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三題噺もどき2

雑用

作者: 狐彪

三題噺もどき―さんびゃくご。

 


 ガラガラと教室の窓を開ける。

 ここは三階だが、風がなさ過ぎて開けた意味がほとんどないような気がする。

 冷房でも効いていればよかったのだが。

 あいにく、教室には自分以外の人間がいないから、切られている。

 二、三年ほど前までは、扇風機が天井についていて、スイッチなんかも各教室にあったらしいが。耐震やら何やらで、改修工事が行われたらしく、その際に冷暖房設備がつけられ、スイッチなんかは全部職員室とかに纏められたらしい。

「……ぁっ」

 節電とか、管理の問題とかで、そうしたんだろうけど……。

 スイッチ権限ぐらいは、各教室に置いていて欲しかったものだ。

 放課後だからと言って、必ずしも教室から人が居なくなるわけではないのに。一部の部活は、部室だけでは足りないからと、他の教室でしていたりもするし。

 現にこうして、私みたいなやつがいるんだから、そのあたりは少し考えて欲しいものだ。

 まぁ、ここには一人しかいないから、冷房つけようとはならないかもしれないが。

 窓一つで事足りる……大抵はという前置きはいるけど。

「……」

 多分、図書室にでも行けば、暑さからは解放されるだろうけど。

 何せ、ものが色々と必要な作業をするので、これを全部持って移動するのは、それはそれで面倒なのだ。

 きっと職員室とかは、寒いくらいに冷房が効いているんだろうなぁ……。

 なんで、生徒にはこんなに我慢を強いて、自分たちは快適な部屋で作業しているんだろうなぁ……。

 まぁ、年も違うし、こちらには若さがあるから……ということにしておこう。

 もうなんか、これ以上考えるのはやめたい。疲れてきた。

「……」

 教室教室と入っていたが、ここは所謂、クラス教室ではなくて。

 多目的教室といえばいいのか……。ここおは、委員会で使ったりすることが多いのだが……なんというのだろう。まぁ、多目的で良いか。

「……」

 広さはたいしてない。

 大き目の棚が、部屋の大半を占めてしまっているし。この部屋はちょっとした会議もどきでも使うから、机もなかなかの大きさモノがある。それに合わせて椅子もあるから、まぁ、狭い。

 1人で作業するには、丁度いいんだが。

「……」

 とは言え、この量は、誰かヘルプを呼べばよかったかなぁ。さすがに多いな……。

 いつも通り、ひとりでやればいいかと思って、安請け合いしたはいいが……。

 そしてまぁ、ああは言ったが、できなくはない……が、いかんせん暑くてなぁ。こうなってくるとやる気が失せてくる。最近暑すぎやしないか……。

 さすがに、誰か先生にでもいって、冷房をつけてもらうか……。

「……いいか」

 それはそれで面倒だ。別に教師陣に友好的な人は居ないし。あそこは空気が悪くていやだ。

 それに、色々と考えながら、ここまで準備してしまったし。さっさと終わらせて帰るとしよう。

 いつ終わるかは分からないが……ま、下校時間までには終わるだろう。

 量が多いと言うよりは、気力がなくて普段より動きが緩慢になりそうになる、というだけだし。

「……さて」

 気持ちを入れ替える意味で、声に出して気合を入れる。

 ん。風が出てきた。

 うんうん。これくらいの風がちょうどいい。

 下手に冷房とかで、無理やり下げられるよりは、心地がいい。耳障りもいいしな。

「んーと……」

 ごちゃごちゃと考えながら、机に順番に並べていった数種類の紙を見やる。

 それを、順に一枚ずつ上からとって行く。

 数枚ほどにまとめた紙を、一番端に置き、交互に重ねていく。

 それの繰り返し。

「……」

 黙々と、ひたすらに紙を重ねていく。

 おぃ、なんでこれ上下逆なんだよ……確認したのかね全く。スムーズに進めていきたいんだ私は。というか、プリントしただけなら上下逆になる事なくないか。なんでこんなことになってん……はい考えるのやめ。雑用は雑用の仕事するぅ。んー……早く帰りたいなぁ。今日家に帰ってから何かしようと思ってたんだけど……何しようとしてたんだか。忘れたなぁ。帰ったら思いだすかな……どうせゲーム関連だろうけど。

「……っし」

 重ねる作業が終われば、次はそれぞれの束を綴っていく。

 ホチキスで端をとめ、数枚ほど綴ったそれを、籠の中にいれていく。

 これ、終わったらどこにもっていくんだったけ……ここに置いててよかったのか…?んーなんか言っていたと思うが……まぁ最悪明日にでも聞けばいいか。これは急ぎでもないとは言っていたし。できれば早めがいいけどみたいな。

 ぉ…固いなコレ。そんなに枚数ない、あ……?

 あぁ、芯が切れたのかコレ。新しいやつ……。うわ、芯の予備ほとんどないじゃないか。全く補充をしろといっているのに…誰だよこれ使ったやつ。

「……」

「……」

 よし……。

 終わり。

 んー思ったより時間かからなかったなぁ。

 あとは、中身を再度確認して、その後……。

 っあー……。

「めぇいった……」

 かけていた眼鏡をはずし、たたまずに机の上に置く。

 最近変えたばかりのもあってか、目がまだ慣れていないせいか、疲れと、たまに痛みがする。

 痛いのは、目というか、頭だが……。

 こめかみのあたりを手のひらで押したり、軽く目をこすったりする。

「……っし」

 残りをさっさと片して、帰るとしよう。




 お題:綴る・教室・眼鏡

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