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MEMOVERUS ~幻異界転生~  作者: 中島 弓夜
第六章 コールダスク 18歳
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Sugamo Detention Center

――その頃。


コルト・テック社の望月は、軍関係者に会うため巣鴨DCスガモディテンションセンターへ向かっていた。

捕捉しておくと、ディテンションセンターとは「拘置所」の意味である。

望月は黒塗りの車から降りると、新人の二等兵たちに出迎えられ、望月は巣鴨DC内にある待合室へ通された。


「珍しいな望月。おまえの企業は警察との癒着(ゆちゃく)に忙しいと思っていたが、こうして軍組織に来るのは何年ぶりか」

「誤解して(もら)っては困るな春野中佐。我が社は中立の立場として、軍とも信頼関係を築いておきたいのだよ」


春野中佐と呼ばれた男が待合室へ入ると、デスクを挟んで望月の前にあった椅子に腰を下ろした。

巣鴨DCは警察ではなく軍組織の管轄にあり、都内の凶悪犯などが一時的に拘留(こうりゅう)される場所である。

軍にとっての凶悪犯とは、窃盗や殺人といった一般的な犯罪を行う者ではなく、銃器の大量所持や核弾頭の輸入など、軍組織に危険を(もたら)すような人物を指す。

現在の東京では、治安部隊として軍と警察が機能しているが、何故かこの二つの組織は仲違いしており、ここ巣鴨DCでは警察の幹部も何人か拘束されたと言われている。

それは警察側も同じで、東京拘置所には中将クラスの人物が拘留されているとの噂もある。

春野中佐が言うように、コルト・テック社は警察と親密な関係を築いており、ライバルであるオラダンス社は軍組織との協力関係を強めている。


「今日は何をしに来た? 場合によっては、この場でおまえを拘束しても構わんのだぞ」

「手厳しい話だな。我が社は軍を裏切ったつもりはないが」

「おまえが思わなくても、我々はそうではない。コルト・テックは軍へ多くの借りを作ったにも関わらず、不愉快なことに一つも返さなかったではないか。おめおめここへ顔を出すとは、余程の理由があっての話だろう」

「では単刀直入に言おう。マラーニャをこちらへ渡して貰いたい」


――春野中佐はピクリと眉を動かした。


「……何故そのことを知っている?」

「軍が彼女を拘束した噂を耳にした。こちらも情報戦が得意なのでね」

「簡単に引き渡すと思うのか? 散々借りを作った立場の分際(ぶんざい)で」

「それとこれとは話が別だと思うが。彼女をここへ拘束したら、軍にとってデメリットしかないだろう。すでに様々な情報が彼女の手に渡り、戦々恐々(せんせんきょうきょう)としていると推測する。中佐の口座番号も()れたのではないか?」

春野中佐は額から汗を流しながら黙ってしまう。

「個人情報だけではあるまい……軍にとって生命線となる情報がことごとくハックされたはず。それが世間に知れ渡れば、警察の力がますます強くなるだろう。恐らく、彼女はワザと軍に捕まったのだ」

「ええい、うるさい! あの女、軍のサーバーをハッキングの標的にしたから捕まえたものの、拘束した後の方が余計に被害が大きくなった。檻の中にいるのに、ベラベラと軍の機密情報を話すものだから、不気味に思っていたのだ」

「やはりな……」


望月はその場で立ち上がり、締めていたネクタイを整えた。

「では、彼女の場所まで案内して欲しい」

「まだ渡すとは言ってないぞ!」

「これ以上、被害を大きくしたいのですか? 彼女はどんな武器にも勝る凶器だ。その凶器を我が社が引き取るのですから、過去の借りも精算できるに等しいと思われますが」

「……くっ」

春野中佐は悔しそうに頭を()いたが、(あきら)めた様子で立ち上がり、望月と一緒に待合室から出た。

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