第49話 魔王様、ピンチに現れたのは?なんだと思います?
何もなしのサヨと対峙する、男魔道士。
「相当自分の実力に自信があるんだね。まあ、そんなことどうだっていいか」
男魔道士はまた狂気的な笑みを浮かべる。
(早くこの子とあいつを殺して、九尾が目覚める前に撤退するとしよう)
「女の子だからって、手加減しないからね!死槍!」
男魔道士の手元の魔方陣から、いくつもの紫の槍が放たれる!
フィュー!ヒュューッ!
するとサヨは一歩下がり、いつの間にか持っていた巻物を広げ、何かをつかむ仕草をする。
「俺が何もなしで戦うとでも?」
サヨは何を思ったのか、光の宿った手を地面につけた。
ボオーッ!ボオオオッー!
男魔道士の放った紫の槍が、サヨめがけ落ちてきた。
「サヨ!」
砂煙が舞い周りが見えなくなる中、リカルダはサヨの安否を確認する。
まさか、やられたんじゃないだろうな?
と心配している内に砂煙が止んできていた。
?…なんだあれは?
サヨがいた筈の場所には、何かを取り巻いている2つの黒い帯のようなものがあった。
帯の端に生える赤い足に、光沢のある黒い鎧。
「…?」
男魔道士も何かわからずにいた。が…
カチカチカチ…
2匹の黒い帯のような生物は、頭と思われる部分を高く持ち上げる。
赤い爪と牙が生える口からは、黒い液体が流れ落ちた。
「あれは…大百足!」
ギャーーァッ!
2匹の大百足は男魔道士の言葉に、返事するように雄叫びを上げた。
「そう。ここ、東方の国で古代から言い伝えられている伝説の怪獣、大百足」
大百足の懐から、無傷のサヨが姿を現す。
「その力は人間の数百倍。圧倒的パワーとスピードを併せ持つ、あの英雄さえも手こずったと言われる強大で凶悪な妖怪…」
「大百足ね。最強の魔物を召喚したところで、僕達と戦うっての?」
いつの間にか男魔道士の横には、暗殺者達が集まってきていた。
今さっきの暗殺者達も勿論、他から集まってきただろう暗殺者が待ち構えていた。
「悪いけど、ここにいる僕らの冒険者ランクは最低Bランク以上。それで僕らを倒せると思ってるの?」
やや挑発気味に、男魔道士はサヨに言った。
「倒してみせる…いや、倒す!もうあのままの俺じゃないんだから!」
サヨは再び地面に手のひらをつく。すると、
ボゴーッ!ボゴォーッ!
(魔力の消耗が激しいけど、これをやらなくちゃ、リカルダが!)
2匹の大百足が地面から出てくる。
「いっけー!そこにいる暗殺者達を潰せ!」
ギャァァアァッ!
サヨのかけ声に、大百足達は動き出した。
ズリズリと胴を動かし、暗殺者達を蹴散らして行く!
「イヤーッ!」
「うわぁぁ!」
「た、助けてくれ!」
暗殺者達の悲鳴が、館の敷地内に響き渡る。
「お前ら何してるんだ!」
男魔道士があまりの有様に、声をあげる。
(使えねぇ奴らだな!こんな奴ら、雇わなかったら良かった)
男魔道士は大百足の攻撃を避けながら、懐から杖を取り出す。
(魔力の消費は大きいが、これをやるしかない!)
「…獣鎖!」
キャリィーッン!
紫の鎖が大百足の巨大をきつく縛る!
ギャ…ギャァッ…
あまりの苦しさに、大百足はもがき苦しんだ。
「大百足!?」
サヨはもがき苦しむ大百足に近寄る。
「どうしたの?今、解いてあげるから!ふぅーっ!」
サヨが力を加え鎖を解こうとするも、解けなかった。
「無駄だよ。獣鎖は魔物専用で、魔物を苦しませる拷問専用の魔法なんだ」
パァーッン!
と音を立て、大百足達は白い粒子状となって消えて行った。
「それに、獣使い用の対策もしてあるんだ。なかなか素晴らしいとは思わないかい?」
「そ、そんな…」
魔力を使い果たしたサヨは、その場で崩れ去る。
「じゃあやって、お前ら」
男魔道士は暗殺者達にサヨを殺せと、指示する。
「はい、わかりました」
暗殺者がサヨを殺そうと、前に出る。
「おい待てよ」
さっきから黙っていたリカルダが、サヨの前に出る。
「次は俺が相手だ…!」
サヨが戦ってくれている間に、だいぶ体力が回復した。
右肩の痛みも感じなくなって来たし…ここは俺が…!
「おーおー。勇者さん、仲間を庇うとは…潔いね」
男魔道士はなめきった顔で、リカルダを褒めた。
「でもその怪我大丈夫?見るからに痛そうだけど、そんな怪我で戦えるの?」
「ああ…戦えるさ!」
ベリトのあの攻撃と比べたらマシだ。
そう考えれば、考えるほどこの程度の怪我なんてどうってことない。
「そう…お前達!かかれ!」
男魔道士の言葉を聞いて、暗殺者はリカルダに襲いかかろうとすると…
シュイィィイィッ!
剣で何かを切る音?のような音が聞こえた。
「なんだ…?」
暗殺者か疑問に思っていると…
ブシューッ!
暗殺者達の足、腕などに曲線を描いたように傷が入り、血が吹き出す!
っ…これは!
「曲線!」
痛みに倒れていく暗殺者の中に、ウェルミナが居た。
次も見てくれないかな?えっ、無理!?




