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クラスごと異世界に召喚されたのだが、その中に『異星人』が紛れ込んでいる件  作者: 枕崎 削節


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81 火山に潜むもの

圭子の告白の続きになります。二人はその後・・・・・・

 翌朝、圭子は照れながらもタクミの目を真っ直ぐに見ている。だが彼女の脳裏には昨夜の事が何度もリフレーンしている。


 昨日成り行きとはいえタクミに自分の気持ちを打ち明けてしまった圭子だが、その後春名や岬の『記念にどうぞ!』という言葉に乗せられて一晩タクミのシェルターで過ごした。




「こんなの自分のキャラじゃない!」


 そう何度も心の中で繰り返しては見たものの、隣に寝ているタクミの腕に抱きしめられて心臓が破裂しそうなドキドキ感を味わった。


 激しく動揺しながらもなぜか心の何処かで安心している自分もいる。そんな複雑な思いの中で一度タクミと口付けを交わすと、自然に彼の体に自分から抱きついていた。抗う事など出来ない感情に身を任せてついに最後までしてしまった。


 どんなに強くても『やっぱり自分は女なんだな』と不思議な感覚に包まれながらも、幸せで濃厚な一夜を二人で過ごして朝を迎えた。


 そして今二人はいつものように朝の訓練を行っている。


「あちこち痛いから少し加減して」


 圭子の動きがいつもに比べて明らかにギクシャクしているのは、タクミが見ても一目でわかる。


「今日くらいは無理しなくていいんじゃないか?」


 タクミは圭子を気遣って声をかけるが、それくらいでへこたれるような圭子ではない。まだ色々と疼いている痛みは無視して組み手を繰り返す。


「ダメだ! 全く思うように動けない!」


 それはそうだ、初めてを経験した翌朝に組み手なぞ行う方がどうかしている。だがこれも圭子なりの愛情表現だった。『結ばれた後もタクミに甘える事無く今までと同じような関係でいたい』それが圭子が望みだ。もちろん気持ちが通じたことでタクミと共に歩む決心もしている圭子だが、それは彼の後を着いて行くような関係では無く、胸を張って横を歩きたいと思っていた。


「無理をしないでこのくらいにしておこう。休むことも稽古のうちだ」


「なんか負けた気がする」


 負けず嫌いが意地を張っているだけだ。とはいえタクミの思いやりは圭子にも伝わっている。ここはひとつ彼の優しさに免じて顔を立てる事にした。


 訓練を終えて再びシャワーを浴びてシェルターの外に出ると岬が朝食の支度をしている。 


「ご主人様、圭子ちゃん、おはようございます」


 丁寧に頭を下げる岬に二人揃って挨拶を返す。


 だがこの時岬は全てを悟っていた。圭子のわずかな変化を見逃す彼女ではない。メイドの目は誤魔化せないのだ。


「圭子ちゃん、昨夜はご主人様にずいぶんと可愛がって貰えたようですね」


 岬の言葉で圭子は理解した。


『完全にバレてる』


 もちろん岬の方がかなりの頻度でタクミに抱かれておりその道では先輩だ。その目を誤魔化し切れないと思った圭子は岬に懇願する。


「お願い、みんなには内緒にしておいて!」


「圭子ちゃん、それは無理な注文です。後で洗いざらいお話してもらいます」


 思えば岬の時も圭子はタクミをチョークスリーパーで絞め落としながら、洗いざらい吐かせていた前科がある。岬のちょっとした仕返しをここで食らう羽目になるとは・・・・・・


「岬、俺からも頼む! 内緒にしてくれ」


 タクミは再び精神が大きく削られる危機を回避するべく岬に頭を下げるが、珍しく彼女はタクミの頼みを聞こうとはしない。


「ご主人様、圭子ちゃんがご主人様のお嫁さん候補になった記念すべき大事な事を内緒になど出来ません!」


 キッパリ言い切る岬、彼女にとっては大切な家族が増えた記念日だと主張して全く譲る気配を見せない。むしろ隠そうとする方がおかしいとでも言いたいようだ。


 ここに至っては二人ももはや覚悟を決めるしか残された道は無かった。


「わかった、朝食の時に俺から話をする」


 圭子もタクミの言葉に渋々従う。今朝の朝食は彼女にとって公開処刑の場になる事は間違いなしだった。





「圭子ちゃんおめでとうございます」(春名)


「ふーん、そうなんだ」(美智香)


「私も頑張ります!」(紀絵)


「タクミはなぜ私に手を出さない!」(空)


 意を決してタクミが打ち明けた時の女子たちのリアクションだ。


 誰も驚く事無く当然という受け止めがされた。圭子は恥ずかしそうにしていたが、この薄い反応にかなりホッとしている。むしろ圭子に先を越された感の方が強くて、彼女たちは今後さらに積極的にタクミに迫る決意を固めているようだ。

 



 その後はいつもの朝と変わらずに、準備を整えて出発する。拍子抜けの思いの圭子はいつものように先頭を歩いているが、様々な事が頭の中を駆け巡りやや注意が散漫になっていた。


 そのときシロが何かの気配に気がついて吠える。


 圭子が出ようとしたが、それを制してタクミが前に立つ。今の彼女に無理をさせられないと考えた配慮だ。


 タクミたちの前には人型でありながら人でない者が空間から湧き出てくる。すでに何度も遭遇した魔族が合計3体その姿を現した。


「こんな所まで追いかけてくるとは、お前たちもとことん物好きだな」


 ブラスターガンを構えて油断無く魔族を見つめるタクミ。こんな所に転移して来るという事は、魔族は常にタクミたちを何らかの方法で監視していると思った方がよい。


「本当に殺しても飽き足らないやつらめ! お前たちのおかげでせっかくの我らの工作が水の泡だ」


 憎々しげにタクミを見る魔族、その瞳は暗い炎に燃え上がっている。


「工作? どうせ碌な物ではないだろう。聞いてやるから話してみろ」


 タクミはあくまでも上から目線で完全に相手を見下している。


「そのような事お前たちに話す必要も無いわ。大人しく死んで行け!」


 こいつは学習能力が無いのかとタクミは呆れた。あれだけ仲間が散々にやられているのに、まだ楽に勝てると思っているその精神構造が理解出来ない。何処かに大国ぶって近くの国に喧嘩を吹っかけている国が地球にあったが、その指導者たちと同じようなものかもしれない。


「そうか、話したくないのなら聞く必要も無いな。無駄に終わったという事はすでに過去のことなんだろう。一々聞いても不愉快になるだけだ。死ね!」


 タクミは続けざまに引き金を引く。3発の気体火薬弾が魔族の体を通り抜けて地面で爆発するとそこには魔族の姿は無かった。


「実体が無いな、精巧なフォログラムのようだ。魔法で幻影を投射していたのか?」


 独り言のようにつぶやくタクミ、魔族も満更馬鹿ではないようだ。だが姿を隠して不意打ちした方が勝率は上がるはずなのに、わざわざ姿を現す意図が掴めない。


「何らかの罠を仕掛けているか、時間を稼ぐためと考えるのが合理的」


 美智香の判断だ。タクミもその意見に賛成する。おそらく彼らはすでにPMIシステムの場所を探し当てており、そこを占拠するためにタクミたちを接近させたくないというのが最も合理的な考え方のようだ。


「どうやら今回は先を越されたらしい。少し急いだ方がいいようだな」


 とは言っても危険な山道で場所もわからず、すぐに魔族たちには追いつけない。ただ、彼らの反応からしてどうやら近くまで来ているのは間違いなさそうだ。


「これなら魔族の姿を探して進めば、目的の場所が見つかるかもしれないな」


「私だったら目的地が近いと見せかけて、別の場所に誘導する」


 タクミに対して美智香が意地の悪い意見を言う。だがそれももっともな考えだ。魔族が時間を稼ぎたいと思うならば、寧ろその方法をとる事も考慮に入れる必要がある。


「伝説通りにドラゴンがいるとすればその巣は大きな洞穴だろうから、まずは当初の予定通りにその痕跡を探すしかない。ダンジョンもエルフの里も伝説のある場所だった。おそらくドラゴンも伝説があるなら実在する可能性が高い」


 美智香は与えられた情報を分析して最も高い可能性を導き出す。


 魔族に警戒しつつドラゴンの存在の痕跡を優先して探す方向で話はまとまり、更に山を登りだす一行だった。 

読んでいただきありがとうございました。次回は目的の場所を発見出来たらいいなと思っています。感想、評価、ブックマークお待ちしています。次は金曜日の予定です。

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