第24話 魔王様は本がお好きでしたよね?
バッ!
リカルダは背後の気配に気づき、後ろを振り返る!
「…ちょっ…リカルダ?」
リカルダの背後にいたのは、リカルダの睨みに戸惑うバニラだった。
「あ、あぁバニラか…」
今さっきの凄まじい気迫は、このバニラのものだったのか…しかし、あの気迫は…
人間のものでは…
「…どうしたの?依頼こなしに来たの?」
バニラの質問にリカルダは少々戸惑う。
「ま、まぁそうだよ。バニラはどうしてここに?」
「私は…ここを越えた先にある『アルセラ高原』に行こうと思って…ここを通っただけ…」
バニラは森の奥深くを指差した。
『アルセラ高原』は目覚めの森の奥深くにある、険しい高原。
バニラは依頼を受け、高原に行く途中なのだろう。
「…そうか、気をつけてな」
「ええ…そっちこそ。ギルドで会おうね…」
バニラはそう言って、森の奥へと向かって行った。
前からだが、バニラが怪しい。
バフォメットの際の発言と、武具店でのこと…
今考えても、しょうがない…
「さてと、トレントは…あれ?」
バニラの気迫で逃げたのか、トレントは辺りから消えていた。
「またトレント捜しか…」
リカルダはため息をつき、トレント捜しに精を尽くすのだった。
《その頃、ギルドを朝早くから出て行ったウェルミナとサリーは…》
初級から中級の難易度の間にある『ヴァッサ洞窟』に依頼のために訪れていた。
「どこかしら?」
ウェルミナは岩の隙間を覗き込み、何かを捜す。
「どこにもいないわね…“ケイブフロッグ”」
“ケイブフロッグ”…『ヴォッサ洞窟』に棲息するカエルの魔物。臆病で群れを見つけるのが、難しいとされている。
「今が“モンスターパレード”って、時期でもあっていっぱい居ると思ったんですけど…全然居ませんね」
サリーも辺りを捜すも、ケイブフロッグの姿は見当たらない。
「違う場所を捜しましょう」
ケイブフロッグを討伐する為にきたのだが、肝心の標的を見つけないと始まらない。
ウェルミナ達は日が暮れる前に、何とかケイブフロッグを見つけようと、洞窟内を捜し続けた。が見当たらない。
「はぁ〜、本当にここに居るの?」
見つからなさすぎて、ここに居ることが信じられなくなってきた。
「居ますよ!よくここで狩ってましたし。絶対居ます!神に誓います!」
「…そう?もっと深い場所に居るんじゃないの?ここの下の『クリア鍾乳洞』に下って見ましょうよ」
ウェルミナの提案にサリーはええっ!?という顔をする。
「ダメですよ!この洞窟の下なんて、帰るのに何年かかることか…」
サリーは思い出したように身震いをする。
「けど、いくら捜しても見つからないわよ。ここが洞窟の最深部でしょ?他に捜すあてもないわよ」
「そ、そうですけど…もっと辺りをくまなく捜して見ましょう!見つかるかもしれないですし!」
サリーはそう言ってケイブフロッグを捜し始める。
「たっくもう…しょうがないわね!」
ウェルミナも嫌々ケイブフロッグを捜し始めた。
岩を退かし、地面と岩の大きな隙間を覗く。
(ん?道…?)
隙間の奥に、新たな通路が見えた。
ウェルミナは通路を突き進む。
「この先に、ケイブフロッグが…うわぁっ!?」
ガラガラッ!
地面が崩れ、ウェルミナは岩と共に落下する。
ザザーン!
ウェルミナは真下にあった泉に豪快に落ちた!
ゲロ!ゲロォッ!
それにより、周りにいたケイブフロッグが逃げてしまった。
「ぷっはあっ!」
泉から顔を出し、辺りを見回す。
周りには突起した岩が上下に伸び、透き通るような泉が多々見られる。
ウェルミナは辺りをみてここが『クリア鍾乳洞』だと理解した。
泉から上がりケイブフロッグを追おうとするも、ケイブフロッグはとっくに逃げていた。
「逃げられたわね…」
やっと見つけたのに…!ウェルミナは悔やんだ。
どうやって上に戻ろうかと考えていたウェルミナ。
ふと見た視線の先に赤い表紙の本を見つける。
「何かの…本?」
ウェルミナは本を手に取り、ページをめくる。
【人は誰も私を認めてもくれない。魔物は認めてくれているのに】
【魔物が人を襲うのは、人間が魔物に危害を加えているからだ。魔物は何も悪くない】
ウェルミナは本に挟まっていた、しおりを見る。しおりの先には“スリーヴァ”と書いてある。
「スリーヴァ?誰かしら?」
「あっ!ウェルミナさん!?大丈夫ですか!?」
ウェルミナは上を見ると、穴からサリーが顔を覗かせていた。
「ええ、何とか!」
サリーがいなくなったと思うと、上から光の鎖が下がって来た。
「光鎖。掴まって下さい!」
ウェルミナは本を手に持ち、光の鎖に掴まる。
気になるのだ。この本の所有者とスリーヴァという人物のことが…
何のためになるのかは、わからないがウェルミナは本を持って帰ることにした。
後にこの本が、災いの種となることを知らずに…
ー固有名詞、マップ紹介ー
グランツ・テイルズ…テロリア1と呼ばれるギルド。冒険者ランクBランク以下は入れないが、リカルダ達は特別に入れらせてもらった。ゼーレが指揮する。
禁術…使うことが禁止されている七つの術のこと。秩序を乱すということから禁止され、使ったものは処刑される。闇魔導士達が禁術が巡って争っているらしい。
魔石…精霊によって属性がつけられた石。使うと、確率で属性をつけられるという。属性が抜けた石を使って技を込めることができる高性能な石。
最近はベリト達の所為で、数が急激に少なくなっており、入手困難となっている。
次回も見れてくれよ。




