第7話 魔王様は禁術ってご存知ですか?
謎の少女フォメを仲間に入れたリカルダ達は、カラクサ平原の川辺にきていた。
透き通った水には魚が群れを作り、気持ち良さそうに泳いでいる。
フォメはそれに興味津々、もっと近くで見ようと顔を近づけ、川に落ちてしまった。
びしょ濡れの服を着る…という訳にもいかないので、ウェルミナが代わりの服を持って来てくれた。
そんな出来事もあったものの、リカルダ達はスライムの群れを発見する。
「あそこにスライムさんが、居るよ!」
と黒い服を着たフォメがスライムの群れを指差した。
「私が行くわ!」
ウェルミナがスライムに近づいていく。
「雷針!」
雷針…雷、電気をレイピアに溜め込み攻撃する技。ナイトの基本技でもある。
バチッ…バチバチ!
電気が込められたレイピアでスライム達を突いていく!
スュュュュッ!
スライム達は電気により焦げ、黒くなっていった。
「フフッ、修行しておいた甲斐があるわね」
「今倒したのが、1、2、3、4、5匹。後、5匹だな」
辺りを見回すとまだスライムがいっぱい居る。
「早く終わらせて、次の依頼に行くぞ」
「了解、私がやってやるわ!」
そう言って前に出てスライムに攻撃しようとするウェルミナ。
「ウェルミナねぇちゃん!私がやる!」
「えっ?アンタが?」
「うん、私戦えるし!」
フウゥイィィィン!
スライムの周りに黒の魔法陣が現れる!
「これは…」
「怨恨の加齢!」
怨恨の加齢…恨みによる呪いから、相手を老いらせる技。あまりにも危険な為、禁術に指定されている。
シュュュイィ!
スライム達の体にシワができ、やがてはスライムとは見分けがつかないほどに。5匹のスライムは動かなくなった。
「これって、禁術“怨恨の加齢”…!」
「ええ危険な術よ。アンタ、その術なんで使えるの?」
「いやー、気づいたら使えてて…」
えへへへと頭をさするフォメ。
「これからは使っちゃダメよ?」
「えっー、何でぇぇ?」
「これは禁術、これを魔道士に見せたらアンタは死刑にされるのよ?」
昔々、魔道士が居た。魔道士は強くなる為、悪魔に「強い術が欲しい」と言った。
悪魔はそれを受け、魔道士に7個の禁術を教えた。
“怨恨の加齢”、“塗替過去”など
悪魔は「むやみに使ってはいけない」と魔道士に言い残し去って行った。
魔道士は悪魔の忠告を無視し、禁術を使い世界の秩序、常識を壊して行った。
魔道士の存在に危惧した、ある冒険者が魔道士を殺したのだった。
この逸話から秩序を乱す7個の禁術を、使った魔道士は火あぶりにされる習慣ができたのだ。
「そうなの?分かったよ。使わないよ!約束する!」
「それならいいのよ」
ウェルミナはフォメの頭を優しく撫でる。
「次は『ヒハリネズミの針5個入手』行くぞ」
リカルダ達はヒハリネズミが生息する場所へと、歩いて行った。
リカルダ達が行った後、風車の影から三人の男が出てくる。
「おいおい、見たか?あのガキ、禁術を使ってたぞ」
「ああ見た。あいつはただ者じゃねぇーな」
男はそう言って笑みを見せる。
「そうだ!俺考えたんだけどよぅ、あのガキをさらわね?あいつを闇呪術士達に売り飛ばしてよ!大儲けだ!」
「おおう、それはいいな!」
「罠をしかけ、禁術を使うガキは攫う…でいいな!」
「おう!俺達も行こうぜ!」
男達はリカルダの行った方向へと向かって行った。
ーキャラクター紹介ー
・ライム…緑の髪をサイドテールにした女性。サリーの先輩的な存在。ここ最近まで何かしらの病気で寝込んでいたらしい。
“ほらどいたどいた〜!”
・アンドラス…フクロウの顔に翼が生えた姿の悪魔。皆殺しにする事が好きで「殺してやろうか」が口癖になっている。不和を巻く能力を持っている。
“殺してやろうか?殺してやろうか!?”
グラシャ…犬の姿に翼が生えた悪魔。アンドラスと一緒にいることが多く、皆殺しが好きだそう。透明化させる能力を持っている。
“痛い!痛いでやす!助けてでやす〜!”
次回も見るのよ??