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チンチラクエスト  作者: 鈴葉
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いざ!冒険に出発だ!(一)

初クエスト!と意気込んで出てきたものの、今回は簡単な採取クエストだ。

とはいえ、初めての土地だし、薬草なんてどこに生えているかって条件の合うところは教えてもらえても、具体的な情報は教えてもらえない。

まぁこういう採取をメインに仕事している人達もいるから、大事な情報を漏らすわけがない。

もしくは採り尽くしてしまった、とか情報自体が古い可能性もある。

自分達で探すのが結局一番いいってことだ。

こんぶさんから聞いた薬草が生育するのによい条件と、それに合致しそうな場所を探そうということになった。

「やねよ〜り〜た〜か〜い、チモの〜ぼ〜おぉり〜♪おおき〜い〜チモシーはパパ・マ〜マ〜の〜、小さ〜いチモシーは子供〜たちの〜、特大〜サイズ〜はつみり〜ん〜の〜」

「わかっちゃいたけど、中々ないでちね」

「僕らの村近辺とちょっと様子も違うからねぇ。採取クエストってやっぱり新人とか、無理をしたくない人たちがよく受けるみたいだし。近場は採り尽くされてるかもねぇ」

「さ〜い〜た〜さ〜い〜た〜つ〜み〜りんの〜笑顔〜、な〜らんだ〜な〜らんだ〜沢山の〜ファン〜が〜神対〜応〜だ〜サスつみ〜よ〜♪」

「道沿いよりもう少し外れるでちかね」

「その方がいいだろうねぇ」

「チンチン、チラチラ、チンチラ〜…」

「ゔゔん!」

「どうしたんでちか?おはぎさん」

「ら、雷蔵ちゃん…いや…あはは」

「チンチン、チラチラ、チンチラ〜…うーん」

「んごっふ!ごふっごふっ!!」

「おはぎさん…風邪でちか?」

「雷蔵ちゃん…だ、大丈夫だよ」

「チンチン!!チラチラ!!…むむ〜??」

「ちょっとやめようかつみりん!!」

「え〜?なんでちか?急に!ぶぅ!!」

「ぶぅじゃありません!!」

勘弁していただきたい。

ドゥーブル村を出てからつみりんはずっと歌っているのだ。

最初は「つみりんは監督するだけでち」って黙ってついてきてくれてたんだけど、ぼくらが探すのに早々に飽きてしまったらしい。

なんかいい感じの棒っきれを拾って、たまに草むらをワサワサしつつ(これは気持ちがわかる)、歩くところから始まり、次に小さく鼻歌を歌い出したかと思ったら、段々大きな声で遠慮なく歌い出した。

どっかで聞いたことのあるメロディに、この歌詞だ。

めちゃくちゃ脱力する。

雷蔵ちゃんはさっきからなんか溶けてきてるのか、斜めになってるように見える。

なのに、ぼくのことを気遣ってくれてる。優しい。

必死で薬草を探してるのに、膝から力が抜けそうになる。

なるべく無視して行こうと思うんだけど…

…なんだけど、無駄に(?)良い声だし、お上手だからついつい聞いちゃうんだよね。これが。

ぐぬぬぅ。悔しいというか、流石アイドルというべきか…。

けど、いけない。これはいけません。

女の子がそんな歌歌っちゃだめです。

「歌詞がうまく作れなくて悩んでるだけなんでちから、放っておいて!でち!つみりんのお歌がタダで聞ける機会なんてそうそうないでちよ??」

「ソウデスネ」

「気持ちがこもってないでち!!」

それは仕方ないと思いませんか?

「つみりんはあーてぃすとなんでちよ?創作活動の邪魔しちゃダメでち!……むむ?しかし…つみりんのお歌を聞いて何で魅了されないんでちかね。おかしい…」

あーてぃすと。アーティストのことだろうか。

どうも言葉がふわっと浮いてるように聞こえる。

意味をきちんと分かっていってるのか疑問だなぁ。

あとなんかブツブツ言ってるけども、聞こえない。

これはもう…諦めるしかないんだろうか。

「チンチン、チラチラ…チンチラ〜……沈む♪

チンチン、チラチラ、チラ沈む〜♪」

「いや沈ませないで!?!?」

「ぶぅっ!!!!!」

「ぶぅじゃない!!!!」

うう。前途多難だよ。

大丈夫かなぁ。このパーティー。


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