第45話 魔王様!観光しましょう!観光!
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「おっー!バニラではないか!こんなところにおったのか、探しておったぞ〜!」
タマはバニラを発見すると、橋を降りてきたバニラ達に近寄った。
「…これは何があったの?怪我はしてないようだけど…」
バニラは血塗れの四人を目の当たりにして、呆れている。
「これはですね…」
ルアは蛟と戦ったこと、起こったことをバニラ達に話した。
「ふーん、蛟の血を被って血塗れになっちゃった訳ね」
ルアの言葉を聞いて、ウェルミナは納得した様子だった。
「ところでタマ。この冒険者達も、今回招き入れるお客様か?」
サヨは紫の目でリカルダ達の顔を見回す。
「そうじゃ。おっと、名を名乗るのを忘れていたのぅ!わらわの名は、タマじゃ。そしてこっちの女子がサヨじゃ」
「サヨだ。喋り方は変わってるが、気にしないでくれ」
「そして、うちがタロウや!よろしくお願いしますわ〜」
さっき橋の上で芸を披露していたネズミが、サヨの肩の上に登ってくる。
「何主人の俺の肩に乗ってんだよ」
「いっ、いいやないか!いいやないか!」
(グリフォン取られてからずっとこうやな…)
タロウは恐ろしい剣幕で詰め寄ってくる、サヨをなだめた。
「私達も自己紹介しなきゃね…私の名前はバニラ。サヨは会うの初めてよね…」
「私はウェルミナよ。そして、横にいるのがサリー、ルアとリカルダよ」
「よろしくお願いします!」
「よろしくです」
「…よろしくな」
サリーとルア、リカルダは順番にタマらに挨拶をした。
「自己紹介も終わったしの、このわらわが東方の国を案内してやるぞ、ついて来い!」
とタマに連れて来られたのは、隣町にある商店街だった。
「ここは寄町商店街じゃ。他の商店街よりも賑わっていてのぅ、買い物するのには、ピッタリの街じゃ」
買い物はもういいって…
これ以上持つ荷物が増えるなんて、まんざらでもない。
そう混雑している商店街を歩いていると、
「ねぇ、さっきから黙ってたけど、アンタとタマとはどういう関係なの?」
ウェルミナはバニラに小声で耳打ちする。
「…長い付き合いの友人だよ。大丈夫だよ、怪しい人とか…変な人じゃない」
ウェルミナはタマを見る。
九つの尻尾に、狐を思わせる耳。これを人間と言うものはいないだろうという外見。
「…最初は警戒するのも仕方ないよ。時期に慣れる」
「そうかしら?」
ウェルミナとバニラとの会話を聞いていた
ドサッ!
リカルダは前を見ていなかったのか、前を歩いていた魔道士らしき人物とぶつかった。
「痛っ…すまない。よそ見を…?」
「………」
フードを深く被った男は何も言わず、リカルダの前から去ろうとする。
「ちょっと、アンタ!待ちなさいよ!」
ウェルミナが引きとめようとするも、男はリカルダ達の前から去って行った。
「何なのよ、あいつ!謝るくらいしなさいよね!リカルダ大丈夫?」
「ああ…大したことない」
リカルダは男が行った方向を見る。
「リカルダ?どうしたの?」
「…いや、なんでもない」
…あいつ。なんで笑っていたんだ?
男は笑っていたのだ。
リカルダが見たのは、口が三日月のように曲がった満面の笑みに、獲物を捕らえるかのような目。
リカルダは気にしながらも、この場を後にした。
街などの観光地をまわっているうちに、時間はあっという間に過ぎ、気づけば辺りは夕日に照らされていた。
「ふぁあぁ〜!疲れた〜」
夕日に照らされながら、石造りの道を歩くリカルダ一行。
「どうや?楽しかったやろう?」
サヨの頭に乗っていたタロウが、あくびをするウェルミナに聞く。
「ええ、テロリアとは大違いよ」
「…テロリア?お前達ってテロリアから来たのか?」
サヨが“テロリア”という言葉に反応し、聞いてきた。
「そうだけど?」
「実は俺もテロリア出身なんだよ。小さい頃住んでた場所だ。事情があってここにな」
「ついたぞ。ここがお主らが今日泊まる宿じゃ」
サヨがそう言い終わったと同時に、目的地に着いた。
「ここが…か?」
リカルダは驚いた。
飛び切り大きな館が、目の前にあったからだ。
「本当にここに泊まるんですか?」
ルアもリカルダと同様、驚いているようだった。
「そうだ、遠慮はいらん。今日はお主達だけだからのぅ。楽しんでいってくれ」
しかし、楽しんでいってくれって言われてもな…何か遠慮してしまうな。
「そう?!じゃ行きましょ!サリー!」
お前、ホントに遠慮ないな…
「はい!ウェルミナさん!」
「屋内の案内は俺がするぞ。まずは部屋を案内するぜ」
お腹が空いていたリカルダ達は、案内された部屋に荷物を置き、夕飯をいただくことにした。
「んっ〜!美味しいです!なんですかこれ!」
テーブルの上は華やかな料理で彩られていた。
「あの…僕達こんなに食べれないですよ」
テーブルの上にとんでもない量の料理が、運ばれてくる。
「そんなこと言わんと!もっとたべりぃ!」
ルアの言葉にお構いなしに、料理は絶えずに運ばれてくる。
「皆!デザートもあるぜ!」
「えっ!ホント!?」
目をキラキラさせながら、勢い良く椅子から立ち上がる。
「お前、デザート好きだよな」
小さい頃から、ケーキとか甘いものばかり食べていたからな。相当な甘党だ。
「そんなに甘いもん食ってたら、太…「何か言った?」
ウェルミナがかぶせ気味に言う。
「…何でもないよ」
ダメだ。あの笑顔は潰される。
リカルダは残りを一気に口に放り込むと、席を立つ。
「あれ?リカルダさん、もう食べないんですか?」
リカルダはサリーの言葉に構わず、食堂のドアノブをひねる。
「リカルダは小食だしね」
リカルダが返すかわりに、ウェルミナが答えた。
バタン…
リカルダはドアをしめ、廊下を突き進んだ。
ーキャラクター紹介ー
サヨ…焦茶の髪に、紫の目を持った女性。女性らしくなく、男言葉を使う。獣使いで、この前グリフォンを取られたという。タロウに冷たい。
“サヨだ。喋り方は変わってるが、気にしないでくれ”
タロウ…名前がなかなか決まらなかった為、適当に“タロウ”とつけられた悲しい獣。枯色の毛を持つネズミ。人の言葉を喋ることができる珍しい獣。サヨの配下でもある。
“そして、うちがタロウや!よろしくお願いしますわ〜”
次回もよろしくね!




