第62話 魔王様、最後の頼みとはなんでしょうね?
ルークに案内され、リカルダ達はエントランスを抜け、城内に入った。
「リヒト様からは話を聞いています。この間の件の悪魔を倒したと…凄いですね。悪魔を倒すなんて…」
雪のように白い城内のあちらこちらに、金が散りばめられ、眩いばかりに輝いている…。リカルダ一行は、あまりの眩しさに目を細めた。
レッドカーペットが敷かれた城内を歩るいていると、壁のところどころに兵士が装飾品を飾り付けているのが見かけられた。
ルアはそれを疑問に思い、ルークに質問した。
「あの、何かパーティでもするんですか?」
「アンタ、知らないの?」
ルアの質問にルークではなく、ウェルミナが反応した。
「明日、リヒト様と妻のソフィア様の結婚記念日なのよ。その結婚記念日を祝うパーティの準備をしているのよ。アンタ、この国の民として覚えてなくてはならない、リヒト様夫妻の結婚記念日もわからない訳?」
ウェルミナはルアのあまりの無神経さに、呆れた。
「んまぁ…はい。すみません、忘れてました」
ウェルミナにキツく言われ、ショボーンとするルアの肩にジルはポンと手を置く。
「そんなに落ち込まなくてもいいぞ。あんな口煩せぇババアは無視しとけばいいんだよ」
「誰がババアですって!」
ジルの言葉にカッとなり、怒鳴るウェルミナ。あまりの煩さに、リカルダは耳を塞いだ。
「それが煩いんだよ、口煩ババア!少しは頭を冷やしたらどうなんだよ?」
「あ、アンタこそ!頭を冷やしたらどうなのよ!その短気でキレ症な頭を治したらどうなのよ!」
「オメェに言われる筋合いはねぇよ!」
バチバチバチとジルとウェルミナの間に火花が散る!
「ウェルミナ、これはお前が悪い」
何とか止めようとリカルダは、ウェルミナに話しかけた。
「私が悪い?ハッ、何言ってんのよ?」
ウェルミナは鋭い眼光で、リカルダを睨んだ。
「あいつが悪いのよ!あいつが私に突っかかってくるから!」
「はぁ??ちげぇよ!お前が悪いんだよ!このクソ女!」
「この神聖な城内で、そんなはしたない言葉を吐くんじゃない」
ギャーギャーとウェルミナとジルが、言い合いをしていると、中央のレッドカーペットがひかれた階段から礼装をきたリヒト大神官が降りてきた。
「り、リヒト様…」
ジルは突然のリヒト大神官の登場に、戸惑っていた。
「よく来たぞ、リカルダよ」
リヒト大神官の目線がジルから、リカルダに移る。
「この城に来るのは何年ぶりだろうか、この間の件は助かったぞ。色々話したい事があるんだ…いや、その前にお礼をしないとな」
「いいよ。お礼の物なんて…いらない」
リヒト大神官の物は派手だし、俺に合わないし、使わないしな…
「おやおやそうか?相変わらず物欲がないのう。でもお礼はしないとな…連れの者達の事もある。ルーク、ジル!この連れの2人を部屋に連れて行ってやれ」
「かしこまりました」
とルークとジルは、瞳をキラキラさせるウェルミナと申し訳ない顔のルアを連れ、階段を上がっていった。
「さてと、リカルダ。ついてきたまえ」
リヒト大神官に連れてこられたのは、見張りの役割をする監視塔だった。
「久しぶりだな。こうしてお前とここで景色を見るのは…」
長い螺旋階段を登り、石段に手をかけるリヒト大神官。
その塔からはテロリアの町の全体が見渡せる…。リカルダのお気に入り場所の一つであった。
「そうだな…3年前ぐらいか」
あれから大分たったな…もう3年も経ったのか…早いな時が流れるのは。
テロリアの街並みを眺めるリカルダに、リヒトはさりげなく問いかけた。
「どうだ?冒険者として満足に活躍できいているか?」
「まだ“E”ランクだ。まだまだだよ」
「ほう、そうか。ハイルの血を受け継いでいるお前なら、今の時点で“S”ランクに昇格してもいいんじゃないか?」
というリヒト大神官の言葉に、リカルダはムスッとした表情になる。
「ああ…すまない、すまない。機嫌を損ねてしまったのう。まだハイルの事を嫌っているのか?リカルダよ」
「いや別に…」
あまり…父さんの事を出さないで欲しい。父さんの事を考えると、またあの事を思い出すからな…
「…何かあったのか?ハイルがお前に何かしたのか?」
表情から何かあったことを読み取り、リヒト大神官は重い口を開いた。
「何もしてないさ、父さんの事は尊敬してるし、感謝しているよ。そんなことはない」
「そうか…」
そして暫くの沈黙が2人の間を通り過ぎる。
口を開いたのは、リヒト大神官だった。
「リカルダ。最後に、お前に頼みたい事があるんだが、いいか?」
ーキャラクター紹介ー
リヒト大神官…テロリア町、この国を統べる老国王。大神官というからに、聖職者のビショップでもある。テロリアの民と国を第一に考え、悪魔を相当嫌っている様子。リカルダとは親子のような関係で、ハイルとは親友の仲。
“リカルダ。最後に、お前に頼みたい事があるんだが、いいか?”
また見てもらえると、嬉しいです。




