第52話 魔王様!闇魔道士にも警戒を!
「リカルダさん、おはよ〜ごさいまぁ〜す」
ルアがあくびをしながら二階から降りてくる。
え、まさか今起きたのか?
リカルダはギルドの壁にかけてある時計を見る。太い針がななめ左上を指していた。
「結構寝てたな…何してたんだよ」
「昨日ですか?昨日は何かそわそわして眠れなくてですね〜こんな時刻に起きてしまっふぁ〜っ」
ルアは「眠気ざましに水飲んで来ます」と廊下へと歩いて行った。
あの調子だとダンジョンに行けそうにないな…
今日はルアと依頼を受けに行こうと思ってたんだが、最中に寝てもらうと困るし…
リカルダは辺りをキョロキョロし、ウェルミナを捜す。
「マスター、ウェルミナは何処に?」
ようかん?何かを食べていたゼーレに、リカルダは問いかけた。
「ウェルミナは朝早くから、出かけに行ったぞ。夕方に帰ってくるって言ってたが…」
朝から夕方までお出かけって…どんなお出かけだよ。
リカルダは立ち上がり、ギルドの入り口に向かう。
「お前もお出かけか?」
「まあ、そうだな。そのついでに、ウェルミナの様子見に行ってくる」
リカルダはゼーレにそう言い残して、ギルドを出る。
怪しい曇り空の下、リカルダは人混みを掻き分けるように道を進んで行く。
何かあるかな…暇潰しに簡単な依頼でもするか。
リカルダはそんなことを考えながら、冒険依頼受託所に向かった。
入ってからすぐ、Eランクの掲示板を見る。
何か簡単な素材集めの依頼は…
【スライム30匹討伐・報酬900G】
【ケイブフロッグ10匹討伐・1500G】
など討伐系の依頼が掲示板を埋め尽くしていた。
ないか…しょうがないな。
リカルダは仕方なく【スライム30匹討伐・報酬900G】の紙を千切ろうとする。
「なあ、そこの少年」
と声をかけられ、リカルダは後ろを振り向く。
そこには、数人の男達がリカルダを見て笑っていた。
「お前、勇者ハイルの子供だろ?」
中央の男がリカルダの顔を見て、そう言う。
なにか嫌な予感がするな…
「まぁそうだが」
男の問いかけに、リカルダは渋々答えた。
「それなら、俺らと手合わせしないか?」
やっぱりそうきたか…今はそう言う気分じゃないしな。断ろう。
「断る。こっちは用事があるんだ」
それに相手は5人。5人と戦うなんて無理がある。
そう言われた男はリカルダの肩を掴む。
「俺達はどうしても今の実力を試してみたいんだよ」
実力試しか。他に頼めばいいじゃないか、なんでEランクの俺に頼むんだよ。
「他にあたってくれ」
ここには俺より強い奴がわんさか居る。
ほら、あそこにいるSランクの冒険者とかに…
「お前じゃなきゃだめなんだよ。なあ、いくらでも出すから俺達と手合わせしてくれ!」
男はしつこくリカルダに頼み込む。
「俺らに勝ったら何でも奢ってやるぜ?リマリスの武具とか高級料理とか何でもだ!」
なんで俺じゃなきゃだめなんだよ。おかしいだろ。
ガシッ…
リカルダは男の手をどける。すると、男はリカルダの腕を強く掴んでくる。
男に強く腕を掴まれ、リカルダの顔が思わず歪む。
「なら、力づくでも…」
男の顔は狂気に彩られていた。
「あれ?リカルダ!久しぶり…って何してんの?」
声がした方に視線を向けると、そこには両腰に鉄の爪をぶら下げたイグナが居た。
「いや…これは…」
イグナは男達に視線を向ける。
イグナは何かを見通したのか、男の腕をリカルダから振り払った。
「ごめんね。今日はリカルダはあたしと用事があるから。手合わせなら今度あたしがしてあげるね!」
「ちょっ…お前と用事って…」
「ほら、リカルダ行くよ」
イグナはリカルダを引っ張り、受託所から出て行き人気のない通りに来た。
「なんだよ。こんなところに連れ出して…」
ボケッとするリカルダに、イグナは何か怒っている様子だった。
「君、鈍感!マジ鈍感!あの男達、君を殺そうとしていた暗殺者なんだよ!そんなこともわかんないの?」
そうだったのか?そう言われてもな…わからん。
「さっぱりわからんって顔してるね。最近、暗殺者と闇魔道士達が活発に動いててさ…今その理由が分かったよ」
「えっ?それは、どういう?」
「…君って肝心なところで鈍感なんだね」
イグナはまだわかんないの?という顔をする。
って言われてもホントにわかんないんだが…
「場所移動しよっか。そろそろ昼どきだし、奢ってあげるから昼ご飯食べに行かない?あたしの行きつけの場所があるんだよ」
そうイグナに連れて来られたのは、テロリアの南部にあるレストランだった。
てっきり商店街のレストランに行くと思っていたが…こんなレストランがあるとは知らなかったな。
「ちーっす!店長!」
イグナは店長らしきコックに軽い挨拶をし、イグナとリカルダは窓際の席に座った。
「ここの料理は美味しいんだよね♪あたしは、カルボナーラで!リカルダは何にする?」
「…俺もイグナと同じやつで」
「かしこまりました」
オーダーを済ませた所で、最初に口を開いたのはイグナだった。
「ねえリカルダ、君って古い蛇を倒すの?」
イグナの思いがけない言葉に、リカルダは少し驚いた。
「まあ…まだ倒すとは決めてないが。倒してくれと頼まれたな」
「ふーん、そういうことね。君、過去に闇魔道士とか暗殺者に襲われたことあるでしょ?」
納得した様子で、イグナはうんうんとうなづく。
「あるな。つい何日前かに襲われたな」
「やっぱり…最近闇魔道士達の動きが怪しくて、古い蛇に何かしようとしてるんだよ」
闇魔道士達が魔王に…?
リカルダは東方の国での闇魔道士が言っていたことを思い出した。
“君、僕達闇魔道士にとって邪魔な存在なんだよね”
“古い蛇が殺されないためにも、君を殺した方が早いかなと思ってさ〜”
「何をしようとしているのかは、流石にわかんないけど、悪魔とはさらさら関係ないスリーヴァの日記までに、手を出そうとしてるんだよ。何考えてんだか意味不明だよね」
と話している内に、料理が運ばれて来る。
「カルボナーラでございます」
「いっただきまーすっ!」
テーブルの上に乗せられたカルボナーラを、美味しそうに食べ始めるイグナに対し、リカルダは考えていた。
闇魔道士が、全く関係のないスリーヴァの日記に手を出そうとしているか…
何かスリーヴァと悪魔に関係があるのか?
もしかして、スリーヴァは…
「リカルダ?食べないの?早く食べないと冷めちゃうよ?」
「あ、ああ…わかった」
いや、それはないよな。考え過ぎだ。
イグナにそう言われ、料理に手を付ける。すると、
「おやおやそこにいるのは…勇者ハイルの息子さんとイグナさんじゃないですか」
とローブを身に纏ったある男が、リカルダとイグナに話しかけてきた。
この人物の正体とは…?
あら?二周目突入ですわね?次回も見てくださいですわ!




