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チンチラクエスト  作者: 鈴葉
8/41

~sideぐり~

ある日突然友達が魔王になって、その魔王に自分が召還されたでし。

嘘かと思われそうでしが、ほんとでし。

嘘ならばどれほどよかったことか。

ぐりと、魔王…スター君は、お互い年も近くて、よくあるスタンダードグレー同士。

お家も近所の幼なじみ。

他にも何人か同い年の子達と小さい頃から良く遊んでたでし。

スター君はちょっとずる賢くて、なるべく楽にできるように努力する面白い子でし。

手を抜きたいのか抜かないのか。

たまーにギリギリの商売をしてる時もあってドキドキしましが、生来の人懐こさや、人を楽しませたいって明るい性格もあって、仕方ないなぁって受け入れられてたでし。

ぐりもいたずらに巻き込まれて、スター君達は逃げ切れてたけど、ぐりだけ怒られたりとかもあったでし。

でもすぐに謝ってくれて、お詫びのプレゼントをくれたりとかして、やっぱり憎めないんでし。

まぁそのプレゼントも拾ったものだったみたいで、後で持ち主が出てきて返したんでしが。

仕方ないなぁ。スター君は。

でし。


そんなスター君はじつは職業が生まれた時には確認できなかったんでし。

かなり珍しい現象でしが、絶対にないってわけでもなく。

成長と共に後天的に付与されることもあるし、突然目覚める、ってこともあるみたいで、そこまで悲観はしてなかったようでし。

「オレには無限の可能性があるんだよ!」

にっぱと笑ったスター君はそう言いきってたでし。

つおい。

スター君は演じる事が好きで、よくごっこ遊びもしてたでし。

色んな職業の役柄もこなしてて、村のお祭りの時は、有志を募ってお芝居を披露したこともあったでし。

その時の魔王役はハマリ役だったでし。

でも…まさか…本当に魔王になるとは思ってないでしよね?

そんな伝説級の職業になるなんて思わないでしよね?

なんでそんなのに目覚めちゃったんでしかね?

召還された時は夢でもみてるか、何かのドッキリを仕掛けられたと思ったんでしが…。

現実だなんて…。

現実逃避したぐりを責められる人はいないと思いまし。

召還された時に、どうやら契約というか縛り?のようなものがされるようで、ぐりは「魔王しゃまの側近」という副職業(サブ ジョブ)がついたでし。

そして、メインの職業「侍」の技能や身体能力のアップ、使えなかった魔法も少しだけ使えたりと、魔王しゃまの恩恵に預かったようでし。

…スター君万能になっちゃったみたいでし。

すげい。かっくいいかと言うと…ちょっとセンスが違うとこもあるからなんとも言えないでしが、めちゃくちゃなステータスになってたみたいでし。

んで、ちょっとまだ無情な現実を受け入れられてないのに、即転移させられて、気づいたらどこかの山。

魔王しゃまもいない。

「こーこーどーこーでーしーかー??」

叫んでも誰も返事をしないし、ぐり、終わったと思ったでし。

でも、ちょっと空が急に暗くなって、魔王しゃまのアップが映った時には、また遠い目になっちゃったでし。

「なにしてんでしか…」

花火を打ち上げるって言ってたのに、ガンガン稲妻落としてまし!!

全然違うことしてまし!

いかん!これはマジ魔王対応になってまし!

確か魔王は、勇者とセットになってる職業のはず…。

このまま魔王として活躍すると、勇者に討たれてしまうでし!!

ダメでし!そんなのダメでし!

魔王しゃまは、スター君はぐりのお友達なんでし!

ちょっとどんくさいぐりを、なんだかんだ面倒みてくれたのはスター君でし。

侍なんて珍しい職業なのに、どんくさいぐりが刀なんて扱えるわけないと、みんなにバカにされてたぐりを庇って、認めてくれたのはスター君でし!

いずれ…人類の敵に、なんてさせないでし。

魔王になってもぐりを…なりたかったわけじゃないけど、ぐりを側近にしてくれたスター君を、過去の魔王達のような悲惨な目には…合わせないでし。

ここでぐりは、魔王しゃまの側近として、魔王しゃまが暗黒面に行き過ぎないように支えると決心したでし。

まずは止めに行かないと!

よくよく耳をすませば、魔王しゃまの高笑いと咳き込む声が聞こえるから、あわててそっちに走ったでし。

チラッと村の方向をみると、皆が右往左往してるでし。

後で謝罪しまし。ごめんでし。

ようやく山の中で一人高笑いしてる魔王しゃまを遠くに発見した時には、ホッとするよりなんかムカついたでし。

なんでしか?一人配信者かって感じ!!

…ん配信者ってなんでしかね?

まぁいいでし。さっさと止めるでし。

幸いぐりは魔王しゃまによって強化されたでしからね。

「ま~~~~お~~~~う~~~~しゃ~~~~ま~~~~!!!!」

叫びながら走り寄りまし。

「おお!我が側近ぐりよ!!遅かったな!お主が来ぬから我が見事な花火を打ち上げ…ぶげらっ!?」

おもっきり跳び蹴りを、顔面にお見舞いしてやったでし!

…いや、顔面のつもりはなかったんでしが、ちょっと目測あやまったでし。

ごめんでし。

まだ術は繋がってたみたいで、映像は双方向なのか村人達の様子も見えたでし。

「皆しゃん!すみませんでし!お詫びはいずれ必ずしまし!」

慌ててお辞儀をして魔王しゃまに説教でし。

「魔王しゃま!あれは花火じゃなくて雷撃でし!!打ち上げてないでし!落としてまし!無関係な村を攻撃してどうすんでしか!!」

「いやでもだってな?勇者の残…「っとうっ!!」むぎる!?」

もう一回蹴って黙らせたでし。

「ぐりよ…我だから耐えられるが、これは割りと酷いと思うぞ?」

「でもでもだってじゃないでし!花火は火薬で空に打ち上げるお花が咲くみたいに開く綺麗なやつでし!雷じゃないでし!火薬は…この世界にはないから、魔王しゃまなら魔法でできるはずでしよ!」

「おお、空に火の花を咲かせればいいんだな?じゃあ今から…」

「やめてくだしい。村人しゃん達をこれ以上驚かせちゃダメでし。また今度にするでし」

「ん?そうなのか?ぐりが言うならまぁそうなんだろう。うむ。やめとくか!じゃあ次のイベントを起こさねばだな!」

「イベント…?なんでしか?イベントを起こすって」

「いや~、魔王の仕事?のようなものだ。気にするな!」

「え?ん~…わかったでし」

とりあえずのところ、花火からは意識をそらせたみたいなのでホッとしたでし。

しかし魔王しゃまは丈夫でしね。そこは安心したでし。

「稲妻も綺麗だっただろ?村人はきゃーきゃー喜んでたな!」

「きゃーきゃー逃げ惑ってたんでしよ…」

「なんだと?…喜んでなかったのか…」

あ~。純粋に楽しませたかっただけだった可能性が出てきたでし。

なんでそんなしょぼんとしてるんでしか。

あなた万能な魔王しゃまでしょに。

でも、無邪気にえぐいことするって、「魔王」っぽい気がしまし。

「魔王」とスター君の性格。

足していかんものを足した気がしまし。

あれ?これぐりがめっちゃ苦労するパターン?

なんかちょっと気づきかけた事実には蓋をして明後日に放り投げたでし。

まともに受けてたらストレスで鬱滞になっちゃうでし。

魔王しゃまを支えるの…早まったでしかね。

いやいや、これはぐりの副職業でもありまし。

なんとか魔王しゃまを幸せに導けるように頑張らねば。

…そういえば。

「さっき魔王しゃまは、勇者って…言ってたでし?」

「あぁ、薄くだが、勇者の残滓のようなものを感じた。勇者に関連する場所で祝いの花火を上げるのは、魔王として中々心憎い演出だろう?」

あ、話が戻っちゃったでし。

「そ、そうでしね!さすが魔王しゃまでし!」

勇者の残滓…勇者は生まれたのか、まだなのか、これだけじゃわかんないでし。

勇者対策も、魔王しゃまのお守りも、ぐりだけじゃ…人手が足りないでし。

「よしやっぱり花火を打ち上げし直して今度こそ…」

「魔王しゃま!」

「…なんだ?ぐりよ。我がせっか…」

「魔王しゃまの配下はぐりしかいないんでしか!?」

「…そ、そんなことはないぞ!?我の配下は最強の四天王がいて、ぐりはその中でも最弱…」

「最弱!?」

「いや最強だ!」

「どっちにしても残りの人達がいるんでしか?」

「…ぐり」

魔王しゃまが穏やかな笑みでぐりの肩をぽんと叩く。

嫌な予感しかしないでし。

「あと二人、早急にスカウトするぞ」

「やっぱりそうなるでしか…ん?魔王しゃま、四天王に自分も入れてないでしか?」

魔王しゃまはちょっと考えて、あわあわして目が挙動不信になったでし。

「な、な、な、何を言ってるのだぐりよ!そんなバカな事するわけないだろうが!これはその…あれだ!あの…そう!一人はもう決まってるのだ!」

「ぐり以外にでしか?」

「そうだ!我らの村に一人いただろう?能力の高いあやつを召還する!」

ひょっとして…あの子だろうか。

確かにあの子ならば職業がかなり期待できるし、優しい子だから魔王しゃまのストッパーになってくれるかもしれないでし。

なんだかんだと叱ったりもしてくれて、あの子には魔王しゃまも弱かったでし。

…本来なら勇者側に行ってもおかしくないんでしが…ぐり達の為でし。

申し訳ないけど協力してもらうでし。

召還(サモン)賢者(ピノ)!」

魔王しゃまは魔王城に戻る前にその場で召還し始めたでし。

落ち着いてからと、止めるべきだったと後悔してももう遅い。

どこぞの山の中で、召還の魔方陣が光り、中央にブラックパールの体が見えてきたでし

職業が賢者のピノちゃんが、状況が飲み込めないといった様子で呆然としていたでし。

ぐりは土下座の用意をし始めたでし。

よろしく。新しい仲間しゃん。

そして……ごめんでし。






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