第55話 魔王様、運命の再会ですね!
「貴女…スリーヴァの日記を持っているのかしら?」
突然、ウェルミナの目の前に現れた悪魔ネビロス。
「…ライム?」
髪色や肌の色、髪型は少し違うが、
顔の輪郭、目の色と前髪、喋り口調…それに、以前着ていたワンピース…
若干違うところがあるものの、完全に以前ギルドで一緒だったライムの姿だった。
「ライム…?私はライムではないわ。私はネビロスよ」
「いや、アンタはライムよ…!忘れたの?ギルドで一緒だったじゃない!」
ウェルミナの言葉に、ネビロスは一瞬驚いた顔をするも…
「ウフフ…ハハハ!アハハハハッ!」
いきなり腹を抱え笑い出した。
「この悪魔の私が、貴女達人間と?笑わせるんじゃないわよ。人違いじゃないかしら?」
「…嘘じゃないわよ。アンタは忘れているけど、ギルドで一緒だったことは確かで!色んな話をして、サポートしてくれて…」
ウェルミナは、ネビロスにゆっくり近づいていく。
「思い出しなさいよ。私達ギルドのこと、サリーのことも…自分のことを…!?」
ネビロスは何を思ったのか、変形した手でウェルミナの首を掴み、持ち上げた。
「口煩い小娘ね、私を貴女達と一緒にしないでくれる?」
ネビロスは首を締める力を強くする。
「私は人間じゃないの、わかる?悪魔なの!」
ネビロスの目が、血のように赤くなり光り、頬に赤いヒビが入る。
「私はライムじゃない、ネビロス。ネビロスなのよ!言ってごらんなさい、ネビロスって!」
あまりの力にウェルミナの顔が歪む。
「その口で、その喉で、その腹で!ネビロスって言いなさいよ!」
ウェルミナはこの悪魔…いや人物をネビロスと、認めたくなかったが、
「ネビロス…やめて…」
これ以上はヤバいと、認めるしかなかった。
ネビロスはウェルミナの言葉を聞いて、首を締めていた手を話した。
「がはっ…」
ウェルミナは、いつの時か降り出していた雨で濡れた地面に倒れ込む。
「いい子ね、私貴女のこと嫌いじゃないわ」
と言うと、ウェルミナに合わせる様にネビロスはしゃがみ込んだ。
「ところで、貴女がスリーヴァの日記を持っているのよね?」
ネビロスはウェルミナの髪をわし掴みにし、顔を無理矢理自分の方に向ける。
「その本、私にくれるかしら?」
「嫌よ…渡さない!」
パキパキッ…
ネビロスの顔に再び、赤いヒビが現れる。
「渡しなさいよ。貴女が持っていても何も意味がないでしょう?それはシルエラ様の大事な物なのよ…」
「…これは絶対に譲れないの!」
ウェルミナがそう言うと、ネビロスの顔に笑みが浮かぶ。
「そう…なの。悪い子にはお仕置きをしないとね!」
爪が剥き出しになった手を上にあげ、ウェルミナの顔を引っ掻こうとする。その時!
「居たぞ!?」
ネビロスの後ろの方から声がする。
声のした方を見ると、そこには闇魔道士達がネビロスを凝視していた。
「かかれ!悪魔は動きを封じろ!」
「はっ!」
闇魔道士らのリーダーと思われる男を除いて、闇魔道士達がネビロスに襲いかかってくる。
ネビロスは立ち上がると、闇魔道士達の方を向く。
「邪魔よ。薄汚い人間共が!」
シュウウゥッ!
ネビロスの周りに、赤黒い霧のようなものが現れる!
その赤黒い霧は、段々と濃度を増し闇魔道士を覆う。
「なんだ?この霧は…?」
と暫らくすると、闇魔道士達が苦しみ出した。
「はぁっ…誰…か。助け…」
「く、苦し…い」
闇魔道士達の顔には、赤黒いシミのようなものが…
ウェルミナはそれを見て驚いた。
(これは…残虐呪!)
残虐呪…ライムが患っていた呪い。
ウェルミナはこの悪魔が、ライムが堕天したものだと確信した。
分かったとしても、もうライムの頃の記憶は取り戻せない。
ウェルミナはその隙に、すぐ横にあった窓から民家に入り込む。
普通はこんなことをしたら、犯罪ものだが今は仕方ない。
人がいない民家の奥へと行き、入り口を探していると、
バァゴオオオォーッン!
何かが崩れる大きな音がし、ウェルミナは後ろを振り返る。
「嘘…!?」
後ろには、今さっきまで闇魔道士達と戦っていたネビロスが居た。
さっきの様相とは違い、手が赤黒く変色し、手がとんでもないデカさに巨大化していた。
ウェルミナは再び前を向くと、走り出す。
「逃げるなんて、悪い子ねぇ!」
ネビロスは床を蹴り、ウェルミナに接近する。
「逃がさないわ〜!」
ネビロスの周りから赤い霧が発生し、ウェルミナを包み込もうとする。
(あった!入り口だ!)
ウェルミナが包み込まれる寸前、入り口を発見し、外へと飛び出す!
「!サリー!?なんでここに!」
ウェルミナの視線の先には、買い物の帰りと思われるサリーの姿があった。
また見てくれるよね?




