第73話 魔王様!大変な騒ぎが起きてますよ!
城門の前にある、2人の兵士が槍を持った石像の槍の先に…
「あ…リヒト様…ソフィア様…?」
リヒト大神官と妻ソフィアと思われる首が、槍に刺されていた。
目と口、首の切断面から血が滲み出て、像の土台を真っ赤に染めていた。
充満する生臭い鉄の匂いと、リヒト夫妻の悲惨な姿に、サリーは思わず口を手で覆い、目を逸らした。
「おい!お前達!何をして…」
駆けつけた兵士達が目の前の光景に、あんぐりと口を開けた。
「お前達!今すぐどけ!」
兵士達は人混みをかき分け、リヒト大神官とソフィアの首を片付けた。
その光景を見ていた民衆達は、口々にこう言い始めた。
「悪魔の所為だ…!」
「悪魔がリヒト様夫妻を殺したんだ!」
「リヒト様を殺した悪魔を許さないわ!」
民衆達の声は徐々に大きくなっていき、町に響かせるほどの大きさになった。
「皆、落ち着きなよ!」
イグナの言葉が聞こえていないのか、落ち着くどころか、激しさを増していった。
「お前達、落ち着け!やめ!」
兵士も民衆を落ち着かせようとするが、兵士は民衆達に押さえつけられてしまった。
「こうなったら、悪魔に、悪魔に復讐だ!」
「リヒト様を殺した悪魔を許すな!」
「悪魔のやったことを後悔させるのよ!」
民衆の掛け声に、テロリアの民衆が集まって来た。
それは、何千人いや何万人ものテロリアの民達が城前広場に集まって来ていた。
「悪魔を殺せ!悪魔を滅せ!」
「リヒト様の仇を晴らすんだ!」
「そうよ!そうよ!悪魔なんて消えちゃえばいいんだわ!」
何万人もの民衆達が様々な声をあげる。それは、悪魔に対する恨みのもので耳が痛くなるほど、民衆達は悪魔に批判の声を上げた。
「おやおや皆さん、何をしているのですか?」
すると、リヒト大神官の城のテラスからある男が現れる。
服装や身なりから見ると、この男は貴族と思われる。
「お前は…誰だ?」
突然現れた男に、テロリアの民衆は様々な声をあげた。
「失礼、私の名前はアルベルト。アカルガーデンから来た者です」
“アルベルト”この名前を聞いて、民衆達がざわめき始めた。
「アルベルト…?誰なんですか、あの人?」
サリーは知らなかったのか、横にいるイグナに聞いた。
「アルベルトは、あのアカルガーデンを統べる統治者だよ。アカルガーデンの中心の存在にあたる人物なんだよ」
イグナはいかにも憎たらしそうに、アルベルトを見た。
「あたし、あいつ嫌いなんだよ。アカルガーデンの統治者ってのもあるけど、それ以上に性格がアウトなんだよね」
アカルガーデン…赤いレンガ造りで出来た町。アカルガーデンがテロリアを何らかの理由で敵対し、ちょっとした騒ぎも勃発するなど色々と問題の多い町でもある。
その為、テロリアの大半の民衆はアカルガーデンを嫌っている。
「どうして、アカルガーデンの統治者であるお前がそこにいんだよ!」
「そうだ!そうだ!アカルガーデンは帰った帰った!」
民衆達はアルベルトに一斉に批判を浴びせた。
「落ち着いてください、皆さん」
その批判に怯まずアルベルトはこう言い続けた。
「ところで、皆さんは悪魔に復讐をしたいと思っているのですよね?」
「まぁ…確かにそうだが」
そう言う民衆達の声に、アルベルトはニヤッと笑いこう言った。
「アカルガーデンを統べる私が、皆さんの希望に答え、ここの統治者になり悪魔に復讐してやりましょう!魔王の城に兵を送り、悪魔の王古い蛇を殺すのです!」
悪魔、悪魔の王である古い蛇を殺してくれる…
何もできない民衆達は、この言葉に喜びの声を上げた。大半を除いては…
「あいつがこのテロリアの統治者になるなんて…!」
アルベルトはテロリアの敵であるアカルガーデンを統べる者。
敵であるアルベルトが、ここ…この国を統治するなんて…たまったもんじゃない。
「お前!国ごとテロリアを乗っ取って、何をする気だ!」
イグナの横にいたロクスが、大声を出しアルベルトに叫んだ。
「何もする気はありませんよ。皆さんの願いを王として叶えるだけですので」
アルベルトの何か企んでそうな顔に、イグナは奥歯を噛み締めた。
「…こいつ!絶対何か企んでるよ!」
「あれ?この国の王である私に、口答えするんですか?貴女達はいけない人だ」
アルベルトが城門を潜り抜け、開かれた道を通りイグナ達に歩み寄る。と…
「フッ、君がこの国の王になるなど!一万年早いわ!」
可愛らしくも威厳の籠った声が、広場に響いた。
ーキャラクター紹介ー
アルベルト…アカルガーデンを統べる統治者。赤い貴族服をき、クリーム色の髪が特徴的。イグナによると、性格がアウトで最低野郎だそう。
こいつは何か企んでいるようだ。
“おやおや皆さん、何をしているのですか?”
ー固有名詞、マップ紹介ー
アカルガーデン…赤いレンガ造りで出来た町。アカルガーデンがテロリアを何らかの理由で敵対し、色々と問題の多い町。
その為、テロリアの大半の民衆はアカルガーデンを嫌っている。
次回も見て欲しいですね




