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MEMOVERUS ~幻異界転生~  作者: 中島 弓夜
第六章 コールダスク 18歳
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Give the Game Away

コールダスクは七奈美のバイクに乗せられ、池袋にあるもう一つの隠れ家へ向かった。

スマートな見掛けによらず、七奈美は荒々しい運転をするため、後ろに乗っていた彼は何度も振り落とされそうになる。


「ちょっとちょっと七奈美さん! もう少し速度を落としてよ」

「これくらい我慢しろ。落ちたらちゃんと拾ってやるから」


……そういう問題ではない。

腹いせに強く抱き締めて胸でも()んでやろうかと思ったが、後でどんな報復があるか分からないため、コールダスクは(よこしま)な考えを頭から払い()けた。

そんなこんなで池袋の駅前まで辿り着くと、二人はバイクから降りて近くのコンビニへ入る。


「食糧を買い込んでおくぞ。奴らが姿を現さないなら、こちらも迂闊(うかつ)に外を歩けないからな」

「構わないよ、引き(こも)るのは慣れてますんで」

そう言うと、コールダスクは店内を歩き回って、食料を次々と買い物かごの中へ入れた。

買い物かごが一杯になりレジまで持って行くと、置いてあったベルを押して店員を呼んだ。

「7989円になります。そちらのタッチ操作で会計をお願いします」

店員に言われた通り、コールダスクはタッチパネルを操作して会計を済ませようとする。

だがその時、タッチパネルに奇妙なノイズが入り、クレジットカードをスライドさせても読み取らなくなった。

「……あれ?」

「どうされました?」

「なんか画面にノイズが走って、カードを読み取らなくなったんですけど」

店員がレジから出て、タッチパネルが故障してないか確認する。

「ノイズ……ですか? 普段通りの画面ですけど」

不思議なことに店員が確認した途端(とたん)、タッチパネルの画面が正常な状態に戻った。

コールダスクは「おかしいな?」と首を(かし)げるも、カードをスライドさせると読み取ったので、会計を済ませることができた。

「……すいません、見間違いだったみたいっス」

そして店員に頭を下げ、七奈美と一緒にコンビニから出る。

「何があった?」

「タッチパネルにノイズが走って操作できなくなったんだ。故障かなと思ったけど、店員さんが来たら急に直ったみたい」

「ふ~ん、一時的にネットワークが不通になったのかもな」

七奈美は特に興味を示さず、早々にバイクに乗り込んだ。


――そして二人はコールダスクの隠れ家に到着し、コールダスクはドアの鍵を開けようとする。

落としたと思われたスマホは、どうやらバイクの座席に引っ掛かっていたらしく、警察から無事に返して貰ったので、ドアの鍵もすんなり開けることができた。

二人は部屋の中に入ると、モニターが6画面で構成され、デスクトップPCも4台ほど連結して置かれている光景を目にする。

「……まるでデイトレーダーだな」

「実際に使うのは3画面くらいですよ。ハッカーなんてイキってますけど、実際は地味な作業の方が多いっスから」

コールダスクはPCの電源を入れ、七奈美を隣にして画面の前に座った。

「さて、何を調べます?」

「まずは有名人を中心に、政治家、芸能人、インフルエンサーなどを(かた)(ぱし)から調べろ。特に最近、注目を浴びるようになった人物は要注意だ」

「了解です」

コールダスクはキーボードをカタカタと鳴らして、最近有名になった人物を調べ始めた。

しばらく七奈美と会話しながら調べていると、ある男の動向が怪しいと意見が一致する。


猿渡雄一(さわたりゆういち)。SNSや動画配信サイトで絶大な支持を集めるインフルエンサー。過去はグループで活動していたが、最近脱退して仮想空間上で活動するアイドルグループをプロデュースする。今では専用の事務所を立ち上げ、数多くのアイドルグループを輩出し、業界で影響力のある人物としてメディアが競って取り上げてます」

「……まあ、条件としては当てはまりそうだ」

「それに裏の情報ですけど、こいつの元カノが5人も薬物の過剰摂取(かじょうせっしゅ)で死んでます。こういう(やから)は裏の組織とも(つな)がりがありますからね。特にこいつは学生時代、都内の悪質な不良グループと付き合いのあったことが噂になってますんで、ドラッグの売買に手を染めてたんじゃないかと」

「キナ臭いな……」

「キナ臭いっスねぇ」

「次は誰かいるか?」

「……ええと、次はこいつですね」


大家慎太郎(おおやしんたろう)。練馬区の衆院選で当選した国会議員ですね。過去は人権問題などを積極的に取り組み、SNSなどを活用して話題を集めて当選しましたが、目立った経歴もないため票の伸び方が不自然だと噂されています。それに、海外のスパイなんじゃないかと裏の情報もありますね」

「混乱を招きそうな男だな。こいつを詳しく調べられそうか?」

「政治家はハードルが高いんで時間は掛かりますよ。後ろで警察の目も光ってますし」

「じゃあ猿渡が先か?」

「ええまあ……ああいう話題性だけの男は、取り巻きがアホな連中ばっかり寄って来るんで、調べやすいことは確かっス」

「決まりだな。では、猿渡雄一を最初のターゲットにしよう」

七奈美はダーツの矢を手にして(まと)へ投げると、その矢は見事にブルズアイへ刺さった。

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