第39話 魔王様、頭脳戦ってやつですね
光の鎖が地竜を縛る!
ギギギッ…
という音を出しながら、地竜の動きを止める。
「これは…光鎖?」
光の鎖が崖のいたるところに伸び、輝きを放っている。
夜の渓谷に張り巡らされた光を放つ鎖。イグナはその光景に見入っていた。
「?サリー?何を…?」
辺りはすっかりと夜になっていた為、はっきりとしたサリーの様子は伺えなかったウェルミナとリカルダ。
しかし、イグナには見えていた。
地竜の頭の端に行き、浄草に向かって手を伸ばしているサリーの姿を…!
バアアアアァッ!
地竜は暴れ、怒りが篭った咆哮を放つ。
その劈くような咆哮にサリーの耳からは血が出てきていた。
それにサリーはお構いなし。ひたすら浄草に手を伸ばし続けた。
(後もう少し…で!)
サリーが浄草を掴む…その時、
ガァッ!ガァァアァッ!
地竜が暴れ、阻まれてしまう。
サリーは再び、浄草に手を伸ばす。
(届け…届け!)
痛む全身に鞭を入れ、ひたすら浄草を取ろうとする。
(ここでがんばらなきゃ、どこで頑張るの!私!)
パリン!パリッ…!
地竜の力に耐えれず、サリーの張った光の鎖が千切れていく!
(…お願い神様!私は…私はライムさんを助けたい!)
今にも泣きそうな顔で浄草を見据える。
(今までずっと支えてくれた…痛みに捕らえられていたライムさんを救ってあげたい…!自由にさせてあげたいの!)
パツッン!
最後の光の鎖が千切れる瞬間、サリーは浄草を掴んだ!
「や、やったぁ!うわぁっ!」
喜んだのも束の間、地竜が再び動き出す!
ガラァッ!ドォォォッン!
地竜再び頭を崖に激しくぶつけながら、進んでいく!
(浄草をとったのはいいけど…!)
「誰か止てぇぇぇぇっ!」
「サリー!?」
それを見たウェルミナは、ポチから離れようとする。
「待て、地竜に飛び移る気かよ?」
リカルダはウェルミナを引き止めた。
「そうよ!サリーが苦しがってるじゃない!助けてあげないと!」
「気持ちはわかるが、危険すぎるだろ!」
崖の上から地竜に飛び移るなんて、いくらなんでも危険過ぎる…
「じゃあ何すればいいってのよ!」
「まあまあ、落ち着いてウェルミナちゃん。必ずチャンスは見えてくる。それまで待とうよ」
「…わかったわ」
気にくわなさそうに、ウェルミナは引っ込んだ。
イグナは何か企んだ表情で、渓谷の遠くの洞窟を見据えていた。
ドォォッ!ゴオオオッ!
崖にぶつかり続け、ズルズルズルとまた頭を崖に擦り付ける!
流石にもう慣れてきたのか、サリーは悲鳴をあげなくなった。
(浄草を取ることが出来たんだ…ここで失うわけには!)
必死になって放り投げられないように、歯を食いしばる。
地竜は暫らくして、渓谷の洞窟へと入る。
洞窟と言えどトンネルのようなもの。渓谷に繋がっていて、地竜でも通れるような広さだ。
ゴゴゴッ…!
と音を鳴らしながら、地竜の頭が出てくる。
地竜は頭を振るい、空中へとサリーを投げ出す!
「うわぁぁっ!」
サリーは運よく渓谷に落ちず、足場に放り投げられた。
「いたたたっ…」
サリーは頭を抑え、地竜の方を見る。
地竜はサリーに向け、大きな口を開けていた。
「サリーっ!」
「今!」
イグナはポチから離れ、トンネルの上の山に飛び上がる!
「土竜螺旋!」
イグナ早くドリルのように回転しながら、トンネルの上に突っ込む!
パキキィッ…!パキッ…!
イグナの土竜螺旋により、トンネルの上の地面にヒビが入っていく。
地竜がパカッと大きな口を開け、サリーを足場ごと飲み込もうとしたその瞬間、
ボゴゴゴッオオオオオッン!
トンネルの上の地面が崩れ、地竜に大量の大きな岩がのしかかる!
ガァアッ!ガァアアァッ!
大量の岩に押し潰され、苦しみの声を上げる。
「ポチ!サリーちゃんを助けて!」
イグナにそう言われ、ポチは動かなくなった地竜の上に飛び移る。
「サリー!乗って!」
「は、はい!」
(助かった〜!これで、ライムさんを助けられる…!)
サリーは優しい微笑みを浮かべた。
(待っててくださいね、ライムさん!)
こうして、この出来事は無事終わったのだった。
しかし、この後あんなことが起きるなんて…誰も予想もしなかった。
次も見てくれたら嬉しいなー!




