第65話 魔王様!悪い奴らはしっしっです!
『クーデリア』…テロリアの東に位置する隣町。青の屋根と白い壁で統一され、大陸一清楚な町とされる。他にも、ここでは“クーデリア魔法瓶”という万能な瓶が作られているということで有名である。
そのクーデリアに、足を踏み入れるリカルダ達が居た。
「うわ〜。綺麗〜!」
目の前に広がる海と白い美しい街並みに、ウェルミナは見惚れていた。
「ここがクーデリア!噂通り綺麗な街ですね…」
ルアもウェルミナと同様、街並みに見惚れている。
俺も初めて来たが、こんな綺麗な町は初めてだな。
「だろ?クーデリアの魅力はこれだけじゃねぇぜ!今の時期ではだな、夜に精霊の訪れを祝うパレードがあるんだ!それがすけぇきれいでよ…」
ジルは目を輝かせるルア達の姿をみて、語り出した。
「へぇ〜、この町のこと詳しいんですね」
「まぁな、俺の親戚がここに住んでてよ。ここの地形には詳しいんだ。お前達はここの町初めてだろ?俺が案内してやるよ!ついて来い!」
「やたら上からね。アンタだけ町のこと知ってるからって調子乗ってんじゃないわよ」
「うっせぇ、口煩ババア!」
「ババアじゃありませーん!」
嫌味を言いながらも、ウェルミナはジルの後ろについていく。
「お前ら“クーデリア魔法瓶”知ってるか?」
「馬鹿にしないで頂戴、そんなこと知ってるわ。耐久性や性能が高くて、壊れてもすぐ再生して、もとどおりになる魔法瓶のことでしょう?」
「口煩ババアの割にはよく知ってるじゃねぇか。今からその魔法瓶屋に行くぜ、ついて来な!」
その言葉を聞いて、ルアの目が輝く。
「本当ですか!僕一回行ってみたかったんですよ!」
っておい、目的ずれてないか?
オルダスの修行を受けに来た筈何だが、観光になってるぞ。
ジルとルアの姿を後ろから見て、リカルダはそう思っていた。
その事を伝えようとジルに話しかけようとする。と…
「お前。ちょっと待てよ」
肩を掴まれ、動きを止められる。
振り向くとそこには、リカルダと同じ年齢だろう冒険者が数人居た。
嫌悪の顔で、リカルダを睨む男達。その男達の顔を見てリカルダの顔が強張る。
「お前、確かテロリアの英雄ハイルの子供だろ?」
「そうだが、何か用か?」
「やっぱりそうだったか!顔が似てたもんだからすぐわかったぜ」
1人の男が口元をニタニタさせながら、リカルダを指差した。
「お前この前、テロリアで悪魔を倒したらしいじゃねぇか?凄いな、悪魔を倒すなんてなぁ〜それも沢山の観衆で…」
男達のリーダーらしき人物の顔が、般若のような顔になる。
「勇者ハイルの子供だからって、調子のんじゃねぇーよ?お前なんざ、俺達の力でボコボコに出来んだよ?もっと良く言えば、お前を瞬殺できるぞ?ここでやって見るか?あぁ?」
は?なんだこいつら…
「はははっ!こいつ怖くて何も言い返せないって顔してるぜ?勇者ハイルの息子が、こんな顔して…」
「プッ、ワーハッハッハ!爆笑モンだぜ!」
「煩い…黙れ!」
リカルダは押しつぶれそうな声で、男に言った。
「おう、勇者ハイルの息子さんがお怒りの様子ですよ〜!皆さん〜!」
そういう男にリカルダは、光の無い瞳で睨みつける。
「…ああ?睨むなよ、勇者ハイルの息子様。こっち見んなよ…うっぜぇんだよ!」
男がリカルダに手を出そうとしたその時!
ガシッと男の手をルアが掴む!
「何してるんですか〜?冒険者様〜?」
にこやかな笑顔で、男の手を力強く掴むルアから凄ましい殺気が漂って来る。
うわっ…あの時以来の殺気だ…
「あははっ、5人で1人をいじめるんですね。そういうのは、集団でしか行動できない臆病者がする事なんですよ?わかります?」
とか言うルアの横から、ルアを超える殺気を纏ったウェルミナがやってくる。
「ふーん、私の大切なリカルダをいじめるなんて、いい度胸してるわね…始末されたいのかしら」
「またか!お前ら!」
殺気がプンプンの2人の横から、ジルが出てき言った。
「自分が上手く活躍できないからって、妬んで罵声を浴びせるってのはな!最低の人物がする事なんだぜ?」
「そうよ!今すぐリカルダに謝ってよね!」
ビクビクする男達に、3人はしつこく詰め寄る。
「…お、覚えてろよ!」
3人の気迫に負けたのか、男らはこの場から逃げようとする。
「ちょっ、こら!待ちなさい、まだリカルダに謝ってないわよ!戻って来なさーい!」
ウェルミナの言葉にも目にくれず、この場から走り去って行った。
何なんだ…あいつら。
リカルダは何か思い出したのか、顔が微かに歪む。
「あいつらは何なんですか?ジルさん、あいつらを知っていたみたいですが…?」
「ここら辺では有名な根暗どもだ。自分が思うように活躍できないからってな、お前みたいな奴を妬んでは罵声を浴びせて、軽蔑する…最低野郎さ。今さっきのも、お前を妬んでの行動だったんだろうな」
ルアは何か悲しそうな表情をするリカルダに近づき、肩に手を置く。
「気にしないでください。ほら、気分転換に魔法瓶見に行きましょうよ!」
「行きたいのはやまやまなんだが、修行を受けに来たんじゃなかったのか?」
すると、横からジルが肩に手をかけてきた。
「そんなんはな、明日だ。明日!オルダスの修行を受ける前には、体をゆっくり休ませねぇとな!」
「そうよ!修行は明日よ。今日はこのクーデリアを楽しみましょう!」
こうして、クーデリアを満喫したリカルダ一行であった。
次回も…見てね…




