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MEMOVERUS ~幻異界転生~  作者: 中島 弓夜
第六章 コールダスク 18歳
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Security Risk

一方で、コールダスクと七奈美の二人は、谷江がいると思われるカフェへと足を運んだ。

店内を調べると、奥の席に谷江が座っているのが見える。

予想した通りノートPCを開いて作業しており、無言で何かを入力していた。


「ああ、やっぱりだ七奈美さん」

「予想した通りだな。で? これからどうするんだ」

「コーヒーでも注文した後に、近くの席へ座りましょうか」

コールダスクはカウンターまで行くと、店員にコーヒーを二人分オーダーした。

七奈美は言われた通り、谷江の近くにある席へ座る。

その後、コールダスクは注文したコーヒーを店員から受け取ると、トレイに乗せて七奈美のいる場所へ向かった。


「はい、どうぞ。コーヒーの他に何か欲しいものがありますか?」

コールダスクは、トレイに乗せたコーヒーを七奈美の前に差し出した。

「いらないよ。それに、私はあまりコーヒーが好きじゃないんだ」

「なんだ! 先に言ってくださいよ」

「どうやら、宿主の斎条七奈美がコーヒーを受け付けない体質らしい。私もさっき気が付いた」

「面倒な話ですね」

「他人の体に入れても、その人間のすべてを把握できるワケではないからな。私は実体を持たないただの想念なんだ。幽霊みたいなものさ」

そんな奇妙な会話が聞こえたのか、谷江が(いぶか)し気な表情でこちらを見る。

「……や、やだなぁもう! オカルト話で俺を怖がらせようとしても、その手には乗りませんよ」

コールダスクは話題を変えて誤魔化(ごまか)そうとした。


そして二人はしばらく(くつろ)いでいると、谷江が作業を止め、席を立ってトイレに向かう。

「物騒な奴だな、こんな高価なPCを置いてトイレへ行くのか」

「いや、ちゃんと盗難防止用のチェーンでロックしているみたいです。ほら、テーブルの脚とチェーンが繋がってるでしょ」

ノートPCとテーブルの脚がチェーンでロックされていることを、七奈美は目で確認する。

「……本当だ。これじゃあ盗めないな」

「盗む必要はないっス。ただちょっとだけ中身をイジらせてもらうけど」

コールダスクは谷江のノートPCを開くと、キーを入力して画面ロックを解除した。

「お、おまえ、どうやったんだ?」

「ああ、こいつが暗証を入力しているところを横から見てました。手元の動きでけっこう分かりますから、こんな目立つ場所で作業する奴が悪いんです。それに、暗証番号も『1234』とバカ丸出し」

「なるほどな」

コールダスクはノートPCに小型ストレージを差し込み、画面を操作してソフトをインストールする。

「終わりっと……裏で常駐するソフトをインストールしました」

「それはどんな効果があるんだ?」

「そいつは後のお楽しみってことで」

そう言ってノートPCを閉じ、コールダスクは何食わぬ顔で元の席へ戻った。


トイレから出た谷江は、すぐに自分のテーブルへ戻ると、ノートPCを抱えてカフェを後にした。

「恐らく会社に向かったんだと思います。さて、俺たちも隠れ家に戻りますか」

「あいつを追わないのか? ソフトをインストールしただけだと思うが」

「今のところ、それだけで十分ですよ」

コールダスクは不敵(ふてき)な笑みを浮かべながら、七奈美のコーヒーを飲み干した。

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