第50話 魔王様、新しい仲間ですよ!
「ウェルミナ?なんでここに…?」
「なんでここに…?ってアンタ達を助けに来たのよ。外が騒がしくって何かと思ったら、アンタ達が戦っててね」
ウェルミナはそう言って、男魔道士の方を向いた。
「アンタ達、私の大切な仲間になんてことしてくれてんのよ!」
そう怒り気味に、男魔道士に叫んだ。
「チッ…飛んだ邪魔者が入って来たね…」
(まあ、いい。こいつらまとめて獣鎖で縛りつけて殺せば…!)
杖を構え魔法を繰り出そうとする。が、
キャリーッッン!
ウェルミナ達の後方から光の鎖が伸びてき、男魔道士の杖を奪う!
「なっ…!?」
「もらっちゃいました☆」
ウェルミナの背後にいたサリーが、ニコッと笑う。その手には男魔道士の杖が握られていた。
(くっ…これじゃあ何も出来ないじゃないか!)
「お前達!やれ全員潰せ!」
残りの暗殺者が、男魔道士の命令により襲いかかってくる!
ヒューーッン!ビューッン!
遥か後ろから光の矢が飛んでき、暗殺者達の足を射る!
ブシュッ!ボシュッ!
「これは、バニラさんの矢!バニラさん起きてたんですね!」
矢を見て、サリーはバニラの仕業だと確信した。
「なんだ、なんだっ!なんなんだこれは!」
窮地に追い込まれた男魔道士は取り乱した。
(全てが上手くいっていた筈なのに…どうしてこうなった!?)
「お前ら…まとめて潰してやる!」
男魔道士はそう言って、後退りする。
「逃げる気!?」
「逃げる?ふざけるな!逃げるんじゃない、用意しに行くんだ!」
「逃げると一緒じゃねーか!」
リカルダの言葉も気にせず、男魔道士はリカルダ達に表を向け、逃げようとする。
(怨恨の加齢を込めた魔石が残りの仲間が持っていたな!それを使って!)
ピキィーッン!
そう考えていたその時、男魔道士の足元が突然に氷に侵食されていく!
「…っ!?」
ピキピキッ…パキッ!
氷は男魔道士の膝まで凍り、まともに動けなくなってしまった。
(くっ…誰が唱えたんだ!)
「あれ?どうしたんですか?」
男魔道士は声のする方へ向ける。
そこには何故かニコニコ顔のルアが居た。
ニコニコ顔だが、内心は怒っているだろう。声がいつもより低くなっている。
「逃がしませんから…」
狙いを定めたように、男魔道士を鋭い眼光で睨みつけた。
(このままだとやられる!早く逃げないと…!)
男魔道士は逃げようとするも、氷が地面とくっついている為、その場に動けないでいた。
「おやおや飛んだお客さんやのぅ」
気がつくと男魔道士の目の前には、タマが居た。
「こんなお客さんには、お仕置きをしないといかんのぅ!」
「嫌ぁぁぁぁぁっ!」
この後、男魔道士はタマにフルボッコにされ、池に沈められましたとさ。
騒ぎが終わったリカルダ達は、再び部屋に戻り深い眠りについたのだった。
《そして、時が経ちその朝…》
リカルダ達はテロリアに帰るため、出雲の港に来ていた。
見送りにと、タマとサヨが来てくれていた。
「本当にもう帰るのか?もっとゆっくりしていったらいいのに…」
見送りにしてくれたサヨが、しょんぼりとした様子で船に乗り込むウェルミナ達を眺める。
「おい、そこのお主」
タマは船に乗り込もうとするサリーを引き止めた。
「はい!なんでしょうか?」
サリーの明るい顔を見て、タマは安心したような顔をする。
「…前よりすっかり明るくなったの。元気になってよかったわい」
「はい、すっかり元気になりました。これもタマさん達のおかげです」
サリーはバッとタマに頭を下げる。
「そうかそうか!また落ち込むことがあったらここに来るんじゃぞ!」
「はい、必ず来ます!」
するとタマはリカルダに近づき、耳打ちする。
「お主、あの件のこと忘れるんじゃないぞ?」
「忘れてないって」
頼みを受けてしまったものの、この俺に務まるだろうか?
強大な力を持つ魔王を倒すなんて…
困った顔をするリカルダに、サヨはクスッと笑った。
「俺の頼みも忘れないでよね?」
とサヨは追い打ちをかけるように、リカルダに言い放った。
「はいはい、わかりましたよ」
こうしてリカルダ達は、テロリアに帰って行ったのだった。
《丁度その頃、魔王の城・謁見の間では…》
ベリアルとアスタロト、リヴァイアサンが集まってきていた。
「よく集まって来てくれた。ベリアル、アスタロト、レヴィアタンよ」
「おう、シルエラ様。今回はどんな内容なんだ?」
「ゴラァ!ベリアル!シルエラ様にそんな口を聞き方を!」
シルエラの横にいたアドラメルクが、けたたましい声でベリアルに怒鳴りつけた。
「まあ落ち着けアドラメルク。お前は少し黙っていてくれないか?」
「は、はい!わかりました。シルエラ様の命ならば…」
シルエラの冷たい言葉に、アドラメルクは黙り込んだ。
「さて、本題に入ろう。お前達、ハイルという勇者のこと覚えているか?」
「はい、確か10年前ぐらいにここに来た勇者ですよね?」
2人が答える代わりに、アスタロトが答えた。
「そうだ。その勇者ハイルに子供がいたらしいんだ」
シルエラはアスタロトに、写真が貼られた紙を渡した。その紙は何日か前に、ベリト達が倒した勇者から手に入れた紙だった。
ベリアルとレヴィアタンもアスタロトの持つ紙を覗き込む。
「リカルダ…勇者ハイルの子供」
普段言葉を発さず、紙で言葉を伝えていたレヴィアタンだったが、思わず言葉が口に出てしまった。
「カイムの言うことによると、バフォメットを倒したのもリカルダとその仲間達、そしてあのベリトの片腕を切り取ったのもこいつだ」
「そ、そうなのか?!」
シルエラの言葉に悪魔達は驚いた表情を見せた。
「あの剣豪のベリトに傷を負わせるなんて…」
アスタロトもあまりの言葉に、口を閉じるのも忘れてしまっていた。
「悪魔の中でもトップクラスに匹敵するベリトに怪我を負わせる…こいつ只者じゃねぇーな」
「そうだ、こいつは只者ではない。10年前、私達を窮地に追いやったハイルの血を受け継いでいる…その時点でこいつは私達悪魔の脅威だ」
シルエラの表情が強ばる。
「…こいつの命を消して欲しいと言いたいが、それは無理だろう。お前達にして欲しいのは、悪魔達の注意の呼びかけだ。出来るだけこいつに近づかぬよう、呼びかけてくれ。これ以上、仲間を失いたくないからな」
クックック…と突然ベリアルが笑い出す。
「?ベリアル、何故笑っているの?」
「リカルダか…面白そうじゃねぇーか!」
顔を上げたベリアルの目には、炎が宿ったように熱く燃え上がっていた。
「ベリアル…よせ。お前には勝てない」
何と無く察したシルエラは、ベリアルに落ち着くように言う。
「決めつけるんじゃねぇ!戦って見なきゃ…わかんねーだろ!」
ボオーッ!
ベリアルの体が、赤い炎に包まれ熱く燃え上がる。
「こ、これは火力が凄い…」
レヴィアタンはあまりの熱さに、ベリアルから離れた。
「おい誰か、リリスかガープを呼んでくれ…」
ベリアルの様子にシルエラはやれやれと頭を抱ていると…
「シルエラ様ー!シルエラ様ー!」
とカイムが謁見の間に入ってくる。
「新しい悪魔を発見しました!」
カイムの後ろに、その新しい悪魔らしき者が立っていた。
「私の名前は…ネビロス。よろしくお願いするわ」
突如現れた、深緑…いや抹茶色の長いサイドテールに、黒色の瞳を持つ女性の姿をとった悪魔。
どこかで見たことがあるような顔をしていた…。
ーキャラクター紹介ー
ネビロス…魔王の城に突如現れた悪魔。抹茶色の長いサイドテールの女性の姿で、髪型、顔、口調など誰かと似ている箇所がある。
“私の名前は…ネビロス。よろしくお願いするわ”
次回も見るのよ??私が言ってるんだから、必ず見てよね?




