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47 エルフの村の異変2

体調不良のため投稿が遅れました。すみません・・・・・・


 翌朝、朝食が終わってやることがないタクミ達は村でも見て回ろうかなどと相談をしていた。


 村人達は結界の外に出て木の実を集めたり薬草を採取したりそれぞれが出掛ける用意を始めている。


 古代機械の取り扱いをタクミ達に任せるかどうかの話し合いもこれから村長の家で行われようとしていた。


 その時突然タクミ達が入ってきた結界の入り口の方で轟音が響くとともに、村全体を覆っている結界自体が大きく揺らいだ。


 



 アルソナは懸命に逃げていた。彼女はサラナと一緒に森を調査中に魔族に捕らえられ、仲間3人とともに森の一角に作られた魔族の拠点で拷問を受けていた。


 魔族の狙いは結界を開くための祈りの言葉を知ることで、そのためには手段を選ばず肉体と精神を痛めつける。


 仲間は拷問にその命が尽きるまで口を割ることなく死んでいった。彼女も今出来る事は仲間達と同じく村を守るために死んでいく事だと覚悟を決めていた。


 だがその日の夜明け前に、なぜか魔族の監視が緩くなった。彼女はその隙を突いて拠点を抜け出して、必死に村を目指して森を歩いた。


 体中が痛み気を緩めると意識を失いそうになるが『村が魔族に狙われている事を知らせなければならない』その一心で足を引き摺りながら何時間も森を歩き続ける。


 そしてようやく村の入り口に辿り着いて『これで村を救える』と思い祈りの言葉を口にする。


 結界が彼女を迎え入れるためにその入り口を開き、その中に入り込もうとしたその時・・・・・・彼女の体は巨大な音を立てて爆発した。


 魔族はわざと隙を作り彼女を逃がしていた。そして拷問によって彼女が意識を失っている時に、その体に爆発の術式を埋め込んでいた。


 入り口を開かせてそこで爆発を引き起こし結界を壊すことが目的で、彼らの目論見どおりに村を覆っている結界は大きく揺れ動いて閉じることが出来なくなってしまった。


 


「一体どうしたというんだ? 精霊が怯えて逃げ出そうとしている」


 村のエルフ達は結界の入り口で起こった爆発の事をまだ知らないが、彼らにしか見えない精霊が何かを恐れている事だけは理解して警戒をしていた。


「魔族だー! 魔族が入り込んで来たぞー!」


 村の入り口に近い方にいたエルフの男性が危険を知らせるが、その直後彼は魔族の手にかかって息絶えた。


「どうやらここにも魔族が来たようだな」


 タクミの言葉に一同は頷いてすぐに戦闘準備に入る。


 春名と空をシェルターに残して残りの5人が入り口へと向かう。彼らは村のかなり奥の方に寝泊りしていたので、入り口に着く頃には魔族とエルフの戦士達の戦闘が始まっていた。


「岬と紀絵、小さな子供を奥に誘導してくれ」


 タクミの指示が飛ぶ。魔族の侵入が早かったせいで、付近には逃げ遅れた女性や子供が大勢残っていた。エルフの戦士達は家族を守ろうと必死で弓を引き絞り魔族に向けて放つが、全て障壁に阻まれてダメージを与えられない。


 同じように彼らの魔法も全て障壁で無効化されていく。わずかに草木魔法で植物の蔓を伸ばしたり、足元の木の根を伸ばして前進の妨害をする事しか出来なかった。


 それだけこの世界では魔族は戦闘に関して飛びぬけて強い存在だった。


 その強大な敵を迎え撃つエルフ達に焦りと絶望が広がっていく。


「全員下がっていろ!」


 すでにパワードスーツの展開を終えているタクミが前面に飛び出す。その姿にエルフ達だけでなく魔族も目を見張る。


 彼らからすればゴーレムのような物体が戦闘に割り込んできたといった感覚かもしれない。


 タクミの視界に映る魔族は全部で6体、一人占めしても構わないが後から苦情が出そうなので圭子に確認を取る。


「何体残しておけばいいんだ?」


 彼が振り向いた先で手首をコキコキと動かしていた圭子はニンマリとする。


「私達は一体ずつでいいわ」


 エルフ達が束になっても敵わない相手を1対1で倒すつもりらしい。念のため今は後ろに下がっている岬の分も残しておくのでとりあえず3体を手早く片付けることにした。


 現在戦場の全ての注目はタクミに集まっている。魔族達もかつて見たことがないその姿に慎重に出方を窺っているようだ。


 タクミは事情聴取のために一体は生かしておきたかったので鎮圧用のデーザーガンを照射してみるが、これは彼らの障壁に阻まれて効果を上げない。


 魔族達はタクミの攻撃が思ったほど威力がない事に自信を持ったのか、彼に向かって不用意に前進してきた。


 エルフの村を襲ったのは、魔族の中でも戦闘にかけてはエリ-ト集団と呼ぶべき者たちだった。タクミ達が獣人の森に入る前に生贄狩でたまたま彼らに出くわした魔族とは大きくレベルが違っている。


 彼らが展開している障壁もかなりの高等魔法で、相手の攻撃を寄せ付けずに一方的に攻撃出来るものだった。


 前進してきた先頭の魔族は戦士タイプのようで、剣を振りかざしてタクミに迫る。しかも障壁に覆われているため攻撃に全神経を集中していた。


『キーン・・・・・・バキッ!』


 だがタクミはその振り下ろされた剣を無造作に撥ね付けて彼方に吹き飛ばした。敵の攻撃を寄せ付けないのは魔族だけではない。科学技術で作り出された強力シールドは、魔族の剣ごときで傷の一つも付かない。


 そしてタクミは丸腰になった魔族の顔を殴りつけた。それほど力を込めずに避けられないようにスピード重視で打ち込んだそのパンチは、魔族ご自慢の障壁を簡単に叩き割って顔にめり込んで後頭部に突き抜けた。


 魔族の体はタクミの左手が支えている。そして彼がその手を引き抜くとドサッっと音を立てて倒れた。


 その頭部には大穴が開いて地面を大量の青い血が濡らしている。


 仲間が一撃で倒された事に呆然としていた魔族達だが、さすがは鍛えられた戦闘エリートすぐに気を取り直して今度は3人同時に切りかかってきた。


 タクミは一々かわすのも面倒なので、左端の1体の剣を弾いてからその背中を圭子がいる方向に押す。


「待ってました!」


 圭子はそれを見て素早く前進すると、グッと体を沈めた低い姿勢から突き上げるようなアッパーを顎に叩き込む。いつもの正拳ではなくてどちらかというとムエタイに近い動きだ。


 タクミに背中を押されてバランスを立て直そうとしていた魔族は、その体が浮き上がるほどのパンチを受けて一発で意識を失った。


 圭子の鍛えられた肉体と大地の篭手によって増幅されたパワーは、簡単に魔族の障壁を打ち砕いた。


「タクミ! こいつは生かしておくんでしょう!!」


 圭子はタクミの意図がわかっていたようでそれ以上の追撃はしない。 


 二人がそんなやり取りをしている間に、後方にいた魔族が放つ魔法を美智香が一人で対応している。相手の魔法の反対属性の魔法を放って打ち消しているのだ。


 この程度の事は彼女にとっては準備体操のようなもので、まだ本格的な攻撃は控えている。あまり威力の大きな魔法はタクミの行動の妨害になるのでディフェンスに徹していた。


 タクミは1体を圭子に任せてから、残りの2体をそれほど時間をかけずに倒していた。と言うよりもワンパンで終わらせていた。残りは魔術師タイプの2体、ここで美智香が始めて攻勢に出る。


 ダンジョンでは威力が大きすぎて使えなかった複合魔法を選択して、タッチパネルの2箇所同時に触れる。


 その手から放たれたのは土属性と炎属性を組み合わせた最上級魔法『ボルカニックバレット』灼熱の火山弾が2体の魔族を目掛けて飛び出した。


 まさか最上級魔法が無詠唱で放たれると思っていなかった魔族は必死で障壁を張るが、全く虚しい努力に過ぎない。


 易々とその障壁を突き破り、その体に真っ赤に熱された弾丸が次々に命中する。


「ギヤーーーーーー!」


 地面を転がりまわって振り払おうとするが、あまりの高熱のためすぐに衣服に燃え移り体全体が瞬く間に炎に包まれた。


 すでに息がある魔族は圭子がダウンさせた一体のみ、彼女は意識を失っている魔族の肩の辺りを踏みつけながらその手首をクイッと捻って関節を外した。


「痛てーーーー!」


 その痛みで意識を取り戻した魔族だが、圭子はその側頭部を蹴飛ばして黙らせてからもう一方の肩も同じように外した。


「さあ、これから楽しい尋問の時間よ! 黙秘権は一切認めないからそのつもりでしっかり答えてね」


 もはや抵抗のしようが無くなった魔族の鳩尾の辺りを踏みつけながら、ニンマリ笑う圭子だった。


ブックマークにご登録ありがとうございました。引き続き評価、感想、ブックマークお待ちしています。次の投稿は日曜日の予定です。

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