第57話 魔王様…新勇者、何か過去にあるみたいですよ!
サリーに当たるとういうその時、
「何してるの!」
パリーッン!
すぐ近くで魔法を弾いていたネビロスが、サリーの前に出て魔法を掻き消す。
「えっ…」
サリーは何が起こっているのか、理解できないでいた。
(敵のライムさんが助けてくれてる…?)
「自分で身を守るってことぐらいしなさい!」
ネビロスはそう言うと、サリーに飛んでくる赤い針を防いでいく!
パリッー!パリーン!
あっけなくかき消される赤い針に、ウィストリアの顔が強ばった。
「逃げなさい!早く!」
ネビロスはサリーに振り返り、そう言った。
「…は、はい!」
なんだかわからずに、サリーはこの場を走り
去って行った。
「これで、出来るわね」
シュゥゥ!
ネビロスの周りに赤い霧が現れた。
「残虐呪。貴女達皆…苦しみなさ〜い!」
《ネビロスとウィストリア率いる闇魔道士達が交戦する一方、ウェルミナは…》
「待て!この野郎!」
沢山の闇魔道士達の追われの身となっていた。
(ゴキブリみたいにしつこいわね…)
曲がり角を利用し、闇魔道士達を巻こうという作戦だったが、巻けない状態にあった。
なんとか巻こうと、大通りの向かい側の路地に入ろうと、大通りに踏み込もうとすると…
ドサッ!
ウェルミナは後ろばかり見ていた所為か、誰かとぶつかってしまった。
「おや、君は…」
ぶつかったのは、後ろに兵士達を連れた隊長らしき人だった。
「町の民から、女の子が闇魔道士達に追われているという報告を受けたんだが…その追われている女の子とは、君のことだね?」
隊長はウェルミナの後ろに居る、闇魔道士を見てそう言った。
「そ、そうよ!」
「そうか、もう大丈夫だ。お前達、闇魔道士達を抑えろ!」
(た、助かった〜)
ウェルミナは抑えられる闇魔道士らを見て、安心していたが…
(そうだ…あいつがいるんだ!)
ウェルミナは、ネビロスのことを思い出し、再び路地に向かって走り出した。
「ちょっ、君!」
戸惑う隊長をよそに、ウェルミナは路地に入る。
(ここで足止めくらってたら、あいつに追いつかれちゃうわ!)
路地の道が混じる交差点を、通り過ぎる時…
ウェルミナの視界に、黒髪の男の子が映る。
癖毛の黒い髪に、ボロボロの白いシャツを着ていて、青色の瞳には光がなく絶望を見ているようだった。
顔立ちはリカルダに似ていて、本人そっくりだった。
ウェルミナは思わず足を止める。
(…今のは…)
ウェルミナは少年が見えた場所を、暫く見つめていた。
《魔王の城・謁見の間》
巨大な赤い月が浮かぶ空の下…
そこには、破滅状態にある村があった。
家屋からは黒い煙が上がり、外壁にはベトベトととした赤い血がこびりつき、地面には無残に転がる血塗れた死体。
まるで地獄に直面しているような光景だった。
その村の端にある崩れた教会の上に、黒いドレスを着た怪物が居た。
村を眺める光のない赤い瞳には涙が流れ、ドレスには赤い血が散りばめられていた。
「崩れてしまったな…」
その女性は何かに気づき、赤い輝きを放つ目を見開く…!
「……!」
謁見の間の椅子にたれかかって寝ていたシルエラが、飛び起きた。
辺りを注意深く見回し、誰もいないか確認する。
「寝てたの…か…」
シルエラは、ふうと機嫌の悪そうな表情を浮かべた。
胸糞悪い…嫌な過去を思い出したな…
シルエラは気を取り直して、書物を読むのに集中した。
“崩れてしまったな…”
シルエラはある言葉を思い出し、書物をパタンと閉じる。
読む気がなくなった…
シルエラは立ち上がると、本を本棚にしまい、書物室を出た。
まだスライムの強化をし終わってなかったな。
スライムの強化をしに、エントランスへ続く階段に続く廊下を歩く。
その道中のこと、廊下の奥から足音が聞こえてくる。
「ヒヒーン!シルエラ様が居ほす!」
「居はす♪居はす♪」
と会話を交わした後、廊下の奥から2匹の馬人間が走ってくる。
「シルエラ様居ほした!居ほした!」
うわっ…相変わらずキモいな。トラウマになりそうだな…
ユニコーンと馬が、二足歩行しだした様な姿をした2匹悪魔がシルエラに寄ってきた。
「何だ。オロバス、アムブスキアス…」
「シルエラ様が探していた魔法具でありほす」
オロバスと呼ばれた、黒い毛並みをした馬人間がシルエラの問いに答えた。
ああ…2匹に頼んだ奴か。今思い出した。
「シルエラ様、別効果の魔法具なんか集めてどうしはすか〜♪」
ユニコーンの角を生やした馬人間のアムブスキアスが、怪訝な顔をする。
「まあ…ちょっとな。2匹ともよくやってくれたな」
シルエラはそう言い残し、階段を降りていった…
ーキャラクター紹介ー
オロバス…黒い馬人間。何故か分からないが、“ま”が“ほ”になる。シルエラに忠実で、シルエラを見つけては追いかけるなどのストーカー行為を繰り返し、1度シルエラに殺されかけたエピソードがある。
“ヒヒーン!シルエラ様が居ほす!”
アムブスキアス…白い馬人間。ユニコーンの角が生えているのが特徴。音楽的な愉快な性格で、歌っているような口調になり、何故か“ま”が“は”になる。
度々エントランスで音楽会を開いたり、演奏会をひらいたりと音楽が好きだそう。
“シルエラ様、別効果の魔法具なんか集めてどうしはすか〜♪”
次回も見てくださいはすか〜♪




