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第63話 魔王様、新勇者に大変な物が手に渡ってしまいましたね

「最後の…頼み?」


最後の頼みがあると、言い出したリヒト大神官にリカルダは思わず首を傾げた。


「ああ、ちょっと来てくれんか?」


次にリヒト大神官に連れてこられたのは、リヒト大神官の部屋だった。


「暫く待っといてくれ」


そう言って奥の部屋へと入るリヒト大神官の背中を見て、リカルダは疑問に思っていた。


最後の頼み…?何故そんな事を?まさか…リヒト大神官の後が少ないとか…?


最悪の事態を想像し、リカルダの顔が青ざめた。

気を紛らせようと、視線を壁に飾られている額縁に目を向ける。


これってもしや…!


それを見てリカルダの目は見開く。


額縁に飾られていたのは、金色の王冠を被ったリヒト大神官の息子、ロビンの絵画…。

リカルダが驚いたのは、ロビンがベリトとそっくりだったからだ。


顔立ち、髪形に格好が完全に一致し、瞳や髪、服と鎧の色は違っていたが、この人物がベリトととしか言いようがなかった。


ベリトは…リヒト大神官の息子の…ロビンが…


バタン!


リヒト大神官が奥の部屋から、金色の彫刻がはいった大きな箱を担いで持ってきた。


勢いよく扉が開く音に、リカルダはビクッとなった。


「よっこらっしょと」


相当重いのか、箱をテーブルの上に雑に置いた。


リヒト大神官に、息子が堕天して悪魔になったなんて、言えないな。


知ってしまった事実に、リカルダは気まずくなった。


リヒト大神官は箱を開け、中から鋭い剣を取り出した。


刃が怪しくも美しい光りを放ち、剣の青い不思議な模様が浮き上がっている。


「それは?」


初めて見るほどの美しい剣に、リカルダは質問しざるおえなかった。


「これは、“悪魔斬りの剣”だ。持って見てくれ」


リカルダはリヒト大神官から剣を受け取ると、軽く刃に触れてみる。


ピシッ…


とリカルダの指に赤い切れ目が入り、切れ目から血が垂れる。


少し触れただけでも斬れるなんて、斬れ味が凄いな。こんな剣初めてだ…


「どうだ?凄いだろ?剣を思いっきり横に振ってみろ」


リヒト大神官にそう言われ、リカルダは剣を横に振る。と、


ボボボオォーン!


壁に一筋の青い切れ目が入り、大きな音を立てながら部屋の壁が崩れ落ちた。


うわ、ヤバいな。一振りしただけでこれかよ。それになんか青い模様が光ってるし…


リカルダは奇妙な物を見るように、剣を見た。


でも何かしっくりくる。今の剣より軽くて、扱いやすそうだな。


「うむ。どうやら剣も認めてくれたようだな。新しい持ち主として」


リカルダと剣の様子を見て、リヒト大神官は言った。


「剣が認める?どういう意味だ?」


「悪魔斬りの剣はな、意思を持つ剣なんだ。ちょっと貸してみなさい」


リカルダは渡したくないという気持ちがあったが、リヒト大神官に剣を渡す。


剣がリヒト大神官の手に渡ると、たちまち剣の模様の発光が止まる。


「見てみなさい。私が手にした瞬間、光が収まっただろう?」


リヒト大神官はリカルダに、剣を返した。すると、また剣が光り始めた。


「この模様が光るのは、手にしている者を、剣が持ち主として認めたという意味合いがある。この剣は私達が剣を選ぶのではない、剣が私達を選ぶのさ」


剣が人を選ぶか、聞いた事ないが…


「その様子だと相当気に入ったようだな。よし、その剣をお前に託そうじゃないか」


「え?本当か!?」


リヒト大神官の言葉に、リカルダはキラキラと目を輝かせる。


「ただし、条件がある。お前が一人前になってからだ。いつか、その剣で古い蛇を倒して欲しいんだ」


魔王シルエラのことか、確かタマにもそんなこと頼まれたな。


古い蛇…このワードをきいてリカルダは東方の国の件を思い出した。


「私からの最後の願いだ。このままでは勇者だけではなく、人間が魔族の猛攻に、滅んでしまう可能性がある。それを止めるには、魔族の王である古い蛇を倒さなければならない」


リヒト大神官の表情が強張る。


「ハイルの息子である、お前にしかできないことなんだ。我々人類のためにも、古い蛇を倒してはくれないか?」


「…わかった」


リヒト大神官は、あまりリカルダに頼みをしてこない。長い付き合いの仲だが、頼みをしてきたことなんて、滅多になかった。

それに、リヒト大神官にはお世話になった。一緒に遊んでくれたり、勉強を教えてくれたり…感謝する事が沢山あった。


リカルダはいつか、リヒト大神官に恩返しをしようと考えていた。


まだ恩返しが出来てない状態にあったため、リカルダはこの頼みを恩返しとして、受け入れた。


「…勝てるがわからないがな」


…リヒト大神官の頼みなんだ、恩返しとしても受け入れよう。

しかし、相手は魔王…勝てる筈もない。俺に魔王を倒せるほどの力があるのか?


今回のリヒト大神官の頼みに、リカルダは正直戸惑っていた。


「…ありがとうな。私の無茶な頼みを受け入れてくれて、お前はホントに私の鏡だ」


ポンポンとリカルダの頭を、リヒト大神官は優しく撫でた。この光景はまさしく、孫と祖父のようだ。


「おや、もうこんな時間か」


リカルダを撫で終わると、リヒト大神官は時計に目をやった。時計の太い針が真横をさしていた。


「すまんの。これから隣町の『アカルガーデン』に用事があるんだ。私は出かけるが、お前達はここでくつろいでいていいからな」


「いや、いいよ。こっちもこの後依頼を受けにいくし、リヒト大神官が出るならこっちも出るよ」


リカルダとリヒト大神官は、部屋を出た。


「遠慮はいらんのにな…あ、お前、修行なんかして見る気はないか?」


廊下を歩いている途中、リヒト大神官が思い出したように言った。


「修行?」


「そうだ。私の知り合いに、オルダスっていう奴がいてな。そいつが『クーデリア』で修行教室?というものをやっているらしいんだ」


オルダス?何か、聞いた事があるような名前だな。


「まあ行くか行かないかはお前次第だ。お前にとっていい修行になるとおもうがな」

ーキャラクター紹介ー


ロビン…リヒト大神官の息子のこと。何十年か前に乗馬練習をしていたところ、暗殺者達に、装備品が真っ赤に染まるほどに首を撃たれ、死亡。暗殺者への恨みから堕天し、悪魔のベリトとなった。


また見てくれないかい?

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