第41話 魔王様!気分転換に行きましょう!
今回もちょっと短めかな
《遡り、魔王の城・応接間では…》
シルエラが前に手を組み、反対側にいる相手を赤い目で見つめる。
「何の用だ、タマ。こっちは忙しいんだ、用件は手早にな」
タマと呼ばれた少女はシルエラの言葉に、おもしろおかしな笑みを浮かべる。
「はっはっは!古い蛇よ、相変わらず固いのう。同じ魔族同士、もっとふれんどりーに喋れんのかい?」
「ふれんどりー?無理だ。これが私の性格だからな」
シルエラは自分の性格にケチをつけるタマを、軽くあしらった。
「お主、バニラから聞いたぞ。こっちの大陸で言う“勇者”を滅ぼそうとしておるらしいの」
タマはお腹が空いたのか、持参してきた柏餅を頬張る。
「それに、人間も滅ぼそうとしておるらしいのう。どうして、勇者を滅ぼそうとしておるのじゃ?」
「ウザいからだ」
タマの質問にシルエラは無表情で答えた。
「ウザいからか…お主、そんな理由で勇者を滅ぼそうとしておるのか」
タマはシルエラの言葉を聞いて、呆れているようだった。
「そうだ。お前にはわからんだろうが、私は過去に何度も人間から酷い仕打ちを受けてきた。それは今も続いている…」
シルエラの瞳が赤く光る。
「軽蔑され、大切なものを壊され、プライバシーを侵害され、挙句の果てにはこの城も壊され…」
怒りに白い頬に赤いヒビが入る。
「何も危害を加えないと説得しても、古い蛇は信用できないとあしらわれ、この城に何度も勇者共が私の命を断つため、攻め込んできている状況…お前はそれに耐えられるか?」
「耐えられんのぅ…だが、お主の行動は間違っておる」
タマはシルエラを指差す。
「命を潰すなんて、飛んだ考えじゃのう。お主は心が腐っておる。考え直したらどうじゃ?」
タマはシルエラに説得するように話す。
「もう一度、人間と話し合うとかあるじゃろう?」
「そんなことをしたとしても、どうせ結果は同じだ。あしらわれ、敵対される」
シルエラの態度にタマはムッとなる。
「人間誰しもそんな非情ではない。わらわはお主の為に言っておるのじゃ!お主が人間と敵対せず、幸せに時を過ごせるようにと…!」
「幸せな時か…それはとっくに終わった!もう私には幸せな時間など訪れない!お前がどうこう言おうが、私は勇者を潰し続ける!時間が許す限りな…」
シルエラの怒号にタマは怯み、黙ってしまったが、
「お主、勇者を滅ぼし続けるというのだな?」
「そうだ」
「その行為はお主の身を滅ぼすぞ」
「別にいいさ、勇者を滅せればな」
タマはふぅと一息をつくと、立ち上がる。
「いつ話してもお主と話すのは、疲れんのぅ…わらわはこれで失礼するぞ」
タマはドアノブに手を掛けると、
「…きっとお主を止めて見せるからな」
とシルエラに言い放つと、応接間から出て行った。
「止めてみせるか…止めてみるがいい。この私を…!」
シルエラの表情は笑っていた。
《そして日が変わり、グランツテイルズでは…》
朝のグランツテイルズは重い空気に包まれていた。
ライムが郊外で亡くなっていたという知らせを受け、空気がどんよりし重くなっていた。
すすり泣く声や嘆く声が交差し、とても普段の空気とは違っていた。
「ただいま、あれ…?」
依頼をこなしてきたバニラがギルドに帰って来た。
いつも賑やかだったギルドとは異なり、異様な雰囲気に思わずバニラは戸惑った。
「ねえ…リカルダ。皆どうしたの?」
「バニラは知らないんだったな。ライムがなくなったらしい」
「えっ…ライムさんが?」
リカルダの言葉にバニラは驚いていた。
バニラも驚くんだな…
始めてバニラの驚く姿を見て、リカルダは貴重な一面が観れたと、リカルダはライムのことを話した。
「…そうなんだ」
バニラはそう言って周りを見回す。
(…凄いテンションの下がりようだね。いつものギルドとは違う…)
バニラは悲しそうな表情をした。
バニラはいつもの賑やかなギルドが好きだった。はしゃいで、騒いで、笑ったり…
いつもとは違うメンバー達の悲しそうな表情を見て、バニラの気分も沈んでいっていた。
その時、ある人物の言葉を思い出した。
“気分転換にはうってつけの場所じゃ。悲しいことがあったらここに来ると良いぞ”
(そうだ。あそこに行けば皆の悲しみも和らげるかもしれない!)
「ねえ、皆。東方の国に行かない?」
次回も見るがよいぞ




