第51話 魔王様、えげつねぇですね!酷いですよこれは!
《日時が過ぎ、とある村では…》
パリーン!
村の端っこに位置する家に、何かがわれる音が響く。
「どこだ、どこだ?スリーヴァの日記は!」
黒いローブを羽織った男魔道士…いや、無数の男闇魔道士が、薬品が並べてある棚を漁る。
パリーッン!パリッ!
次々に落ちていく薬品。部屋の隅にうずくまっていた少女が、男闇魔道士の腕を止める。
「やめて!魔物さんの大事なお薬が…!」
「あぁ?邪魔だ!」
「キャァッ!」
男闇魔道士は、少女を乱暴に振り払った。
その所為で少女は床に倒れてしまう。が、すぐ起き上がりまた男闇魔道士を止めようとする。
「だめっ!これ以上荒らさないで!お願い!」
「はぁ〜、うっせぇガキだな!」
男闇魔道士は懐からナイフを取り出す。
「言うことを聞けない悪い子ちゃんには…お仕置きが必要みてぇだな!」
男闇魔道士は、ナイフで少女を斬りつけようとする!
「やめろ!孫には手を出すな!」
男闇魔道士の前に少女のおじいさんであろう老人が、立ちはだかった。
「邪魔だ、ジジイ!そこをどけ」
おじいさんはそう言い放ち、男闇魔道士を睨みつけると、
「…その命令には受け答えできんわい。大丈夫か?怪我はないだろうな?」
おじいさんは後ろを振り返り、怪我をしていないか、少女に気を配った。
「おいおい、今さっきの言葉はなんだァ?この俺に楯突く気かァ!」
男闇魔道士はおじいさんの態度に、怒った様子だった。
「ただの庶民の分際で、なめんじゃねぇよ!この…」
男がそう言いかけた時、部屋のドアがゆっくりと空いた。
そこには、ワインレッドの髪をツインテールにし、黒い軍服のような服を身に纏った可愛らしい少女が居た。
「おい、少しは口を謹んだらどうだ?外道ゴリラ」
声は可愛らしいが、淡々としており可愛さとともに威厳も混じる声で、男闇魔道士にそう言い放った。
「外道ゴリラじゃありません…ウィストリア様!」
「そうだったか?それよりも早くスリーヴァの日記を探したまえ」
「はっ!」
ウィストリアと呼ばれた少女の言葉に、男闇魔道士は再び日記を探し始めた。
「噂で君達がスリーヴァの日記を所持していると聞いたんだが。その日記どこにある?今すぐ差し出したまえ。さもなくば…」
シュゥーッ!
ウィストリアは片手に、赤い剣を具現化させる。
「君達を殺すことになるぞ…?いいのか?」
「…持っておらん」
ウィストリアの脅しに、おじいさんはうつむいてそう話す。
「…どういうことだ?」
「この家にはない。…持ち出した時にクリア鍾乳洞に置いて行ってしまったんだ」
「クリア鍾乳洞か。外道くそゴリラ、クリア鍾乳洞に行け!」
ウィストリアの言葉に、おじいさんはフッと笑みを浮かべた。
「探しても無駄じゃよ。わしがクリア鍾乳洞に取りに戻って来た時には、もうなかったんじゃからのぅ」
おじいさんはそれだけに止まらず、次々にこう話す。
「それに、お前達。何故スリーヴァ様の日記を探しているんだ?」
「企業秘密だ。関係のない君達には話すことはできない」
ウィストリアはおじいさんに背を向ける。
「企業秘密か…悪魔専門のお前達が、悪魔とはまっさら関係のないスリーヴァ様の日記を欲するなんてな」
闇魔道士達がこの家から退散する姿を見て、おじいさんは言う。
「これも…何か悪魔と関係することなのだろう?」
「さあ?どうだがな」
おじいさんはウィストリアの首筋を狙っていた。
(闇魔道士らめ…スリーヴァ様の日記を何に使うのだろうか知らんが…)
おじいさんはいつの間にか、片手に短剣を握っていた。
(闇魔道士のことだ。きっと悪事に使うに違いない!スリーヴァ様の日記を闇魔道士らに悪用されてたまるか!)
おじいさんがウィストリアに襲いかかろうとした次の瞬間、
グシューッ!
おじいさんの体に、突如、床から生えた無数の赤い棘が腕や太ももに突き刺さる!
「くっ…」
あまりの痛みにおじいさんの顔が歪む。
「なっ…なんで…」
赤い棘に無残に刺され、血をだらだら流すおじいさんに、少女は目を開きっぱなしだった。
「残念、相手が悪かったな」
ニコッと笑うウィストリアを見て、おじいさんは力の抜けた目で睨んだ。
「その年齢だと、後先短いだろう?」
おじいさんの前の床に赤い棘の先端が出現する。
ジュシュッ!
ウィストリアが人差し指をクイッとあげると、赤い棘がおじいさんの胸を貫いた。
「おじいちゃーん!」
悲しみが篭った少女の嘆きの声が、部屋に響く。
「くっ…おま…え」
おじいさんは血塗れになりながらも、ウィストリアに手を伸ばすが…
力尽きてしまい、手は次第に落ちて行った。
「早めに死ねて良かったな」
ウィストリアはそう言い残し、家を出て行った。
《それから何日かが過ぎ、ギルド・グランツ・テイルズでは…》
リカルダ達が東方の国から帰って来て、何日か過ぎた。
ライムの悲しみも消え、いつもの明るさを取り戻していたグランツ・テイルズ。
これから大きな事態に巻き込まれることも知らずに…平穏な毎日を送っていた。
ーキャラクター紹介ー
ウィストリア…闇魔道士達を率いるリーダー的存在(彼女自信闇魔道士ではない)。
性格は見ての通り、きっちりとしていてクール系より。その癖にツインテール。実力は上の方。人形が好きみたいです(特に猫の人形)
“残念。相手が悪かったな”
また見てくださ〜い!




