コールダスクは軽く愚痴を言うと、ビルの非常階段に向かって走り出した。

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