第一話 始まり
-君は知っているだろうか
この世界のどこかにあると言われるとある門を
この門の先には広大な自然と見たこともない生物が生息しており、まさに物語のファンタジーの世界だと。その門は真っ赤な色をしていて、人を惹き付ける謎の魅力があった。
その門を人々はRPG(red power gate)と呼んだ。
「なあ面白そうな話だろ?」
「ばっかじゃねーの」
俺は内心わくわくしつつも、それを感じさせないように言う。
「この話には続きがあってさ、門の場所を示す暗号があんだよ」
-天に最も近い場所に多いなる厄を避ける紫紺の珠を献上せよ。然すれば、自ずと門は姿を現すだろう
「天に最も近い場所ってのは、撫治山だろ?だけどこの多いなる厄を避ける紫紺の珠ってのがなんだか分からん」
「俺に聞かれてもそんなの知るか」
「おっはよー、何の話してんの?」
と悪友水谷と会話してると幼馴染みの杏樹が割り込んできた。
「おう栗谷。こんな噂話があるんだよ」
「へーしゅうちゃんはどう思うこの噂?」
「どう思うもねーだろ、ただの噂だろ」
と俺は一蹴する。
「我が友、柊よ。この噂の真実を調べるために放課後一緒に撫治山に向かおうではないか」
「やだよ」
「そんな冷たいこと言うなよ。どうせ部活やってないんだし暇だろ?」
「お前新聞部だろ?部活でなくていいのかよ」
「新聞のネタ集めにきまってるじゃないか」
「なおさら新聞部の奴といけよ」
「僕は新聞部で一番の下っ端。僕についてきてくれる奴なんていないさ」
「放課後俺とつるんで、部活サボってたからな」
「頼むよ。一生のお願い」
「それ何回めの一生のお願いだよ…」
「どうせ暇なんでしょ。行ってやったらいいじゃない」
「杏樹じゃあお前が行けよ」
「私部活があるから」
杏樹は陸上部だ。朝練に合わせて起きるのも面倒いから家が隣とはいえ登下校を共にすることは少ない
「ったくしょうがねーな」
まあ特に用事があるわけでもないし、ロープウェーもあるから登山もそこまで辛くないしいいだろう。
「よしじゃあ放課後な」
と水谷自分のクラスへ戻っていった。
「ねえしゅうちゃん」
「なんだよ杏樹」
「明日空いてる?」
「空いてるが」
「じゃあ見に行きたい映画あるから一緒に行こう」
「わかった」
杏樹は陸上で全国大会に行くレベルの実力者の反面、アニメとかが大好きなのだ。友達にそういう趣味の奴がいなくアニメ映画とかを見る時は俺を誘う。
「じゃあよろしく」
キンコーンカンコーン
「じゃあ席につけ」
そしてつまらない授業が始まった。
俺は成績はごくごく普通。学年でど真ん中の順位をキープしている。天は二物を与えずとか言うがあれは嘘だ。杏樹は陸上でも大活躍だが成績もものすごくいい。いつも学年のトップテンに入っている。そのためか男達からの人気もすごく、告白をされまくっている。しかし何故か全部断っている。好きな人がいるとか何とか。まったくそいつはどこのどいつなんだか。
暇なので爺さんの形見のネックレスをいじる。ん?ネックレスの先端の石そういや紫紺だな。まあまさかこれがあの珠なわけねーだろ。直径2センチくらいだし。
キンコーンカンコーン
「今日はここまで」
そして放課後
「じゃあね。しゅうちゃんまた明日」
「おう」
杏樹は陸上部へと向かい、俺は下駄箱に向かった。
「待ってたよ。愛しのマイエンジェル」
「きもい」
下駄箱で水谷が待っており、そのまま撫治山に向かった。
撫治山はこの国では一番標高が高い山であり、多くの観光客が立ち寄る。
そのためか半分くらいまではロープウェーが出ておりそれに乗って向かう。
「結局多いなる厄を避ける紫紺の珠ってのが何だかは分からなかったから取り敢えずそれっぽいものはいっぱい持ってきた」
大小様々な紫紺の色をした珠がバックの中に詰め込まれている。
「お前勉強道具は?」
「なんのことかな?」
水谷はこう勉強が得意そうには見えないが頭がいい。杏樹といい勝負をするくらいの点数をとるのだ。
「色んな骨董店行って、買い集めてきた」
「こういう時だけは行動力あるよなお前」
「いやあそれほどでも」
褒めてねーよ
そしてロープウェーが到着した。
こっからは歩きだ。
「じゃあ山頂を目指そう」
「おう」
撫治山はこの国で最も高い山だ。平日でも登山客は少なくない。しかし今日は人が1人も見当たらなかった。
「ひとすくねーな」
「珍しいこともあるもんだね」
そして山頂に到着。しかし人はいない。
「ラッキーだね。これなら心置きなく珠をお供えできるよ」
そして水谷が珠をどんどん置いていく。それを俺も手伝った。珠を置いている最中下を向いていたためか、ネックレスを落としてしまった。
すると、
ゴゴゴゴゴと凄まじい地鳴りがなり響き地震が起きた。
凄まじい地震に立っていられず、倒れ込むと目の前に大きな影が
この影がある大きさまで行くと急に地震は収まった。
なんだったんだ今のは
思いつつ立ち上がると深紅の巨大な門が、しかしその先はモヤがかかっていて見えない。俺は近くに落ちてた形見のネックレスを拾う。大事にしねーと親父に怒られるからな。
-ようこそ夢と希望と弱肉強食の世界へ
謎の声が、頭の中へと響いた。俺は何かの衝動に導かれ、門へと近づく。
ギギギギ…と寂れた音を立てて門は勝手に開く。俺は無意識のうちにその門の内側へと入っていった。