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MEMOVERUS ~幻異界転生~  作者: 中島 弓夜
第六章 コールダスク 18歳
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Partnership

「は?」

奇妙なことを言われ、コールダスクはキョトンとした顔になる。

女性は慣れているのか、彼の手を引っ張って無理矢理カードを握らせた。


「あ……七奈美さん?」

――どうやら思い出したらしい。


「思い出したようだな。このメモヴェルスの欠片を手に入れるのは本当に骨が折れたぞ。欧州まで飛んで探す羽目になったからな。幸い、この女性の職業が客室乗務員だから、フライトの合間にメモヴェルスの欠片を探せたが、手に入れるまで情報屋に(だま)されるわ、セクハラ親父に尻を触られるわで散々な目に遭ったんだ」

「それはお気の毒です……前の転生者が海外に住んでましたからね。今回はちゃんとシンクロする体を見つけたんだ」

「ああそうだ。名前は『斎条七奈美』で、おまえが22歳の時に出会った女性と()()同一人物になる。住む世界は違うがな……以前の彼女は28歳で、今は24歳になったぞ」

「そういや見覚えがあると思った。美人の体に入るの好きなんスか?」

「美人の定義なんてものは人によって違うだろ。おまえにとっては好みの女性なのかもしれないな」

「えっ、じゃあこの人と付き合う世界線もあるってこと?」

「残念ながらそれは絶対にない」

「どうしてよ?」

「私がこの女性の体に入っているからだ」

コールダスクは「チッ」と言って、頬を思い切り膨らませる。


「そんなことはどうでもいい……さあ行くぞ! とっとと善き者と悪しき者の刺客を倒して、次へ進むんだ」

「はいはい、相変わらず人使いが荒いよなぁ」

コールダスクはメモヴェルスのカードを手にし、「善き者と悪しき者の居場所を光で示せ!」と、カードに向かって命令する。

……だが不思議なことに、メモヴェルスの反応はない。


「あれ? いつもなら光の線で教えてくれるはずなのに」

「……マズイな」

「何がです?」

「今回の奴らはこちらへ顔を見せない作戦らしい。気配を消しているとメモヴェルスも反応しないからな。Wi-Fiの電波みたいなもんだ、近付かないと明確な位置が分からないのさ」

「その距離はどのくらいなんスか?」

「半径10メートルほどだ、あくまで例えだが」

「ええ……かなり近付かないと見つからないじゃん」

コールダスクはガックリと肩を落とした。

「ここでウダウダ言ってても始まらない。ネット環境があるなら情報を集められるはず。奴らは活動の先に何かしらの痕跡(こんせき)を残すから、疑わしい事件などを調べれば見つかるかもしれないぞ」

「それなら俺の得意分野だ、協力するよ」

「得意分野……おまえの職業はなんだ? 早朝の警視庁から出て来たし、どうせロクな人生を送ってないだろ」

「大きな声じゃ言えないけどハッカーだよ。これでもちょっとした有名人なんだぜ」

七奈美は(あき)れた表情になり、「ハッカーで有名になると問題あるだろ」と言った。

「……まあ、殺人を犯してないだけマシだとは言えるがな。それに名前はなんて呼べばいい?」

「コールダスクだ。コールでもいいよ。一応、日本やアメリカにいる時の名前も持ってるけど、コールダスクで慣れちゃったんだ」

「分かった、ではコールで統一しよう」

そう言うと、七奈美はバイクを停めてある場所に向かって歩き出した。


「ああそれから七奈美さん……俺って『貴様』呼びから『おまえ』呼びに昇格したんだね。なんだか嬉しいっス!」

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