第32話 魔王様、好戦野郎が出てきましたね!
テロリア大図書館…テロリアの町北部に位置する、大陸一と言われている国立図書館。毎日のように、学者などがここに足を運んでいる。
(8000年前の『堕天の森』での事件…)
枯色の髪を生やした少女が、ある歴史書に目を通していた。
ショートなのだが、前の横の髪が長く伸びているという変わった髪形をしていた。
可愛い顔に似合わず横には鉄爪の武具。装備からみると、おそらくアサシンでだろう。
(何が根源で起こったか、全然わからない…)
今から8000年前、“堕天の森”と呼ばれる森に悲惨な事件が起きた…。
“堕天の森”に来た人間を、ある人物がことごとく殺していったそうだ。人物は殺され、被害は抑えられたのこと。
少女の眉にシワがよる。
「おや、これはこれは…」
少女の座る机に、ある魔導士らしき男が寄ってくる。歳は…五十代前後あたりだ。
「イグナさんでは、ありませんか…」
「ん?」
突然話しかけてきた男に、イグナと呼ばれた少女は睨みつけた。
腕にはSランクの文字。相当な実力者だ。
「その本は…堕天の森の事件の書物ですね。貴女も事件の研究者なのですか?」
「んまぁ、そうかな」
男の質問に渋々答えた。
「私と一緒にその事件について、調べていきませんか?限りない強さを取り入れた貴女と、そして膨大な知識を持った私…。どうです?」
男の言葉にイグナははぁ?という顔をする。
「それであたしがあなたとタッグを組むと思ってんの?残念!帰った〜帰った〜!」
イグナはしっしっ!とはよ帰れという素振りをした。
「そうですか…」
「まぁ…」
イグナの顔に笑みが現れる。
「あたしと戦ってくれたら、戦ってもいいかな〜?」
その言葉を耳にした瞬間、男の顔が青ざめる。
「どうする?あたしと…戦う?」
不気味に笑うイグナ。男の額に大量の汗が滲む。
「…結構です。貴女と戦ったら終わったも当然ですからね。では、これで失礼します」
男は逃げるように図書館から出て行った。
イグナは男が出て行ったのを確認すると、
「…久しぶりに強い相手と戦えると思ったのに!つまんないの!」
イグナはつまんなさそうに足をバタバタさせる。
「ここに居てるのもつまんないし、町に繰り出して強者を探しますか!」
書物を棚に戻し図書館を出る。
照りつける眩しい日差しに、イグナは思わず目をつむる。
(今日に限っていい天気だな…暑いのあたし苦手なんだけど…)
暑い日差しの中、町を通り過ぎる冒険者を舐めるように見ていく。
(この人はBランク、こっちはAランクか…なかなかいないね。Sランク)
イグナは自分と互角に戦える冒険者を探していた。特にSランクを中心に。
(Cランク、Aランク、Dランク…あっ!)
イグナは手の甲に描かれた、“Sランク”と描かれた冒険者を見つける。
「あの…って…ちょっ!」
冒険者に話しかけようとするが、人混みに飲まれてしまう。
それに、低身長なので背の高いSランクの冒険者に気づいてもらえなかった。
「待って…!」
冒険者はイグナの声に気づかず、この場を去って行った。
「そ、そんな…」
(貴重なSランクの冒険者を2回も逃す…ついてないな…)
イグナはまたSランクの冒険者を探すために、町を探索しているとイグナは一点を見つめる。
「ん…?」
イグナの目線の先には、リカルダが居た。
リカルダは辺りを見回し、何かを探しているようだった。
(あの子、いいんじゃない…!)
イグナはニヤニヤとした顔つきで、リカルダをロックオンした。
(見た目的には、Eランクだけど…)
イグナはリカルダに近づき、話しかけようとする。
(Aランクを悠々と超える、相当な実力を持っている…ってあたしの勘が言っているわ!)
と話しかけようとした時、
「ねぇ…!」
ドスッ!
イグナは男冒険者にぶつかり、後ろに倒れてしまった。
「痛てて…」
「ああ、ごめんよ。お嬢ちゃん!怪我はないかい?」
男冒険者はイグナに手を差し出す。
「ないよ。大丈夫!」
イグナは男冒険者の手を取り、起き上がった。
「そうか、それなからよかった。じゃ俺はこれで」
男冒険者が去ると、イグナはリカルダの姿を探す。が…
「あれ?いない…」
イグナの前から、リカルダは消えていた。何処かへ移動したのであろう。
(また見逃した…)
イグナの目に悔しさが篭る。
(あの少年は、ただ者じゃない…)
イグナは拳を握る。
(あの少年と1度でいいから戦いたい…!実力をぶつけ合いたい…!)
「絶対見つけてやるんだからー!!」
イグナは町に響き渡る声で、そう叫んだのであった。
ーキャラクター紹介ー
イグナ…戦闘狂と恐れられている冒険者。戦うのが好きで“好戦野郎”と呼ばれることが多々ある。何か、堕天の森について調べているらしい。
“絶対見つけてやるんだからー!!”
ー固有名詞、マップ紹介ー
堕天の森…8000前、大量殺戮が起きた場所。何故堕天の森と呼ばれたのかのは、目覚めの森と同じく不明である。
次回もあたし、暴れちゃうよ!




