メズマライズリーチ
固有魔法:【幻惑】
幻惑蛭。またの名を麻薬蛭。
通常の蛭同様動物に寄生して吸血するのだが、その際体内で生成した【幻惑】の魔法薬を注入し、対象を幻惑、夢心地にする。さらに第三者に気づかれないために【幻惑】で皮膚に擬態する。これらの特徴は魔法なしにも類似の効果が可能であるが、魔法である証拠に魔力感知によって比較的簡単にわかる。
メズマライズリーチの幻惑毒の幻惑効果そのものはそれほど強力はではないため一端はすぐに気づいて引き剥がせるのだが、体内で生成される魔法薬は非常に依存性が高いため、常人では専用の解毒薬なしにはその誘惑に抗えず、一度剥がしてもすぐに自らメズマライズリーチを探して吸血させるようになる。一方で魔法薬なので専用の解毒薬を使用すれば再依存の危険はなくなる。
恐ろしい幻惑毒を保有するメズマライズリーチだが、生息地は湿度と魔力濃度の高い土地に限られているため通常一般人が自然遭遇する危険はほぼない。注意すべきは森深くまで魔物狩りに入る冒険者や騎士、狩人などである。
メズマライズリーチの幻惑毒はかつて奴隷を中毒化させた後、働けば幻惑毒を与えることで従順に使役する、軍や徴兵した民に幻惑毒を与えることで戦場での恐怖を薄れさせ、かつ命令に従順にする、などその依存性中毒性の高さを利用していた国もあった。しかし、生成に特別な工程を必要とせず、森に生息していることから幻惑毒を求めて森へ踏み込む中毒者があとを絶たず、国が崩壊する原因となった。
そうした過去の教訓から危険視されるためメズマライズリーチおよびその幻惑毒の取引を禁じる国が多いが、未だに裏社会では高値で取引される。
なお、幻惑毒はメズマライズリーチを吸い付かせるだけで良いが、解毒薬の調合には相応の腕のある魔法薬師と材料が必要になる。庶民の手に入らないほど高額ではないが、簡単に買えるほど安価でもない。