やっぱりクソゲー
第2話です。少し長くなってしまったかもしれませんが是非ご覧下さい。
「おーい、永斗大丈夫か?」
ほとんど徹夜でゲームをやっていて、机の上で寝ようとしてる俺に普通に話しかけてくるこいつは中学のときから仲が良かった男の高橋司だ。
司は身長が平均くらいの俺より背が高く、昔からスポーツをやっていただけあって体つきはいいほうだ。
「大丈夫なわけあるか、こっちは今、お前がこのゲーム始めないせいで夜までゲームやることになってるんだぞ」
「それ、俺がゲーム始めたとしても夜までやるよね?」
まぁ、否定はしないけど。
「ていうか、いい加減ゲーム始めろよお前」
「いい加減っていうかゲームを始めろって言われたの先週なんですけど」
いちいち時間にこだわる奴だな。
「いいから始めろよ」
「何でだよ。てか、俺がやらなくてもネットプレイとかあるんじゃないの?」
「それがさー、このゲームにはネットという概念が無いんだよ。出来るのはローカルだけ」
「だからお前、友達俺くらいしかいないから誘ってるのか」
「ち、ち、違うし!他にもいるはずだし!」
クラスの皆とか中学から一緒のやつとか・・・
あれっ?皆友達じゃん!良かった、この世にボッチなんていなかったんだ!
はい、すいません。ヤバいですね。何がヤバいってボッチいない宣言をしてること自体がヤバい。
「まぁ、お前に友達がいても、いなくてもゲームを始めるのは無理だな」
俺の独り言を知ってか知らずかわからないがそんな事を言ってきた。
「また、部活という名の言い訳か」
司は、サッカー部に所属していて、2年でエースになっている。
我ながら何でこんなイケイケ系のやつとつるんでいるのか気になる。
そこで2時間目開始のチャイムが鳴り、皆自分の席に着きだす。
なんで2時間目かって?そんなの決まってんだろ。遅刻したからです。すいません。
ちなみに考えた言い訳は無駄でした。
向かい風が強かったのどこがダメなんだよ。全部か、全部ですね。
「んじゃ、またあとで」
そういうと司も自分の席に向かっていった。
「…ん?」
少し目線を感じた。振り返ったが誰もこちらを見ていない。
まぁ、俺のこと見るやつなんていないよね。
…本当にいないよね?
1日の授業が終わり部活に行く人もいれば、家に帰る人もいる時間となった。
司はさっきサッカー部に行った。
いつもの俺ならそのまま家に迅速に帰り、ゲーム三昧なのだが今日は行くところがあった。
そう、あれは少し前の時。
まぁ、本当に3分くらい前なんだけど。
「じゃーな」
「おーう。あんまりゲームやり過ぎるなよ」
「俺的には、そんなやってないけどな」
そんな会話をしたあと、一人で下駄箱まで行く。
そして、下駄箱を開いて靴を取り出そうとしたとき、
「あれっ?なにこれ?」
下駄箱の中に手紙が入っているのに気づいた。
……これはいわゆるラブレターというやつだろうか?
いや、まだわからないぞ!中を確認してからじゃないと。
放課後、体育館裏で待ってます。
……まじか。
いや、まじか、まじか、まじでか!
ど、どうする俺、ラブレターなんて始めてだぞ!
いや、待て。これは罠だ。こんな目立たない俺なんかに好意をいだく奴なんかいるわけないだろう。
しかし、こんな悪質的なことを見過ごすわけにはいかない。
これは行って叱ってやんなきゃダメだ。
……決してちょっと気になるとかじゃないよ?
というここで現在に至る。
俺は書かれていたとおり体育館裏に来ていた。
とうとう俺にもリア充イベントが来たという思いと、これが嘘だったら明日から学校行けないという思いが今、交差している。
そんな、ワクワクかドキドキかわからない感情を持っていた。
~10分後~
…誰も来ないじゃん!
やっぱり罠だったのか!
明日から女子の間で『あいつ本当に来たよ笑』『マジで!ラブレターだと勘違いしちゃったのかな?笑』『可愛そうというより惨めだよね笑』とか言われるんだ!そして、それが学校中に広がって俺の居場所が無くなるんだ!
もういっそのこと泣いてしまおうか?うん、そうしよう。
とか、思ったとき。
「来てくれたわね!」
そんな、あたかも俺が後から来たオーラで声をかけてきた人物がいた。
「どうしたの?返事くらいしなさいよ」
いや、そんな事言われても先に着いて待ってたの俺なんですが。
というか、そんな事はどうでもいい。
「何でお前がここにいるんだよ」
「なんでって手紙渡したじゃない?」
「えっ?この手紙お前が入れたのか!?」
なんと、手紙を入れたのは俺が思いもしない人物だった。
な、なんだと……
俺はもっと甘酸っぱい雰囲気の中で女の子が恥ずかしいけど自信をもって告白してくれることを想像してたのに、こいつはそんなの髪のかけらほど無いじゃないか!
声をかけてきたのは俺の知っている人物だった。
その人物の名前は小伊瑞小和。
白い肌に大きな瞳、そこにスラッと生えているまつ毛、髪は肩ぐらいまで伸びていてる。女子特有の膨らみは慎ましいが、普通以上に可愛いだろう。
そして、可愛いだけあって男子からの人気も高い。
なぜ、俺が小伊瑞のことを知っているかというと小伊瑞とは同じクラスだからだ。
そんな、同じクラスで普通以上に可愛い女の子に手紙を貰ったら普通なら喜ぶのだが、俺は小伊瑞と全くといっていいほどクラスで接点がないのだ。
しかも、俺みたいなジミーズ達は カースト上位の人とまぁ、なんだ、その、はっきり言って、いや、言わなくても苦手なのだ。
それはもう、関わってほしくないくらい。
しかも、それがクラス、最高位の人だったら次の日クラスの皆からなにされるかわかんないだろ。
と、いうことで俺のとる行動は1つだけだった。
「そう、今日呼び出したのは訳があっ…」
「それは大変だな、頑張れよ。じゃあな」
「なんで帰ろうとするのよ!」
今の退却の仕方は俺みたいな奴がやると相手が『えっ?』となって3秒くらい止まるのに小伊瑞は即座に俺の退却を封じた。
小伊瑞やるな。こんなのに強いも弱いもないけど。
「で?何の訳があったんだよ?」
「そう!今日呼び出したのには訳があって」
改めて小伊瑞が話始める。
「その訳っていうのがね、その…、あの…」
ん?どうした?小伊瑞の様子がさっきとは別人のようになっている。
「え、えっと、ね…?」
空は夕焼けが綺麗に上がっている。
小伊瑞の顔が少し赤いのは夕日のせいかもしれないがモジモジしながら上目遣いでこちらを見ている。
「えっと、無理なら無理って言って、ね…?」
「お、おう」
お、おい!これはヤバいやつだ!なんかドキドキしてきた!なにこの展開!俺、告白とかされちゃうの!?
ど、どうしよう。少しぐらいなら考える時間をくれるだろうか?
そんなことよりもこういう時どういった返事をすればいいんだ?
今まで経験したことないからわかんないよ!
「その、一緒に狩りに行ってくれない?」
「はぇっ?」
そんな、誰のものかわからない間抜けな声が聞こえた。
いや、俺のか。
確かに今まで体験したことない展開だった。
少しですが、ヒロインも出て来て書いてるほうも楽しかったです。
まだまだ、続くので良い点、悪い点を教えて下さったら光栄です。