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MEMOVERUS ~幻異界転生~  作者: 中島 弓夜
第三章 穂積海斗 20歳
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復讐者

市街の中心部から離れ、廃墟となった病院に海斗たちが乗ったパトカーは辿り着いた。

最初に七奈美が降りると、病院の裏口に向かって歩き出した。

その後を海斗も追う。


「おい、何処へ行くんだ?」

「いいから付いて来なさい。この病院の地下にはシェルターがあるの」

「それって仁翔さんのシェルターか?」

「違う、別の人が設備投資した施設よ。説明すると長くなるけど、そこには刻殺(ときごろ)しの間があるの」

「その名前、懐かしいな。久しぶりに聞いたわ」


海斗たちは病院の裏口に着くと、七奈美が鍵を取り出して裏口のドアを開けようとした。

その時、七奈美の背後でカチリと撃鉄(げきてつ)を起こすような音がする。

七奈美は振り返ると、そこには銃口をこちらに向けて立っている海斗の姿があった。


「貴様……私が隠していた銃を見つけたのか?」

「まあな。あんたは後部席に隠していると俺に伝えたが、よくよく考えればすぐに取り出せる場所に置かないと意味がないだろ。ダッシュボードの中を探したら簡単に見つかったよ」

「それで、銃なんか向けて何がしたいんだ?」

「あんたに聞きたいことがある」


――七奈美は大きく溜息(ためいき)()いた。


「八重野奈波について聞きたいんだろ?」

「ご名答だ、あんたは俺たちの邪魔をしただろ。俺の体に異常な力を送って、クライザーレとの取り引きを止めさせたと思ってる」

「その通りだよ……仕方なかった」

「何がその通りだ! あんたは俺たちの幸せな人生をブチ壊したんだぞ!」

「そんなものは幻想に過ぎないのがまだ分からないのか? 彼女の体内に善き者が寄生したんだ、奴らの都合のいいように人生をコントロールされても、知らぬ存ぜぬで黙ってるのか貴様はっ!」

「なんで善き者をなっちゃんの体から追い出せなかったんだ? あんたは彼女の体に入ることができたんだろ?」

「ああ……最初は彼女をターゲットにしていた。あの時代で彼女とシンクロする力は凄かったんだ。だが、善き者が先回りして彼女へ寄生し、私に見つからないよう休眠状態に入った。二つの者が一つの体に入ることはできないから、私は長い間、次元の狭間を漂うしかなかった。それも奴らの計算の内だろう」

「じゃあ、俺はなっちゃんじゃなくて善き者だけを殺したってことになるのか?」

「それは……」


七奈美は目を伏せて悲痛の表情を浮かべた。


「残念ながら、善き者が休眠状態の時は宿主(やどぬし)の意思が勝る。貴様が殺したのは奈波本人だ……善き者も含めてな」

「…………」


海斗はしばらく黙ってしまう。

両者の間で長い沈黙が続いた後、海斗は七奈美に向けていた銃口を近くにあったドラム缶に向け、怒り狂ったように何度も発砲する。


「くそっくそっくそっくそぉぉぉっ! ふざけやがって、俺をなんだと思ってんだ!」

「おい、よせっ!」

「うるせぇ! 悪いが俺はもう抜ける。こんなことやってられるか!」

「貴様が(あきら)めたら我々と敵対することになるんだぞ。それでもいいのか?」

「面白れぇ、やってやるよ。あんたなんざ、もう味方でもなんでもねぇよ」


そう言うと、海斗は七奈美の足に銃口を向けて発砲した。

銃弾は太ももを(かす)ったが、鋭い痛みで七奈美はその場に倒れてしまう。


「バカっ、バカバカバカっ! この悪党! なんで私の言うことが分からないの?」

「そうさ俺は悪党だ。これで勘弁してやるから、パトカーの無線を使って助けを呼びな。二度と俺の前でそのツラを見せるんじゃねぇぞ」


海斗はそう捨て台詞を残し、倒れている七奈美に背を向け、病院の裏口から走り去った。

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