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MEMOVERUS ~幻異界転生~  作者: 中島 弓夜
第一章 穂積海斗 22歳
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地下水路

「待ってください!」


女性医師が地上へ出ようとする海斗を呼び止めた。


「あの……地上へ出るなんて自殺行為だと思います」

「でも、地図の場所へ行く他の方法がないですよ!」

「いえ、あるはず。私の推測が合っていればの話だけど」


女性医師はパソコンを入力すると、画面にシェルターの地図を映し出した。


「第二シェルターと第三シェルターは通路で(つな)がっているけど、第一シェルターだけ特殊で、どの施設とも繋がっていないのが特徴的なの。唯一の手段は、あなたが乗ったエレベーターで行けるけど、それが止まっているため地上から入るしか方法がなくなった感じね」

「やっぱり地上へ出ないと……それともエレベーターを復活させるとか?」

「あのエレベーターは、機能停止ボタンを押すと24時間は絶対に動かない。だからその方法も無理」

「だったら!」

「まあ聞いて。ここから第一シェルターへ医療物資を届ける際、地下水路を使って送る場合があるの。その地下水路だけど、月に一度水を抜いてメンテナンスする時期があって、ちょうどそのタイミングが今日の一時間後になってる」

「水路が空になるってことですか?」

「……そう」


海斗は腕組みして、しばらく考え込んだ。

もしかしたらこの方法でイケるかもしれない。


「ただし、水が抜かれている時間は約2時間ほど。水路は迷路のようになってるから、その短い時間で無事に辿り着けるか分からないけど」

「最短距離で物資が届くのは、どれくらいの時間が必要なんですか?」

「およそ30分といったところね」


30分……恐らく無人潜水機で医療物資を送り届けていると考えられるが、推進速度を人間が泳ぐよりも少し速いくらいと想定した場合、全速力で走れば時間内に第一シェルターへ辿り着ける可能性は極めて高そうだ。

しかしながら問題は他にもある。


(……水棲(すいせい)タイプの原生種)


もし間に合わずに水路が水で満たされた場合、大量の水棲型原生種が襲い掛かって来る。

水中戦になれば間違いなく勝ち目はなくなり、海斗は藻屑(もくず)と化すだろう。


「そのルートを知っている人は?」

機密性(きみつせい)の高いルートだから、一部の従業員しか知らされてないと思うけど」


オロチは第一シェルターの武器庫を管理していた男だ。

物資の運搬に使うルートを知らないはずがないため、罠を張っている可能性は十分にある。

地上へ行くも地獄、地下水路を通るのも地獄といったところか。


(だけど、最もリスクが低いのはやはり地下水路だな)


地上へ出れば軍隊が相手となり、一瞬でハチの巣にされるだろう。

対照的に、水路が空であれば水棲型の原生種はその場から動けなくなり、こちらはスムーズに移動ができる。


「お願いします、地下水路へ案内してください!」


海斗は武器を手に取ると、女性医師と一緒に地下水路へ向かった。

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