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第35話 魔王様の昔話も聞きたいものですね

「早く、早く!」


リカルダはイグナに引っ張られ、テロリアの町の郊外に来ていた。


「…森に入って何すんだよ。馬車で行かないのか?」


歩きで『タオゼント』に行くとか言わないだろうな?


「君、急いでるんでしょ?馬車より、こっちの方が早いと思ってね」


森という森を越えて行くと、ある静かな平原が見えて来る。


そこには見覚えのある大狼が座り込んでいた。


「ポチ〜!いい子にしてた〜?」


リカルダの2倍ぐらいある大狼に抱きつき、長く伸びた毛に埋もれる。


「おい…それウルフファングじゃないのか?」


何処かで見たことがあると思ったら、ウルフファングじゃないか。


リカルダは少し離れた場所に移動する。


「そんなに怖がらなくても大丈夫だって!このポチは私の友達なんだから!」


「…手懐けてあるってことだな?」


「そうそう!」


獰猛なウルフファングを手懐けるなんて…凄いな。


イグナはポチと呼んだウルフファングの背中に乗る。


「ほら、リカルダも乗って」


イグナにそう言われ、リカルダは警戒しながらウルフファングの背中に乗る。


リカルダが乗って間も無くしてポチは、ゆっくり立ち上がる。


「そこのベルトちゃんと持っててね。行くよ!ポチ!」


イグナの掛け声で、ポチは勢い良く走り出した。


フィュッッン!


「早っ…」


あまりの速さにリカルダは驚いた。


バキッバキッ!シャー!


森をすり抜け、草の茂みを駆け抜ける。


「いざ、タオゼントへ出発〜!」


こうして、リカルダ達はテロリアを出発して行ったのだった。


《その頃、グランツ・テイルズでは…》


ライムが目を覚ましていた。


ベットの横には、心配そうにライムを見つめるルアの姿があった。


「貴方が看病してくれたの?」


「ライムさんも看病してくれたじゃないですか。そのお返しです」


ルアはライムを、元気づけるように微笑んだ。


「気分はどうですか?」


「まあまあ…かしらね」


ライムはそう言うと、ゆっくり背を起こす。


「何か持ってきましょうか?」


「ええ、水をくれるかしら?喉乾いちゃって…」


ルアが部屋を出て行って暫らくすると、水が入ったコップを持ってきた。


「ありがとうね」


ルアからコップを貰い、ライムは一口飲む。


「美味しい…これ普段の水?」


「それは、メンバーさん達が用意してくれた栄養水(ミネラルウォーター)です。ライムさんが早く良くなるようにって…」


「そう…」


ライムはそれを聞いて、表情を暗くする。


「私、皆に迷惑かけてばかりね」


「そんなことないですよ」


「いいえ、私は迷惑をかけてばかり。サリーだって、大変な受け付けの仕事を私の代わりに1人でやってくれて…」


ライムは揺れるコップの水を見つめる。


「大変な思いをしているのに、私にばかり気を使ってくれてね。あの子は優しい子だわ」


ライムの話を聞いて、ルアの表情が暗くなる。


「私の昔の話してあげようか?」


そんなルアを見て、ライムは話題を変える。


「へ?ライムさんの昔話ですか?」


「ええ、そのかわり…」


ライムは企んでいるような笑みを浮かべる。ライムの笑みにルアはビクッとなる。


「貴方の過去も教えなさい。貴方から先ね」


「(やっぱりそうなるか…)は、はい。わかりました…」


ルアはライムに自分の過去、戦争で母親の失ったことを話した。


「戦争でお母さんをか…辛い思いをしたのね」


「まあ…はい。この前まで冒険者なんて消えてしまえばいいなんて物騒なこと思ってましたけど、今は大丈夫です」


ルアはそう言ってニッコリと笑う。


「…その村を襲った魔道士の集団。闇魔道士達だと思うわよ」


笑うルアをよそにライムは真剣な顔で言った。


「えっ…闇魔道士ですか?」


闇魔道士…禁術などのタブーなモノ、密猟や禁じられている闇魔法…それらを扱う魔道士のことを指す。


「闇魔道士はね、禁術とか悪魔について調べてるのよ。何が目的かわからないけどね。マフィスの村って悪魔と何か関係してる?」


「関係性ですか…」


ルアは考える仕草をするも…


「わからないですね。思い当たるとすれば、スリーヴァって言う人物がここに住んでいたとか…」


スリーヴァ…何千年前に実在していた人物。魔物の味方をし、人間に反論した。

その頃は、人間と魔物の関係が酷く荒れていた時代。スリーヴァは魔の味方をする者とされ、殺害された悲劇の人物である。


「スリーヴァは魔物の保護、魔物側になって、人に反論した人物ね。悪魔とは直接関係ないわね…」


(闇魔道士の仕業だったのか…何が理由でマフィスの村を…)


ルアがそんなことを考えていると、


「実は私も闇魔道士にやられたのよ。闇魔道士に村を襲われて、おまけに闇魔道士に捕まえられてね」


ライムの瞳が悲しみに満ちる。


「実験とかで禁術の一つ、残虐呪(ブルタール・フェアフルーヘン)っていう呪いをかけられちゃって…本当はこれ病気じゃないのよね」


ライムは幼い頃、故郷を闇魔道士達に襲われた。

村に何か悪魔に関係があったようだ。闇魔道士から逃げようとしたが、捕まってしまった。


禁術の実験体として、ライムに残虐呪(ブルタール・フェアフルーヘン)という呪いをかけられた。

今になってもこの呪いは消えないでいる。


ライムは腕の赤黒いシミをなぞる。


「呪いにかかった者を、死ぬまで一生苦しませる…ホント、残酷な呪いよね」


「そうだったんですか…」


ルアはライムにどういう言葉をかけていいか、わからなかった。


ライムは眠そうにあくびをする。


「はぁ〜っ、私寝ていいかしら?ちょっと眠くなってきちゃった…」


「い、いいですよ。部屋でますね、何かあったら言ってください」


ルアはそう言って部屋を出て行った。


「私、恵まれてるわね…」


ライムはベットに横になる。


(ごめんなさいね…皆…)


ライムは静かに深い眠りに落ちて行った。

ー固有名詞、マップ紹介ー


闇魔道士…悪魔を調べ、禁術など使用する魔道士のことを指す。最近は悪魔調べに精を出しているとようだが…?


次回も見てよね!

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