表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MEMOVERUS ~幻異界転生~  作者: 中島 弓夜
第九章 ロハン・カムダウル 10歳
120/149

ジャガン

ヴェノーニャはケラケラと高笑いする。

「な~にを寝惚(ねぼ)けたこと言ってんの? あんたもこっち側の存在なのに、人の子に肩入れするとか頭おかしいんじゃない? 気が狂ってるとしか思えないのよ」

「うるせぇ! つべこべ言わずに掛かって来やがれ!」


ラファエルの言葉に苛立(いらだ)ったのか、ヴェノーニャは激しく槍を振り回しながら襲い掛かって来る。

そして初撃をラファエルは剣で弾くと、そのまま縦に斬り下ろしてヴェノーニャの頭をカチ割ろうとした。

だが即座に反応したヴェノーニャは、槍の()で攻撃を受け止め、ラファエルと間近で(にら)み合う。

「ふ~ん、まだまだ力は有り余ってるみたいじゃない。ちょっと予想が外れたみたいね」

「当然だ。このまま刺身にしてやるぜ」

「じゃあこれは避けれるかしら?」

すると、ラファエルの目の前が急に暗くなり、頭上から巨大な触手が落ちて来ることに気が付いた。

ラファエルは鍔迫(つばぜ)り合いを解くと、横跳びして触手の強襲(きょうしゅう)から(かろ)うじて逃れる。


「……ジャガンだ!」


ロハンがラファエルに向かって叫んだ。

ラファエルが顔を上げると、山のような大きさの原生種がこちらを睨んでおり、その背中には小さい少女が立っているのが見える。

「なんだ……あいつは?」

その少女は大きくジャンプし、ロハンとラファエルの前に舞い降りた。

「ちょっとぉ、ヴェノーニャのお姉ちゃん。こんな雑魚(ざこ)たちに苦戦してちゃダメだよぉ」

「うるさいね! あんたも戦ってみな、このマッチョはけっこう強いんだから」

少女とヴェノーニャが親しそうに会話しているため、ラファエルは(いぶか)し気に二人を見る。

「おい、あの原生種まで呼んで何をしようって腹積(はらづ)もりだ? まさか俺たちと戦わせる気じゃないだろうな?」

「もっちろん戦ってよ! 二人にはジャガンちゃんの餌になってもらうんだから。それから……そこにいる君!」

少女がロハンに視線を移し、こちらに向かって指差す。

「えっ、僕ですか?」

「そう、君だよ君! どうしてジャガンちゃんの生贄(いけにえ)にならなかったのさ! もし生贄になってたら、私と体が入れ替わってたのに~」

「か、体が入れ替わるって……」

「この女の子の体にも飽きちゃった。お鼻の形も気に入らないし、そろそろ新しい体と入れ替わりたいと思ってたんだよね」

――その話を聞き、ロハンはヴァジュラを怒りで強く握り締める。

「おまえまさか……そんな理由で生贄を求めてたのか?」

「そうだよ~。君の住んでた村の子供たち、エグいくらいブッサイクしかいなかったんだもん。だから全員、ジャガンちゃんに食べさせちゃった。ねえねえ、ヴェノーニャのお姉ちゃん。ロハン君はメモヴェルスに触れて、私と入れ替わるの無理そうになったから、また何処かの村で子供を(さら)って来てよ~」

ヴァジュラから放たれる雷の刀身が輝きを増し、ロハンは正眼に構えて戦闘態勢(せんとうたいせい)に入る。

「……絶対に許さないぞ、人間はおまえたちのオモチャじゃない!」


ロハンは地面を蹴って前方へ飛び出し、目の前にいる少女に襲い掛かったが、それを阻止するかのように巨大な触手が頭上から落ちて来た。

危うくジャガンの触手に潰されそうになったロハンだったが、瞬時に横へと避け、前転しながら態勢を素早く整える。

「くそっ!」

「無理だぜロハン、悪いがおまえさんにジャガンは倒せない。ここは一旦退(いったんひ)くしかねぇな」

「だって!」

「だってもクソもあるか、自分が実力不足なことをまず認めろ。必ずチャンスは来るが、それは今じゃねぇんだ」

そう言うと、ラファエルはロハンを抱えて城の外へ逃げようとする。


「アハハハ! あいつら、尻尾巻(しっぽま)いて逃げるつもりだよ。無様(ぶざま)だねぇ~」

「なんだよ~。ジャガンちゃんの運動不足解消に、これから遊んであげようと思ってたのに。プンプン!」


背後でヴェノーニャと少女の(あお)るような言葉が聞こえたが、ロハンにはどうすることもできない。

「ちくしょう……ちくしょうちくしょう!」

ロハンは涙交じりの声で悔しがった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ