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異世界のキャンセラー~俺が不遇な人生も纏めてキャンセルしてやる!~  作者: 空地 大乃
第一部 異世界での洗礼編

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第9話 ギルド登録完了

「ちなみに退っ引きならない事情があって暫く活動出来ない場合にゃ、活動報告として休業届けも出せるにゃん。活用するにゃん」


 なるほど。その休業届けを出しておけばエタった事にはならないわけだな。

 ちなみに休業届けが出せる理由としては、病気、怪我などが主な原因としてあげられるそうだ。

 後は稀にだが、国の定めてる試験に挑むというのがいて、試験勉強の為に休業する場合もあるようだな。


 まぁ中にはそれを言い訳にするような、実はエタ冒険者というのもいるそうだが、まぁ俺には特に関係のない話だ。


 しかし退っ引きならないとか使うんだな。意味合いが微妙に違う気もしないでもないが。


「これで大体の説明はおわったにゃん。最後にギルドの冒険者としてやってはいけないことにゃん。先ずは依頼の情報を悪用することにゃん。護衛の任務を請けてその情報を盗賊に流すなどにゃん。以ての外にゃん。それと依頼人に不利益な行為を冒険者がやってはいけないにゃん。詐欺などもっての他にゃん。脅したり恐喝も駄目にゃん。後はギルド内の揉め事はご法度にゃん。他の冒険者を理由なく傷つけたり殺害する行為も当然禁止にゃん。これらの行為は厳しく処罰されるにゃん。場合によっては賞金首登録されて他の冒険者に首を狙われる事にもなるにゃん。絶対にやめて欲しいにゃん!」


 という事を笑顔で言うんだよなこの子。まぁいいけど。

 とりあえず俺は別に揉め事をおこしたくてきてるわけじゃないしな。

 ただ一点。


「襲ってくる相手への正当防衛は認められるのか?」


 これは一応確認しておかないとな。


「それは認められるにゃん。命の危険を感じたら存分に反撃するにゃん。殺しても大丈夫にゃん」


 殺してもって……いやまぁそうなることもあるだろうけど、笑顔であっさりいうんだな。 

 結構怖いかもこの猫娘。


「説明は以上で終わりにゃん。何か質問はあるかにゃん?」


 質問か――


「魔物から採れた素材はやはりギルドで買い取ってくれるのか?」


「そうにゃん。討伐した魔物は討伐部位が素材になってるケースが多いにゃん。それはギルドで買取るにゃん」


「討伐魔物以外は?」


「? おかしな事を訊くにゃんね。討伐の必要がない魔物はいないにゃん。魔物は常に討伐対象にゃん」


「でもさっき依頼には駆除依頼もあるっていっていたよな?」


「駆除依頼というのはある場所に魔物が集中した場合にでる依頼にゃん。個別の魔物は常に討伐対象にゃん」


 そういうことか。ゲームでは魔物を倒すとお金が手に入ったがリアルでは魔物がお金を落とすわけもないから、その代わりってところか?


「でもその討伐依頼ってのはどこが依頼してるんだ?」


「細かいことを気にするんにゃね。ハゲるにゃよ」


「余計なお世話だ」

 

 俺は唸るように言う。大体うちはハゲの家系じゃない。


「依頼は国と調整してギルドで出してる形にゃ」


 国と調整してか。それにしてもそれでお金は大丈夫なのか? と一瞬考えたがよく考えたら討伐部位が素材なんだったな。


 恐らくギルド経由でその素材をどこかに卸しているんだろ。

 つまり討伐といっているが、ギルドからしたら冒険者を使った素材の採取みたいなもんだな。

 

 討伐金も上手く利益が出るように調整されてるんだろ。国と調整ってのがいかにもそれっぽい。


「他に質問はあるにゃんか?」


 そうだな、そういえばひとつ大事な事があった。


「奴隷はギルドに登録出来るのか?」


 横でメリッサが、え!? と驚いたようにいってるけどな。まぁもしかしたらって事もあるしな。


「可能にゃん。但し奴隷の場合は最初の登録には奴隷主の許可が必須にゃん」


「奴隷主の許可か。それは書面でか?」


「書類は駄目にゃん。本人立会いのもとでないと許されないにゃん。隷属器の確認が必要にゃからにゃん」


「結構厳しいんだな」


「当然にゃん。逃亡奴隷を登録させたとあっちゃ一大事にゃん」

 

 やっぱ逃亡奴隷絡みか……


「もしかしてそっちの奴隷の子も登録希望にゃりか?」


 にゃりとか言い出したぞこの猫娘。


「いや訊いてみただけだ。まぁいい、俺からの質問は以上だ」


「……なんか偉そうにゃりね」


 放っとけ。


「まぁいいにゃん。証明証が出来たにゃん。でも渡す前に登録料を頂くにゃん。一五〇〇〇ゴルドにゃん」


「登録料かかるのかよ!」


「当然にゃん。常識にゃん。でも一括で払えにゃいにゃら、後払いも可にゃん。その場合は依頼料から差っ引くにゃん。どうするにゃりか?」


「いや、今払うよ」


 俺はそういって一五〇〇〇ゴルドを金貨で支払う。


「まいどありにゃん」


 その対応はどうなんだ?


「じゃあこれが冒険者証にゃん。ヒットにゃんの個人情報が登録されてるにゃん。絶対なくしたら駄目にゃん。失くした時の責任はギルドじゃ保証できないにゃん。悪用されてギルドに被害が出た場合は本人の責任にゃん。再発行は三〇〇〇〇ゴルドとるにゃん。更新は年一回にゃん。更新料はエキスパートまでは二〇〇〇〇ゴルドにゃん。エキスパート以上は無料にゃん」


 さらっと凄いことをいってる気がするな。

 この辺はゲームと全く違うな。てか更新料のほうが高いのかよ!

 エキスパート以上はタダなのに!


「まぁ取り敢えず登録も終わったしな。後は所有者変更と、盗賊の件頼むよ」


「判ったにゃん。こっちにくるにゃん」


 受付嬢に招かれるまま、俺は後ろから付いていこうとするが。


「あっと駄目にゃん! こっから先は冒険者以外は立入禁止にゃん!」


 猫娘は俺の奴隷(予定)であるメリッサを、手で制すようにして言い放つ。

 それにメリッサが戸惑いをみせるが。


「規則なら仕方ないな。メリッサ、先に戻って馬車を見ていてもらってもいいかな?」


「あ、はい。そうですね判りました。ではしっかり馬車は見張らせていただきます!」


 いや、まぁ本来は馬車見に任せてるから、ただここで待たせてるのはちょっと危険かなと思ってのことなんだけどな。

 ようは心配って事だ。照れくさいから馬車をだしには使ったけど。


 でも実際一応は女の姿もあるが、荒々しい冒険者ばかりだしな。

 こんなところにメリッサを待たせるなんて、飢えた狼の群れにメス羊を放り込んでるみたいなもんだ。


「あの少年も必要そうなら見張り続けていてもらっていいから」


「いえ! そんな私が戻るのであれば見張りは私の仕事ですので!」


 て、妙に気合入れて戻っていったな。まぁまだ一時間経ってないしお金は大丈夫かなとも思うけど……て、まぁあんな広い往来で何かあるわけもないか。

 

 ここで待たせてるよりは安全だろうしな。




「この盗賊は最近になってよく出没してた連中にゃん。被害も多かったにゃん。それを一人でやっつけるなんて凄いにゃん!」


 査定室に入って指示されたテーブルの上に首を置いたんだが、随分賞賛されてるな。

 こいつらがそんなに大したものか? 正直弱すぎて仕方なかったが。


「盗賊にやられたこの冒険者も全員アマチュアにゃん。それなりの腕にゃん。それがパーティー組んで挑みやられた相手にゃん。つまりヒットにゃんは強さだけで見るならアマチュア以上にゃん」


 恐らく褒められてるんだろうが、どうも微妙だ。アマチュアって響きが特にそうおもう。

 ゲームではそこまで感じなかったがな。


「それは俺のランクがすぐにでも上がるって事かな?」


 まぁでも一応気になるから訊いてみた。


「それはないにゃん。残念にゃがら実績はギルド登録してからでないと評価されにゃいにゃん。でもこの腕があればきっとすぐビギナー脱出にゃん。頑張るにゃん」


 うん。まぁそうだろうねっと。やっぱそう甘くはないか。


「それでこの盗賊の首で報酬は一人一五〇〇〇ゴルドにゃん。それと所有者変更も終わったにゃん。これで完了にゃん」


 ……一人一五〇〇〇か。なんか凄い凄い言われてる割に微妙な金額な気もするけどな。

 まぁ仕方ないか。


 取り敢えずは受け取るものも受け取り、俺は猫娘受付嬢に一応は礼を述べ、カウンターから離れた。


 そしてギルドを出る前に依頼書の貼られた掲示板を確認する――が、殆ど依頼といえる依頼がない。


「兄ちゃん新人さんかい?」


 掲示板を眺めてる俺に、ふと横から声がかかった。

 みるとハの字な口ひげを生やした中年冒険者がマジマジと俺の装備を眺めている。


「あぁそうだ。今日登録したてのビギナー冒険者のヒットだ。あんたは?」


「俺は名乗るほどのもんじゃねぇがモブだ、宜しくな」


 ……そうかモブなのか。


「それにしても兄ちゃん、新人にしてはいい装備してるようにみえるな?」


「そうか? まぁ見た目だけよくみえるようになハッタリだ」


 どうやらこの世界でも物の価値が多少は判る人間がいたようだな。

 まぁでも新人で登録している以上誤魔化してはいるが。


「そうか? まぁいいや、それより兄ちゃん。こんな時間に依頼書を探したって無駄だぜ」


 無駄? と俺は怪訝に尋ねた。

 するとモブはコクリと頷き。


「依頼を探すならそれに適した時間というのがある。貼りだされる時間が決まってんだ。依頼はいいものほど真っ先に取られていく。しかも冒険者なんてものはいつも仕事に飢えているから基本取り合いだ。あんたみたいにのんびり眺めていたら直ぐに仕事なんてなくなっちまうぜ」


 ……なるほどな。ゲームでは掲載期間が過ぎない限り、依頼がなくなるなんてことはなかったから迂闊だったな。

 

 でも確かに現実で言えばそうなるだろう。


「いつもこうなのか?」


「そうだな。領主が変わるまではもっと穏やかだったんだが、領主がかわり税が上がり、俺達の暮らしもかなり厳しくなってるんだ。その上依頼者の財布の紐も堅くなっちまって依頼料もかなり減ってきている。だから冒険者も少しでも美味しい仕事にありつこうと必死なんだ」


 領主の話はメリッサもいっていたな。そのせいでこんなところにまで影響があらわれているのか。

 全く迷惑な話だな。


「でも俺にそんな事を教えてくれていいのか? あんただって困るんじゃないのか?」


「まぁ確かにわざわざ新人にそんな情報を教える必要はねぇ! て考えてる奴らもいるが、俺は新人育成の大事さを判ってるつもりだからな。こうやって教えているわけだ」

 

 モブって名前のわりにしっかりとした考えを持った人だったよ。

 所詮モブとか思ってすんませんマジで。


「そうか大事な情報をありがとう」


「いいってことよ、あぁそれと――」


 モブは俺に依頼の貼りだされる時間を教え、その場から離れていった。

 おかげでかなり助かったな。

 ちなみに依頼が貼りだされるのは午前と昼と午後と夕方の四回だそうだ。


 で、そうなると今貼られているのは完遂依頼って奴だな。

 で、これはっと――


完遂依頼

・ナンコウ草の採取

条件 特になし

内容 アロエー森林に生えるナンコウ草を採取して来てください

報酬 一〇グラムに付き五〇ゴルド


 これは――薬草採取みたいなものか? 名前からしてそんな気はするが、報酬がグラム単位だから採れば採っただけ報酬が貰える感じだ。


 俺はマジックバッグをもってるしな。そう考えたら美味しい依頼かもしれない。

 ゲームにはなかった依頼だがアロエー森林自体は知っている。

 ここから西に行った先でゲームではそこまで離れていなかった筈だな。


 俺は大分落ち着いてきている受付嬢のひとりに声をかける。

 さっきの猫娘とは別だがまぁ誰でも同じだろ。


「ちょっと聞きたいんだがアロエー森林までは徒歩でどれぐらいだ?」


「アロエーの森林でしたら戦士系の冒険者で徒歩三〇~四〇分ぐらいですね。魔法系などでしたらもっとかかるかもしれませんが」


「そうか。それでこれは完遂依頼となっているが間違いないか?」


 俺は掲示板に一枚残った依頼書を指さしながら問いかける。


「はい。その依頼は途切れることがありませんので。それにアロエー森林のナンコウ草はどれだけ採っても、次の日の朝にはまた生えてくる程生命力が強いのです。ですから依頼自体は毎日ありますね」


 そうなのか? 採っても再生されるとはな――


「このナンコウ草というのは薬草なのか?」


「はい。ただこの草はそのままではあまり効果がありません。ドラッガーの手で調合し塗り薬に変えることで傷薬として役立っております。依頼されてる方は、この薬の大量生産によって一代で巨万の富を築いたほどです」


 ふ~んなるほどね。元はゲームの世界とはいえ、現実化すると色々な奴がいるもんだ。


「他には何かご質問はありますか?」


「いや、大丈夫だ。ありがとう」

 

 俺はそういって受付嬢に別れを告げ、ギルドを後にすることにした。


 まぁとりあえずはあれだな。明日は朝からアロエーの森に行くとしよう。

 朝早くからいけばかなり採れる気もするしな。

 マジックバッグの存在は本当にありがたいところだ。


 俺は一人明日の予定を考えつつ、ギルドを出て馬車に戻ることにするが――




「おいおい姉ちゃん。ちょっと一緒に遊びに行こうぜ」


「なっ! ちょ、やめてください!」


「そんな邪見にすんなよ、あんな男より俺たちといたほうがきっと楽しいぜ」


「なんだったら夜の方も俺たちの方が楽しませてやるからよ」


 ……なんだあの頭の悪そうな連中は?


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