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クラスごと異世界に召喚されたのだが、その中に『異星人』が紛れ込んでいる件  作者: 枕崎 削節


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91 黒幕

予告よりも一日早い投稿になります。ダンジョン救出編の続きです。転移された先で彼らは何に遭遇するのでしょうか・・・・・・

 34階層にやってきたタクミたちはそこでとても生物とは思えないような不気味な姿の魔物に出会った。それらは半透明で形を様々に変えながら緩々と這いずって獲物に近づいてくる。スライムにしては大き過ぎるし、その見掛けが余りにも気味が悪い。


「これはまるで這いよる混沌ですね」


 春名のその表現が的確にその魔物の特徴を言い表している。ひたすら嫌悪感しか抱かせないその不気味な姿がジリジリとこちらににじり寄ってくる。周囲を見渡すとこれ一体では無く沼の中から何体もこちらを目指して動きを開始している。


 タクミは試しにデーザーガンを照射してみるが、弱い電流に一瞬動きを止めても再び何事も無かったかのように動きを開始する。


「次はこれだ」


 今度はブラスターガンを放つ。液体火薬が着弾した瞬間大きな爆発を引き起こすが、その奇怪な生物は飛び散った体を再び集結させて何事も無かったかのように元に戻ってしまった。


「物理的な攻撃は意味が無さそうだな」


 タクミはどうするか考えているがその間にもそれはタクミたちの元に這い寄ってくる。その動きは極めてゆっくりしたもので、まだ時間の余裕はあるがいつまでも対抗策を模索していても仕方が無い。


「私がやってみる!」


 美智香は最初にファイアーボールを放って効果があるかを確かめてみるが、火の勢いに怯んだ様子を見せながらも特にダメージを与えた形跡は見られない。


「だったらこれはどうかな」


 美智香が次に放ったのは氷結の魔法だった。さすがにこれは効果があって全体が凍結したためにその不気味なものは動きを止める。


「どうやら凍らせた隙に突破するしか無さそうだな」


 タクミの言葉に頷く一同。対応策が見つかれば後は楽だが、美智香一人しか効果のある攻撃が出来ないというのは心許ない。


「これはどうでしょうか?」


 春名が手にするのは下の階でヒャッハーーしていた例の殺虫剤だ。


「試してみるか」


 タクミがパワードスーツを展開して殺虫剤を手にしながら別の固体に近づいていく。春名は自分でやりたがったが、万一不気味なものが飛び掛ってきたりしたら彼女では避けられないので、代わりにタクミが万全の体制で臨んでいる。


 殺虫剤が届く距離まで近づいてシューーっと吹きかけてみるとその効果は抜群だった。ヌルヌルとしたその表面から体内に取り込んだ殺虫剤の毒素にもがき苦しみだす謎の生物。


「どうやらこいつは毒物が弱点のようだな」


 タクミは元の姿に戻ってブラスターガンの弾薬を入れ替える。その弾薬はもちろん強力な毒物を込めてある。惑星調査員がこのような特殊な生物に対応するために標準装備しているものだ。


 タクミが放つ毒入りの弾丸によって次々とその生物はもがきながら動きを止めてやがて消え去った。


「よし上の階を目指すぞ!」


 彼の声に沼地を慎重に歩きながら上りの階段を見つける。そこを上がった33階層は普通の通路が四方に延びている。


「通路がずいぶん長く伸びている上にこのフロアー自体がかなり広そうだな」


「まるで迷路のような造り」


 タクミに同調した空が感じた意見を述べる。その通りでここは魔物こそ出ないが迷路だった。広いフロアーを歩きながら美智香のマッピングを頼りにして何とか上りの階段を探し当てる。この階層だけでかなりの時間を要してしまった。





 一方その頃臨時の合同パーティーは15階層まで到達している。このあたりまでは何度も降りているので、彼らは道に迷う事無くここまでは順調にやって来た。


「この先を右に曲がれば16階層に下りる階段があるはずだ」


 勇造の言葉に従って全員が角を曲がるとそこには二人の人らしき者が立っている。


「なんだ? 冒険者か?」


 勇造は相手が何者かわからないので一旦立ち止まってその姿を確認すると、どうやらそこにいるのは人間ではないらしい。


「まさか魔族!」


 恵の警戒を呼び覚ます声が飛ぶ。そこに立っている2体は城でレクチャーされた魔族の特徴そのままの姿だった。


「何だお前たちは! まあいい、せっかく我らの前に現れたのだから生贄として捕まえてやろう」


 そこにいた魔族たちはどうやらこの先に人を通さないように見張りをしていたらしい。当然の事ながらダンジョンの入り口にいた門番は魔族の姿など目撃していなかった。もしそのような連中がダンジョンに潜り込んだら大騒ぎになるはずだ。彼らはひょっとしてダンジョンの中でさえ転移してくるような高等な魔法を使えるのだろうか?


「そうか、初めて目にするがこいつらが魔族ってやつらか。取り敢えず1発殴らせろ!」


 勇造は士気を鼓舞するために逢えて大きな口を叩く。その効果は絶大で全員が勇気付けられた。


「そうね、私たちは魔王を倒すためにこの世界に召喚されたんだから、こんな下っ端にいちいちビビッていたらこの先戦えないわ。一気に踏み潰すわよ!」


 勇造に合わせて恵も勇気のあるところを見せる。ここで気合負けしていたら絶対に勝てない相手という事が彼女には十分にわかっていた。


「今回は俺たちが先に行くぜ。援護してくれ!」


 勇造を中心に盾を構えたラグビー部員が前進を開始する。恵と蘭は彼らに魔法障壁を張って防御力を上げる。


「黙って死んでいけばいいものを抵抗するとは人族というのはどこまで愚かなやつらだ」


 攻撃の意思を固めた彼らに対して完全に見下した言い方をする魔族は前進する勇造たちに向けてダークフレームを放つ。闇属性の中級魔法で一度燃え広がると対象を灰になるまで燃やし尽くす黒い炎が勇造たちに襲い掛かる。


「ホリーブレス!」


 それを見た恵は咄嗟に反対属性の聖魔法で打ち消しにかかる。間に挟まれた勇造たちは阿吽の呼吸で身を屈めてちょうどその頭上で双方の魔法がぶつかり合って消滅する。


「恵、ナイスだぜ!」


 魔法が消滅したことを確認して勇造はその身体能力を最大限に高めて一気に魔族の正面に躍り出る。


「約束だ! まずは1発目!」


 その顔面目掛けて鍛え上げた拳を振るうと魔族が展開している障壁を打ち破ってその顔面にめり込んだ。


「グオーー」


 自らの魔法が消滅しただけでなく思いがけない強烈な一撃を食らった魔族は拳の勢いに吹き飛ばされて壁に激突する。もう一体にはラグビー部員が交互にシールドバッシュを喰らわせて、弱ったところに腰の短剣を引き抜いて止めを刺していく。


「こいつらはほんの下っ端だろうな。手応えが無さ過ぎるぜ」


 勇造の言う通り魔族たちは下っ端に過ぎなかったが、それを簡単に倒す彼ら自身の能力も侮りがたいものがある。


「でもこれで本郷君たちが戻ってこない理由がはっきりしたわ。こいつらが邪魔をしていたって事よね」


 死体で転がっている魔族を顎で指しながら恵が今回の騒動の原因を分析する。全員の意見が一致で彼女の見解が支持された。


「で、どうする? この先にもこいつらが待ち伏せしている可能性が高いんだが」


 勇造の言葉に考え込む恵、この先に潜む危険と今回の使命の重さを計りかねている。クラスメートを助けたいが、そのために自らのパーティーを危険に晒す訳にもいかない。


「後はタクミ君たちに託して私たちはここで待機しましょう。これ以上危険は冒せないし、攻略者の実力に賭けましょう」


「俺もその意見に賛成だ。まだ俺たちでは正面切ってこいつらと戦う力がない。今回はやつらの油断に助けられたがこの先はそうも言っていられないだろう」


 二人のリーダーの意見に異を唱える者は居なかった。危険だったら引き返すようにタクミたちに口が酸っぱくなるほど言い聞かされていたからだ。この先魔族たちがどれだけ入り込んでいるのか未知数なだけに、この先には進まないという判断はこの場では的確だろう。


『タクミ君たち、お願いよ!』


 勇者たちの救出を彼らに託さざるを得ない心苦しさを感じながら、それでも願わずにはいられない恵だった。


 

読んでいただきありがとうございました。次回かその次くらいで救出編は終わりになりそうです。どのような結末を迎えるのかお楽しみに。次回の投稿は金曜日の予定です。感想、評価、ブックマークお待ちしています。

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