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クラスごと異世界に召喚されたのだが、その中に『異星人』が紛れ込んでいる件  作者: 枕崎 削節


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98 西への旅路

お待たせいたしました。いよいよ次の目的地に向けての旅が始まります。

今週は仕事が忙しくて、投稿の間隔が開きますがどうかお許しくださいませ。

「これは伝説や伝承といったレベルの話で、全く現実的ではないのだが・・・・・・」


 ギルドマスターが言い難そうに話を始める。その口振りからすると何か大きな問題が隠されているようだ。


「ここから見て西の果ての海に面したアルストラ王国にこんな伝承がある。『大いなる者は王国の地下深くに神殿を作りその神を奉った』という内容で、どんな事を指しているのか具体的には何も分かっていない。ただアルストラ王国ではこの伝説に基づいてこの国とはまったく違う神を信仰している。ただし・・・・・・」


 相変わらず歯切れが悪いギルドマスターだが、意を決したように話の続きを口にする。


「現在アルストラ王国では魔女狩りの嵐が吹き荒れている。冒険者すら巻き込まれるのを恐れて誰も近づかない」


 どうやらこれが歯切れの悪い理由だったようだ。それにしても魔女狩りとは・・・・・・そもそもこの世界では魔法が当たり前のように使用されており、人口の半分以上の者がレベルに違いはあれど魔法を使用している。


「誰でも魔法を使うのが当たり前なのに、何故魔女狩りなんだ?」


 タクミの疑問はもっともな話だ。彼自身は魔法が使えないが、パーティーメンバーの美智香、空、紀絵の3人は魔法使いだ。


「事の起こりは20年前まで遡る。当時は国王が治める普通の国だったのだが、教会が手柄と権力欲しさに魔族に手を貸す者をでっち上げて告発したのが始まりだ。それが国内にあっという間に広がって、今では国王でさえも手が付けられないどころか、王族すら魔女狩りの対象にならないかと怯え切っている有様だそうだ」


 想像以上にその酷い様子が伝わる。地球に居た時に歴史で中世ヨーロッパの魔女裁判の話が出てきたが、まさかこの世界でリアルにそのような愚かな事態が進行しているとは思ってもみなかった。


「特に聖女のお嬢さんのように異教徒の者は真っ先に槍玉に上がるだろうから、絶対に行かない方がいいと断言できる」


 彼は空の姿を見て心から心配する様子でタクミたちを諌めた。ただし、どれだけ危険を説いてもタクミたちは必ず突き進むであろうと半分以上は諦めている。


「役に立つ情報の提供に感謝する。これは取っておいてくれ」


 タクミは先程の金貨が詰まった袋から無造作に一握りの金貨を取り出してテーブルに置いた。


「お前たち、まさか行くつもりではないよな?」


「皆で検討して行く価値があるようだったらそのまま旅立つ」


 ギルドマスターはこめかみを押さえて苦悩の表情を浮かべている。いくらダンジョンの踏破者でも今度は国全体を敵に回さなければならない危険を冒させる訳にはいかない。


「絶対にやめておけ! 火龍どころの話ではないぞ!」


「心配するな、アルシュバイン王国の戦乱を終わらせたのは俺たちだ。国が相手だろうが問題は無い」


 ギルドマスターはタクミの口から出た驚愕の言葉に声を失う。まさかとは思っていたが、彼らが隣国に行って帰ってきた時にはあれだけ長引いていた戦乱が収まっていた。まだ詳しい情報が入って来てはいないが、おそらくタクミが言う通り彼らの働きで戦乱が終結したのだろう。


「そうか、忠告はしたから後はお前たちの責任だ。気が済むようにしろ」


 ギルドマスターはそれだけ言うのが精一杯だった。




 タクミたちはギルドを出て商店を巡りながら旅に必要な物品を買い漁っている。多目の食料や新たな衣類などを次々に収納に放り込んでは次の店に向かう。 


「買い物はこの辺で大丈夫だろう。昼はどうする?」


 相変わらず人混みで溢れ返った街中は宿屋だけでなく、レストランや食堂、果ては屋台まで人が食事を求めて押し寄せている。ダンジョンに夢を求めて来る者と3年間税金無しという伯爵の太っ腹な計らいで、街は空前の景気で沸きかえっているのだ。おかげで昼食をとるのも一苦労する。


「どこも一杯みたいだから帰って食べましょう」


 せっかくなので街中の味も楽しみたいが、今はわざわざそんな事に時間を掛けている場合ではないので、圭子の意見に従って一行は仕方なく伯爵邸に戻る。



 ダイニングのテーブルについて昼食をとりながらの会議が始まる。ちなみに本日のメニューは春名の大好物のパスタなので、食べる事に夢中の彼女は全く話に加わっていない。周囲は逆にその方が好都合とどんどん話を進めていく。


「じゃあ、洞窟の街を調査して何も無ければアルストラ王国に向かうってことでいいわね」


 圭子の意見で話はまとまり、話題は例の魔女狩りに移る。


「空はその姿のままで行くつもりか?」


 タクミは彼女が標的になるのを心配するが、空は一向に気にする様子が無い。


「これは私のこの世界でのトレードマークのようなもの。着替える気は無い。逆にこの姿を餌にして加担する者を捕らえて、魔女狩りなどという愚かな行為を止めさせればいい」


 なるほどと一同は頷く。多少の危険は覚悟の上で空の姿を見て食いついてくる魔女狩りの一味を一網打尽にする方針がこの場で確認される。相手が5万だろうが10万だろうが怖い物無しの女子たちにタクミは『一番恐ろしいのはこいつらだ!』と条件反射的に決定した。もちろん心の中で。




 

 翌日、世話になった伯爵にいとまを告げて、ミスター執事やメイドたちの見送りを受けて屋敷を出発する一行。相変わらず馬車の手綱は圭子が握っている。


 街道を進む間、殆ど魔物に遭遇する事無く旅は順調に進む。2日目には南に向かう王都への道と西に向かう街道の分岐点に差し掛かる。ここから西に進んで3つ目の街が国境のバイデンで、そこまではおよそ1週間で到着する予定だ。





「本当にびっくりするくらいに何事も無く此処まで来たわね」


 圭子が操縦する馬車はバイデンの街の門に到着した。事あるごとにトラブルに巻き込まれた一行にとっては拍子抜けするほど平穏な日々が続いて、圭子などは魔物でも出ないかと目を皿のようにして見渡していたが、そんな時に限って何の気配も見つけられないままに此処まで来てしまった。


「嵐の前の静けさ?」


 美智香が不穏な予想をする。もしアルストラ王国に入ったら嫌でもトラブルに巻き込まれるのだから、どうせなら今のうちに平穏を満喫しておきたい圭子以外の一行だった。


 バイデンの街中に入り宿を取るタクミたち、宿の主人は愛想の良い男で気軽に話し掛けてくる。


「お前さんたちも洞窟の街の観光かい?」


「へっ?」


 主人の言葉にタクミをはじめとして一同の頭の上に大量の???が浮かぶ。


 ギルドマスターが話していた洞窟の街は此処から馬車で1日の所に在って、その珍しい景観と目の前にある湖の美しさで有名な観光地になっているそうだ。


「さすがに観光地にPMIシステムが隠されていそうも無いな」


 これでどうやらアルストラ王国行きが決定した模様だ。



 次の朝、馬車で出発して夕方には洞窟の街が見えてくる。そもそもの人口は千人程度だが、観光客がその3倍くらい詰め掛けており、結構な賑わいを見せている。


 洞窟の街と言うからにはてっきり大きな洞穴の中で暮らしているのかと思ったら、夕日に輝く街は想像とは大違いで、地球のカッパドキアのように山の断崖に横穴を掘ってたくさんの住居が作られていた。湖に沈む夕日とともにその景観は美しいの一言だ。


 この街は湖で漁をする漁師たちが崖に穴を掘って住み着いたのが始まりで、人が増えるたびに横穴が増えていって、まるで蜂の巣のような見た目になった。今でも漁師が湖で魚を取っているが、最近では観光業の方が主役で魚は主に観光客に提供されているそうだ。


 タクミたちは紹介された洞窟の一つに入る。そこが宿屋だそうで、中に入ってみると立派なドアがある。20人程が泊まれるような割と小規模な宿だが中々快適な造りで、タクミたちは二部屋を取って洞窟の宿を満喫する。





 今夜はタクミの横に岬と春名が寝ている。すでに二人とも散々にタクミに甘えて満足してスヤスヤと寝息を立てている。


 実はこの日、春名は岬にそそのかされて一大決心をしてついにタクミと結ばれていた。初めての経験が3Pとは中々出来ることではないが、ついにやってしまったのだ。


 春名は元々ビビリな性格でそれがここまでタクミに全てを許さなかった理由だったが、岬の後押しで思い切っていたしてしまった。彼女はその瞬間まで『大丈夫かなー、痛くないかなー?』と本気で不安な様子だったが、いざやってみるとそれほど心配する事無くスムーズに事は終わった。


 春名は心から幸せそうで、それを見つめる岬も嬉しそうにしていた。今は薄いキャミソール1枚という姿で二人ともぐっすりと寝ているのだが、特に春名の寝顔を見ると長いこと掛かってようやく結ばれたという実感が湧いてくる。


 タクミと春名は幼い頃から長い時間を掛けてお互いへの信頼と愛情を積み上げてきた。気持ちを伝えてから結ばれるまでに時間が掛かったのも、いかにも自分たちらしいとごく自然に思えてくる。


 薄暗がりの中で彼女たちの寝顔を見つめなが、らこれから先二人を守って行く覚悟をより強くするタクミだった。

読んでいただきありがとうございました。次回は洞窟の街の観光の話になるかな? でも早めに次に向かわせたいと思っています。

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