初めての街クエってやつ??(一)
痺れる足を引きずりつつ、ドゥーブルへ戻った僕たちは、冒険者ギルドに納品しにいって、全て買い取ってもらった。
かなり状態がよかったみたいで、少しだけ色を付けてくれたようだ。
受付のこんぶちゃんがウインクしながら「ナイショでちよ?」ってこっそり言ってくれた。
ちょっとときめいたので、こういうことするからモテちゃうんじゃないかと思った。
つみりんは何故かぐぬぬって顔をしていた。
「むむ…アイドルのライバル出現の危機を感じるでち」
ラップってやつなのかしらん?
ともあれ、初クエスト達成!僕と雷蔵ちゃんの足の痺れ以外は特に怪我もなく終われた。
妖精さんに出会ったのはかなりの衝撃だったけど、序盤でそういうイベントは起こりがちなんだろう。
魔王にも遭遇するし、目白押しだなぁ。
ん?イベント??また自分でもわからない思考をしている。
どこか、僕じゃない誰かの記憶というか…これは何の…。
「…さん、…ぎさん!…もう!おはぎさん!」
「面倒でちねぇ。こうしたらいいんでち!えいっ!」
「いたたたっ!?」
突然つみりんに耳を引っ張られて、何か掴めそうな気がしてたのに考えてた事が全部霧散しちゃった…。
ん〜?なんだったっけ?
引っ張られた耳を探りつつ、ちょっと目を眇めてつみりんを見るけど、どこ吹く風だし。
むむ。
とにかく、つみりんへの借金は返せたし、一先ず今夜のお宿代も稼げた。
「よち!今日はお外でごはんを食べるでち!」
「つみりんのおごりでちね!ありがとでち!」
「らいたん!!…う〜、でも、まぁ、初めてのクエスト成功記念で…いいでちよ!今回だけでちよ?」
両手を腰にあてて、仕方ないとため息をついたつみりんが、ちょっとドヤって言う。
「「ご馳走様で〜す!!」」
こういう時はアレだよね。素直に受け入れるのが一番。
僕たちはいい笑顔でお礼を言った。
「…めっちゃいい笑顔でちね…」
勿論!こういう時はいい笑顔であるべきだからね!
にこっ!
「でも、らいぞー達はまだ何があるかわかってないんでちよね〜。知ってたらお高いお店に…」
「この先に!お安くて美味しいって評判のお店があるんでちよ!つみりんもまだ行ったことないからそこに行ってみるでち!!」
はい。スポンサー様には逆らえません。
僕たちは素直に後についていく事にした。
「ん〜でも、最近開いてなかったって話も聞くでち。今日開いてたらいいんでちが…開いてなかったら屋台にでも連れて行くでちかね」
最後ぼそっと言われた言葉が聞こえたけれど、つみりんがオススメしてくれるなら、きっと美味しいお店だと思うので、そこはよし。
スポンサー様には逆らえません。
ご馳走は…いつか討伐とかもできるようになったら…また打上で行こう。
ね、雷蔵ちゃん。
目線で合図するけれど、雷蔵ちゃんはこてんと首をかしげて、曖昧に笑った。
うん。伝わってないよね。わかってたけど。
お店と思われるところに近づいたけれど、どうやら閉まってるみたいだった。
お店は全体が柔らかな年月を経た飴色の木製でできていて、看板はシンプルに金属製で葉っぱのマークを形どってある。
お店の名前かな?
はじっこにちいさくスノーボールと書いてあるみたい。
入口脇の柱にはつるバラが巻き付いていて、小さなピンクの花が咲いている。
きっと、店主さんが優しい人なんじゃないかなって店構えだ。
でも…。
「お休み…でち?」
人気がなく、中も暗い感じで、やはり閉まってるみたい。
つみりんがあからさまに沈んでいる。
いや僕らも正直がっかりだった。
ドゥーブルで評判のお店の味を試してみたかったなぁ。
「はぁぁ〜 どうちよ どうちよかなぁ〜」
お店前で愕然としている僕らの後ろから、誰かの声が聞こえた。
「てぇへんら〜てぇへんら〜 どうちよ だりかにおねがいちようか れも」
ホワイトのふわふわした毛並みの人がぶつぶつと言いながらウロウロしている。
「あの…どうしたんですか?」
「んぇえ!?」
思わず声をかけると、初めて僕らに気づいたようで、かなりびっくりされちゃった。
「ご、ごめんなさい!あの…何かお困りですか?」
「つみりん達はごはんが食べられなくて困ってるでちけどね」
「つみりん…」
「あんれぇ〜 おきゃくさん らったんれしゅねぇ〜」
「え…お客さんって…」
「ここは しろみのおみせ なんよ〜」
お、お店の店主さん!?




