第76話 魔王様ー!祭りに行きません?
おっ、お腹が…クソ痛てぇ…(^ω^)
そして、時間が過ぎその日の夜のこと。
クーデリアの夜の町を歩く、リカルダの姿があった。
あの時のオルダスの眼差しを見て、リカルダは精霊の訪れを祝う“精霊祭”に行って見ることにした。疑いの気持ちはあったが…
《それは、1時間前のこと》
ウェルミナとルア、ジルは精霊の訪れを祝うパレード、クーデリアで行われる“精霊祭”を見に、町に繰り出しそうとしていた。
「ええ〜!精霊祭に行くのかよ?」
精霊祭を見に行こうと言うウェルミナに、ジルは嫌そうな表情をした。
「今日は修行をして、疲れてるんですよ。見に行くの、明日にしません?」
昼間のオルダスの修行に受け、ルアとジルはクタクタだった。
「無理よ。今日がこの期間最後の精霊祭なんだから!見逃す訳にはいかないのよ」
「じゃあよ、お前だけで行ったらどうよ?俺達の身を案じろよ」
ジル達の言葉に、ウェルミナは視線をリカルダに向けた。
リカルダまだうついたまま…リカルダにとって、リヒト大神官の死亡は相当なショックだったらしい。
(これじゃあ、リカルダも行けそうにないわね)
「アンタ達!精霊祭に行くわよ!」
ウェルミナは強制的にジルとルアを連れて、階段を降りて行った。
オルダスの家の前で、1人になったリカルダ。1人になってもうつむき、顔をあげる様子がない。
「おや、まだ落ち込んでいたのかリカルダよ」
オルダスが紙袋と、水の入った瓶を2本を抱え家から出てきた。
リカルダの落ち込みようを見て、オルダスは呆れているようだった。
「お前、晩飯も食べていないじゃないか。ほれ」
オルダスからパンを渡されるも、リカルダは無反応だった。
「食欲がない…か。しかし、食べんと力がつかんぞ?」
オルダスの心配の言葉にも、ピクリともせず黙り込む。
「精霊祭はな、精霊の訪れを祝うとついでに、亡くなった魂を呼び寄せる祭なんだ」
唐突にそう言い出すオルダスに、リカルダは口を挟んだ。
「何を言いたいんだ?」
「精霊祭は死んだ魂を呼び寄せる祭でもあるのさ、古代の人々が精霊の力を借りて、死者の魂を呼び寄せていたんだ」
と言っても精霊祭には色々な説がある。
精霊の力を借り、文明の未来を予知していた…
精霊の力を借り、薬草学を学んでいた…
数えきれないほどの説がある。それは一部の仮説に過ぎない。
「精霊祭でリヒト大神官の魂が戻ってくるとでも言うのか?」
リカルダは馬鹿げたことを言う、オルダスを睨みつけた。
普通、死者の魂は一生、戻ってくることはない。
死ぬと、未練や怨念がない限りそのまま天へと旅立ってしまう。
魂を呼び寄せるなど、精霊の力を借りてもできないこと…あらゆる生物がどんな手を使っても、できないことだ。
「そうだ。またリヒトに会える可能性があるということだ」
オルダスの言葉に、リカルダは顔を上げた。
「オルダス、俺をからかってるのか?死者の魂は戻ることはない…お前もそう教わらなかったのかよ?」
…死んだリヒト大神官に会える筈がない。
会いたいが、それはどうあがいても無理なことだよな。
夜空に広がる満天の星を見て、リカルダはそう考えていた。
もうリヒト大神官とは会えない…か…
「話が信じられないなら、騙されたと思って行って来いよ。お前を残して死んでしまったと未練を抱え、この世界に止まっているぞ」
リカルダに、オルダスは続けてこう話した。
「もし、その状態で長く続けば、リヒトが未練から堕天する可能性もある。会うのなら、今の内だぞ?」
リヒト大神官が堕天する。その言葉に、リカルダから血の気が引いた。
怨念や未練を抱いた死者の魂は、この世に長く止まるほど怨念は大きくなる。
それは、やがて大きな憎悪となり、最悪の場合は堕天を間逃れなくなってしまうことがある。
「信じられない話だが、リヒトに会えるかもしれん。行ってみる価値はあるんじゃないか?」
《そして、現在…》
確か、精霊祭は大通りでやってるって言ったよな?
リヒト大神官に会えるかもしれない…
リカルダは人混みの中を歩き、パレードに向かった。
と、その道中。リカルダがジル達の横を通り過ぎる。
「ん?」
ジルがリカルダの存在に気づき、リカルダが行った方へと視線を向ける。
「どうしたのよ?」
視線を向けた方向には人混み…リカルダを見失ってしまった。
「いや、お前に教える筋合いはねぇーよ。クソババア」
「な!?誰がクソババアですって〜!?」
「2人共…落ち着いてください!」
後ろで騒ぐ、ジルとウェルミナとルアの存在にも気づかず、リカルダは大通り足を運んだ。
ラッパだろうか?愉快な管楽器の音が聞こえてくる。
人混みでほとんど見えなかったが、大通りでパレードが開催されているみたいだ。
そうリカルダがパレードを見ている途中、悪魔斬りの剣が青く光り出した。
また見てくれるかな?




