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MEMOVERUS ~幻異界転生~  作者: 中島 弓夜
第九章 ロハン・カムダウル 10歳
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信仰心

ロハンはヴァジュラを懐から取り出して構えて見せた。

「それは……インドラの神器ヴァジュラなの? あんたに使いこなせるのかしら」

ヴェノーニャにそう言われ、ロハンは少しだけ動揺(どうよう)する。

(困ったな……これをどう使えばいいのか僕にはサッパリ分からない。インドラって確か雷を操れる神様だったはず。ヴァジュラに意識を向ければ武器にすることができるかも……とにかくイメージしてみよう)

ロハンはヴァジュラを日本刀のように握り締め、先端から刃物が出ている様子をイメージする。

「何をしてるの? 黙ってるならこっちから仕掛けるわよ!」

ヴェノーニャは槍の切っ先をロハンに向けながら、こちらへ向かって突進して来た。

一方で目を閉じたまま静かにしているロハンは、ヴァジュラを握り締めて集中している。


「喰らいなっ!」


ヴェノーニャの槍がロハンの胸を貫こうとした時、突然、ヴァジュラの先端から光輝く剣のようなものが現れ、その刀身(とうしん)で槍を左側へ受け流した。

「なにっ!?」

槍は地面に突き刺さり、ヴェノーニャが抜こうとしても簡単に引き抜くことができない。

その機会を逃さず、ロハンは光の剣でヴェノーニャを袈裟斬(けさぎ)りで仕留めようとした。

しかし、ヴェノーニャは強引に槍を地面から引き抜くと、その光の剣を(はじ)き飛ばして後方へ下がり、ロハンと3メートルほど距離を置く。

「くそっ! 忌々(いまいま)しいガキだね! 雷を刀身にするなんてインドラにでもなったつもりなの?」

「イメージしたらこうなっただけですよ。これで対等になりましたね」

「ハッ! 私は今までの刺客とは比べものにならないくらい強いわよ。いい気にならないでちょうだい!」

ヴェノーニャは槍を軽く振り回すと、()を脇に挟んで構えの姿勢を見せる。

「今度こそ息の根を止めてあげる。覚悟しな!」


――だがその時、上空から飛来したラファエルが二人の前に舞い降りた。


「あっ! ようやく助けに来てくれたんだ」

「馬っっっ鹿野郎! 目立つなとあれほど言っただろうが!」

「説明すると長くなるんですけど……多分無理です」

「チッ、世話の焼ける野郎だぜ」


ラファエルは背中に抱えている大剣を引き抜くと、その切っ先をヴェノーニャに向けて凄んだ。

「おい、そこの厚化粧(あつげしょう)。死にたくなかったら大人しく引き下がるんだな」

「……今さらノコノコ出て来て何を言うかと思ったら、そんな簡単に引き下がるワケないだろうが! それに、おばさんだの厚化粧だの、言いたい放題かあんたたち。少しは女性の扱いを覚えなさいよ!」

ラファエルは、小指で耳の穴をほじって聞いていないフリをする。

「ああ~そうか。もしかしてイスラム教国のムガルに逃げてたの? 哀れよねぇ、この国じゃ天使の信仰なんてないんだから、日に日に力が弱ってるんでしょ。そんな体で私に勝てるのかしら?」

「えっ……」

ロハンは驚いてラファエルの顔を見た。

「気にするな、あいつのハッタリだ。俺の力は弱くなんかなっちゃいねぇ」

そう言うと、ラファエルは大剣を正面に構えて戦闘態勢に入る。


「試してやろうかこのクソ女! か弱い女や子供たちを散々殺しやがって、おまえにも同じ苦痛を味わせてやる!」

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