第20話 魔王様!落ち着いて下さい!
「勝手にそういう事はしないでもらえるか?」
「はい…もうしません」
ダンダリオンは怯えた声でそう答えた。ダンダリオンの答えを聞いてシルエラは微笑み、
「これからは…私に報告するようにな」
「…は、はい」
ダンダリオンは暫らくシルエラを見つめると、アロケルとこの場を後にする。
「ねぇ、シルエラ様って優しいんだね。消されると思っちゃった」
ダンダリオンは安心したように胸を撫で下ろす。
「まぁな。悪いことをしでかした時は怒ってくれる、低級悪魔の我達にも優しくもしてくれる。いい魔王様だ」
「…そうなんだ。ここの皆がシルエラ様に従う理由がわかったよ。ダンダリオンが前従っていたベルゼブブって言う悪魔は、シルエラ様とは違ってとんでもない奴だったよ」
「ベルゼブブ様?そんなお方だったか?」
アロケルはダンダリオンの発言に、首を傾げる。
「外側はそうだけど、内側がダークネス。自分を批判した悪魔は容赦なく潰す…腹黒くそおじさんなんだ」
「は、腹黒おじさん…」
アロケルは口を開け、前を見つめる。
「そうそう!腹黒くそおじ…あっ…」
ダンダリオンは前を向いてアロケルと同様、口を開ける。
「誰が腹黒くそおじさんかな〜?」
ダンダリオンの前には、黒髪に赤い角を生やしたベルゼブブがいた。
「べ、ベルゼブブ様。こいつが、こいつが腹黒くそおじさんって…」
ダンダリオンは横にいるアロケルを指す。
「あぁ!?我は言っておらん!」
「フッ、ダンダリオンちゃん。今回だけ許してやる、が…」
ベルゼブブはダンダリオンの頭を掴む!
「次言ったら、プチ殺すわよ?わかったかしら?」
「?…“わよ?”」
アロケルは思わず口にしてしまう。
普通男ならば「わよ」「かしら?」なんて使わない。
「あら〜!アロケルちゃんじゃな〜い!」
ベルゼブブはアロケルを見て、嬉しそうな顔を浮かべる。
「べ、ベルゼブブ様。お久しぶりでございますね!」
「ええ!久しぶりねぇ〜!こんなに大っきくなって、たくましくなったわね!」
久しぶりに息子と再開したおばちゃんのように、アロケルの成長を喜ぶベルゼブブ。
「そ、それよりベルゼブブ様。ここに何の用なのですか?」
「あ!うっかり忘れてたわ!シルエラ様に会いに来たのだけど、シルエラ様が何処にいるかわかるかしら?」
「シルエラ様なら、すぐそこに…」
ダンダリオンはシルエラの方へと視線を向けた。
ベルゼブブは不気味な笑みを浮かべ、シルエラの元へと飛ぶ!
フィュッン!
「シ・ル・エ・ラ・様〜!」
「!?この声は!」
スライムと戯れていたシルエラは入り口の方を向き、身構える!
そこには、飛んでくるベルゼブブの姿があった。
うわっ…
「来るな!」
ブゴッッ!ボゴッ!
黒い根が石床がから生え、ベルゼブブを襲う!
フィッュッ!ブゥッン!
ベルゼブブは空を飛び根の攻撃をかわしていく!
「闇拳!」
ベルゼブブの腕に黒い炎が宿り、シルエラの元へと急降下。シルエラに襲いかかる!
バキィィッ!
シルエラの両肘に黒いトゲ、爪が生えた腕でベルゼブブの攻撃を防ぐ。
衝撃により、ベルゼブブ、シルエラの腕に赤いヒビが入る!
フィュッ!
シルエラはベルゼブブを突き飛ばす!
シュュッ…
ベルゼブブは地面につき、壁への衝突はまのがれた。
「ちょっ!何してるんですか!」
騒ぎを聞きつけ、悪魔達が集まってきていた。
「シルエラ様とベルゼブブ様!」
「ガチバトルじゃねぇーか」
「ホントでやす!ガチでやす!誰か止めるでやす!」
「無理だよ。あの二人を止められると思う?」
「はぁはぁ、シルエラ様!かっこいいですわ〜!私を私をなg「落ち着いて下さい」
アガリアレプトとベリアル、グラシャ、ガープ、リリス、アスタロトも集まってきていた。
キュッ!
ベルゼブブは石床をけり、シルエラに殴りかかる!
シルエラはそれをよけ、ガラ空きとなったベルゼブブの背中を掴み、夜闇に包まれる城外へと飛ばす!
「おおっーと!シルエラ様が、ベルゼブブ様を投げ飛ばしたー!」
「アガリアレプトさん…?」
「この実況はアタイ!アガリアレプトお送りいたしまーす!」
シルエラがベルゼブブに続き、外へと飛ぶ!
ズシャッ!ブォォッ!
ベルゼブブが地面すれすれに飛んでいると、地面から黒いトゲが生えてくる!
「おおっーと!シルエラ様の技が炸裂!これは、ベルゼブブ様が不利です!」
ベルゼブブは後ろに迫って来ているシルエラに正面を向けると、
「悪魔の炎!」
ベルゼブブの手に紫の魔法陣が現れ、魔法陣から紫の激しい炎が現れる!
ブオオオオオォッッ!
「っ!?」
シルエラは目の前の炎に驚き、炎を受けてしまった。
ブォオッ!
シルエラについた炎は消えず、シルエラらしい影は地面に墜落した。
「シルエラ様ー!」
「シルエラ様が地面に墜落してしまいました…。シルエラ様!シルエラ様!」
アガリアレプトの言葉を聞いて、悪魔達の間にどよめきが起こる。
「…え?」
「シルエラ様が負けた…でやす…」
「そんなことが…あるのかよ!」
「う、うっシルエラ様。シルエラ様…」
シルエラが負けた。驚愕を隠せない悪魔達をよそにアスタロトは笑みを浮かべる。
「リリスさん達、シルエラ様はこんな程度で死にはしませんよ」
「シルエラ様。こんな攻撃で死ぬなんて弱いわね」
ベルゼブブはまだ燃え続ける紫の炎を、蔑みの目で見る。
「これで、私は…ついに悪魔の王に!ウフフフッ!ウフフフフフッ!」
とベルゼブブ勝ち誇った様に笑う。
「悪魔の王になる…それが貴様の望みか…」
「!?」
怒りの篭った声に、ベルゼブブは恐る恐る後ろを向く。
そこには、赤い瞳を怪しく輝かせたシルエラがいた。
その赤い瞳にはとてつもない程の怒りが篭り、足まである白い髪、黒いドレスが優雅に揺れる。
赤い満月をバックにシルエラはこう言う。
「貴様を…始末する」
ーキャラクター紹介ー
ベルゼブブ…黒髪に赤い角を生やした男の姿をした悪魔。シルエラに次に強く権力がある。悪魔の王の座をシルエラから奪おうとしている。
“誰が腹黒くそおじさんかな〜?”
アガリアレプト…青い髪をポニーテールにした女性の姿の悪魔。姐御肌、頼れるということから悪魔に好かれている。お祭りなどイベント好きで、テンションがおかしくなる。
“この実況はアタシ!アガリアレプトお送りいたしまーす!”
次回も見てくれるかなー!?




