いざ!冒険に出発だ!(二)
歌い続けるつみりんはもう放って置くしかない。
諦めてぼく達は薬草を探すことにした。
ファスタの村では別に探さなくても薬草なんか沢山あったのに、なぜこんなに見つけられないんだろう。
呼んで返事をしてくれたらいいのに。
「おーい!薬草どーこだー!?」
「ココダヨ〜」
え、返事した!?
思わず振り向くと、そこには草むらにうずくまってる雷蔵ちゃんがいた。
「ココダヨ〜ココデスヨ〜ヤクソウノナカマハココニイルヨ〜」
「何してるの?雷蔵ちゃん」
「薬草の気持ちになったらなんかわかるかなと思ったんでち」
「わかった?」
「わかんないでち」
「だよね」
チベットスナギツネみたいな顔になってた雷蔵ちゃんに手を差し伸べる。
立ち上がらせて、ふと足元を見ると、ヒルリー草があった。
「雷蔵ちゃん!あったよ!そこ!ヒルリー草!」
「ま、マヂでちか!?ようやく見つけたでち!」
灯台下暗しとはこういうことなんだろうか。
灯台見たことないけど。
「案外探してると見つけられないのかもしんないでちねぇ」
「探すのをやめたら見つけられたりして?」
「宿代とかのためにはまだまだ探さないとでちが…」
「それよりつみりんと踊りませんかぁ〜♪」
「踊らないよ?」
「わ〜…れいせーにツッコまれたでち。じぇねれーしょんぎゃっぷでちかね…」
「またつみりんがブツブツ言ってるでち。あ、そうだおはぎさん!」
「どうしたの〜?雷蔵ちゃん」
「今らいぞー達が探してるのはヒルリー草、ビリリング草、ドッケナイ草にロクパック草でちよね?」
「常設のはそうだね〜」
「全部探すとなると集中力が散漫になるかもしんないでち。二種類ずつ探すことにしないでちか?」
「あ!それいいねぇ。そうしよう!」
体力回復のヒルリー草、麻痺回復のビリリング草、毒消しのドッケナイ草に、体力増強のロクパック草。
初心者冒険者が比較的安全に探せる薬草達だ。
薬草の名前…もう少しどうにかなんなかったのかな?
確かに全部探そうとしてると逆に気付けないのかもしれない。
雷蔵ちゃんはビリリング草とドッケナイ草、ぼくがヒルリー草とロクパック草を探すことにした。
するとどうだろう。先程より薬草達の発見率がかなり上がった。
雷蔵ちゃんすげい。
まぁ…お互いがお互いの探してるのは薬草を率先して見つけちゃうってのへお笑いだと思うけどね。
でもまだ足りない。もう少し奥へ行ってみようと話していたときだった。
「あぁ!?」
「つみりん、どうしたんでち!?」
「な、なんでもな…くもないでちね。二人とも!あっちに行くでち!」
「唐突過ぎないかなぁ〜?」
「あっちに薬草がたんまり生えてるって!」
「ほんと?」
「妖精さんが言ってるでち!早く取ってくるがいいでち!」
「え〜?急にキャラ変した〜…」
「ほら!早く行くでち!」
「つみりんはどうするの?」
「つ、つみりんは強いので一人で大丈夫でち!」
「でも沢山あるなら持って帰るのも限界があ…ぶべっ!?」
べちん!と音をたてて雷蔵ちゃんのほっぺからつみりんの四次元…じゃない、容量の大きなポーチがずり落ちた。
デザインは似てるけど、もう少しシンプルなやつ。
「そ、それ薬草位なら沢山入るでちから!貸したげるから持ってくでち!」
「え!?いいの?でもこれ…」
「いーから!もぉぉぉお!!早くするでち〜!!!こっちも都合があるんでち!女の子なんでちからぁ〜!!!」
「あ、はい!」
鈍いぼくらもこれは察した。
きっとお花摘みってやつだ。
雷蔵ちゃんと視線を合わせ、一つ頷くとつみりんが指した方向へさっさかと向かう。
理由も聞いちゃいけない。
ここは速やかに移動だ。
ぼくらは紳士だからね。
「…?急にどうしたんでちかね…まぁ、行ってくれて良かったでちけど…妖精さん!つみりんのことは内緒でちからね!?」
後ろでつみりんが訝しげに顔をしかめてたのには気付かなかった。




