友達の何が悪い
翌日、帰りのホームルームが終わりクラスのほとんどが下校したので俺も教室を出ようとすると後ろから声を掛けられた。
「ちょっと、なんで帰ろうとしてんのよ!」
いや、怒鳴られたの方が正しいな。
「別に帰ろうとなんてしてねえよ」
「じゃあなんで鞄持って帰宅準備まんたんなのよ。てゆうか、今日ずっと放課後の予定を待ってたのに何で話に来ないのよ!」
「うっ…。それは悪かった」
そう、俺が小伊瑞に怒鳴られている理由は放課後の予定をまだ伝えて無いからだ。
けど、
「けど、話に行けなかったのはお前のせいだからな!」
「なっ、なんで私のせいなのよ!」
なんでって、俺はちゃんと小伊瑞に予定を伝えに行こうとした。
それも休み時間になる度にだ。
それなのにこいつは…
「お前が休み時間になった瞬間に友達のところに行っちゃうからだろ!」
そう、小伊瑞は俺が話し掛けるよりも先に他の友達のところに行ってしまうのだ。
そして、小伊瑞の友達といったらクラス上位の奴らだ。
その中にいる小伊瑞に話し掛けるなんて無理ゲー過ぎるだろ!
「なっ、それの何処が悪いのよ!」
いまだに自分のやったことが分かってないらしい小伊瑞がまだ突っ掛かってくるがそれはほっておいて話を変えた。
「それで放課後の予定だけど小伊瑞さん、今日ドラ狩り持ってる?」
ちなみに心の中では小伊瑞と呼んでいるけど口に出すときは小伊瑞さんと呼んでいる。
理由はなんか怖いからです。
「えっ?持ってきてるけど」
「おぉ、自分で持ってきてるか聞いといてなんだけど、お前準備いいな。正直意外だった」
「まぁ、学校にはいつも持ってきてるからね」
別に誉めた訳じゃないけど小伊瑞がドヤァってしてるので黙っておこう。
「よし、ならこのまま場所を移動してそこでやろうと思ってるんだけど大丈夫?」
「うん、大丈夫よ。でも、颯天君の家に行っていいの?」
「えっ?今日行くのは俺の家じゃないぞ。今日は俺の家も用事あって無理だし」
そう俺が言うと小伊瑞の顔が不思議そうな顔に変わった。
「えっ、じゃあどこ行くの?私の家も今日は無理よ?」
「いや、お前と相談もなしにお前の家に行く予定立てられるかよ」
そんなの出来るのは勇者かリア充くらいだ。
いや、勇者もリア充も一緒か。
「とりあえず、どこ行くかの説明は移動しながらってことで」
「ん、わかった」
小伊瑞も納得してくれたようなので改めて教室を出て、廊下を歩く。
小伊瑞はニコニコしながら隣を歩いている。
…本当に自分に素直に生きてるよなこいつ。
そして、自分に素直だからこそ…
「あっ、そうだ。さっきのあんたの言葉だけど」
「ん?なんだよ」
きっと思ったことをほとんど言ってしまうのだろう。
「小伊瑞さんってさん付けにするの止めてね。なんか友達じゃ無いみたいだから」
「へっ?あ、おう」
マジかこいつ!何でこんな恥ずかしいこと平気で言えるんだよ!
こいつに不意を突かれたのは釈然としないが、何故か悪い気はしないな。
でも、やっぱり釈然としないので俺も仕返しをしてみる。
「じゃ、俺のことも君付け無しな小伊瑞」
「当たり前じゃない!よろしくね颯天」
なんか俺、こいつに敵わない気がする。コミュ力的な意味で。
でも、とりあえず今日友達が一人増えました。
「じゃあ、結構近いの?」
「んー。学校からはそんなに遠く無いな」
学校から出て目的地に向かっている途中、さっき言ったように目的地の説明をしている。
「目的地のことだけど、俺の知り合いが住んでる家のひと部屋を貸してくれてるんだよ。そこに俺がよくゲームやりに行くから今日はそこに行こうという訳」
そんな大雑把な説明を小伊瑞にした。
「へー。そこに私も行って大丈夫なの?その、本当に私無関係の人なんだけど」
まぁ、小伊瑞の気持ちも分かる。
なんか、自分の知り合いの知り合いってなんか気まずいよな。
しかし、そこは心配ない。
「その貸してくれてる人の家って3階建て何だけど、その人2階までしか使って無くて余った3階を俺が貸してもらってる感じだから」
「いや、それなんにも私よ心配解消されてないから」
小伊瑞はアホな子だが頭は回るようだ。
でも、行けば俺の言いたいことも分かるはず。
「と、言ってるそばから着いたな」
「着いたって、えっ、ここ?」
「そうここ」
「ここって普通のラーメン屋じゃない!?」
俺たちの目的地、ラーメン屋さんに到着しました。
次の話からやっとゲームをやりますので、是非ご覧下さい。
また良い点、悪い点など教えて貰えると助かります。