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異世界のキャンセラー~俺が不遇な人生も纏めてキャンセルしてやる!~  作者: 空地 大乃
第一部 異世界での洗礼編

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第74話 ボンゴル商会壊滅作戦

「いらっしゃいませ~何かお求めでしたでしょうか? 本日もボンゴル商会オススメの品が大量に入荷しております! どうぞお好みのをお選びください!」


 俺達が店に入ると、出っ歯の男が、揉み手を見せながら近づき出迎えてくれた。


 恐らく今の俺達の格好が貴族然としたものであった事から、上客がやってきたとでも思っているのだろう。


 何故貴族が装備を? とも思えたりするが、貴族でも護身用の武器ぐらいは持ち歩くし、また観賞用として見た目重視の美しい装飾の施された逸品を求めてくる場合もある。

 

 そして当然そういった観賞用の方が値段は高いことが多いため、この商人もチャンスと思っているのかもしれない。


 ちなみにメリッサとカラーナもシャドウから借りた高級そうなドレスに身を包まれている。

 奴隷であることを隠すのはやめた方がいいという事で、そこは寧ろ堂々と見目麗しい奴隷を更に着飾り連れ歩くほどの成金貴族であると思わせることにしている。


 それにしてもこの出っ歯は――昨日も見てるからどうにも腹ただしい。

 正直今すぐパキッと折ってやりたい気分だが勿論思うだけだ。


 しかししょっぱなから、昨日ボンゴルの金魚の糞として付いてきていた男の店に来ることになるとはな。


 全く嬉しくて小躍りしてしまいたくなる思いだぜ。

 ちなみに向こうは全く俺達に気がついていない。シャドウから借りたカツラで俺とカラーナは金髪、メリッサは銀髪に変化している。

 これだけでも意外にバレないものである。


 まぁそんなわけで――俺は早速この出っ歯に体を向け、本題を切り出した。


「実は少々大きな買い物をしたくてね。わざわざここまで赴いたわけだが」


「へ? お、大きなですか? そ、それはどの程度で?」


「うむ。数千万ゴルドぐらいになる取引かな」


「す、数千万ゴルドーーーー!」

 

 店主は出っ歯が思わず抜け落ちそうな勢いで驚いた。

 その姿が滑稽で笑うのを堪えるのに大変だ。


「そ、それはまた。しかし本当にそのような大金を――」


「これと同じ金塊が何本もあるのだがね」


 俺はそういってバッグから五〇〇万ゴルドの金塊を取り出し見せてやる。

 出っ歯の目がキラキラと輝きだした。


「し、失礼いたしました! どうぞこちらへ!」


 言って出っ歯はカウンターにまで俺達を案内し、すぐさま俺の分の椅子を用意した。

 メリッサとカラーナの分が無かったので、おや私だけかな? と告げると、ペコペコ頭を下げもうふたつ椅子を用意しだす。


「そ、それで一体今日はどのようなものをお求め予定でしたでしょうか?」


 店主は少し興奮した声で俺に訪ねてくる。全く、何があっても逃さないという空気を発しまくってるな。


 でもそれでいい。その気持ちを精々利用させてもらう。


「うむ、実は、だ、私が今日欲しいのは――全部だ」


 俺が希望を告げると、流石に出っ歯を震わせ、奴は随分と驚いたように目を丸くさせる。


「ぜ、全部でございますか?」


「そうだ。私は一度目にしてからこの店のすべてが気に入ってな。だから全部売って欲しい」


 店主は口をあんぐりと開けて暫く固まっていたが、数秒してハッ! と我に返り。


「いや、しかし商品全部とは驚きですね。そうなると金額が相当に――」

「何を言っている?」


 俺は不満そうに眉を落とし、出っ歯に言葉を叩きつけた。


「私が欲しいのはこの店も含めて全部なのだよ。それを売って欲しい」


「はぁ!?」


 出っ歯が飛び出る勢いで驚いてくれた。反応が一々面白い男だ。


「こ、この店ごとですか?」


「そうだ」


「……いや、しかしそうなると流石に私の一存では――何せ話が大きすぎますからな」


「三五〇〇万ゴルドだそう」


「え!?」


 出っ歯はついでにその相手に媚びへつらうような瞳も大きく見開いた。

 やはりそういう反応できたか。当然だろうな。


 何せ俺は事前にシャドウから貰った情報でこの店の価値を知っている。

 店にある装備品そして建物と土地の価値を合わせてこの店の本来の相場は三〇〇〇万ゴルド――しかし俺はそれに五〇〇万ゴルドも上乗せしてやってるんだ。

 それを無視できるはずもない。


 ボロンゴ商会はこの街で随分と手を広げてやっているようだが、色々なことが重なり一つ一つの店の売上は軒並み減り始めていると聞く。

 

 まぁどう考えても自業自得な気もしないでもないが、だからこそこいつらは売上には敏感だ。そんなときに店ごととはいえ通常の相場より高く買うという客が現れたんだ。

 店主としては喉から手が出るほど欲しい話の筈だろう、が――

 

「さ、三五〇〇万、う、うぅ~確かにそれだけあれば、いや、でも、わ、わかりました! では直ちにボンゴル商会の責任者に確認をとりまして!」


 責任者というとボンゴルだろうな。だが当然だがそんな真似はさせるわけにはいかない。


「なんだこの店は! 店主がそんな事も決められないのか! 私は待つということが嫌いなのだよ。すぐに決断出来ないというなら私は帰るとしよう! 幸いこの通りの他の店では売るといっているしな!」


 俺は憤慨したフリをしてふたりと一緒に席を立った。勿論他の店の事は嘘だが、同じ商会同士とはいえ、こと商売に関してはライバル同士といえるだろう。


 つまりこの男からしたら、ここで俺を取り逃がすということは、他店に負けたという事になってしまう――そんな対抗心が沸き起こっている筈であり……


「……ま、待ってください! わ、わかりました! 売りましょう! この店ごと! 契約書をすぐ作成しますので座ってお待ちください!」


――掛かった!


「ではこちらが契約書になります。この店ごと三五〇〇万ゴルドで売るという形で――」


 それから色々説明はしてきたが殆ど聞き流していた。

 が、それにしても。


「ボンゴル商会のサインと印もしっかりあるのだが」


「あぁそれは、本来直接商会から貰う必要があるものですが、今回は私の方で代わりに記入しました。印も偽造ですがまぁ問題はないでしょう。これだけの取引ですからな。後でなんとでも言い訳は立ちます」


 偽造って……こいつら普段からこんな事ばかりやってるんだろうな。

 まぁ俺にとってはどうでもいいが。


「そうか。ところで今回の取引に関して俺から一つだけお願いしたいことがあるがいいかな?」


「はいなんでしょうか?」


「私が支払った後この店の品を確認する事になる。その間、まぁ一時間も掛からないと思うが立会人として見ていて欲しい。いいかな?」


「あぁなんだそんな事ですか。えぇ勿論大丈夫ですよ」


 店主が出っ歯を上下に揺らして満面の笑みを浮かべる。

 相当嬉しそうだ。まぁそうだろうな、今頃心のなかはウキウキしてたまらないといったところだろうが――


「ではこれが三五〇〇万ゴルドだ確認してくれ」


「はい、確かに五〇〇万ゴルドの金塊が七本でございますね」


「うむ、それではこれで取引は成立だな」


「はい! この店も商品も全てあなたのものでございます!」


「そうかわかった。では始めるぞ!」


「よっしゃあ、まかしとき!」


 俺が声をかけると、カラーナが張り切って返事するが、何かいつもの口調が戻ってるな。

 うん、まぁいいけど。


「え? 始めるですか?」


「しっかり見とけよ」


「は、はぁ、て! え~~! ちょ! 何を!」


 俺がマジックバッグから例の槌を取り出すと、出っ歯が慌て始めた。

 しかし契約上、今この店も商品も俺のもの、何をしようと――自由だ!


「さぁボス先ずはこれや!」


 そう言ってカラーナが俺に一本の剣を投げ渡してくる。

 それを俺はこの槌で――叩き壊す!」


「え! えぇえええええぇええぇええ!」


 店主は目玉と出っ歯が飛び出そうな勢いで驚く。

 だが! まだまだ!


「さぁどんどん寄越せ!」


「あいよ! ボス! はい! はい! はい! はい!」


「おら! おら! おら! おら! おら! おら! おら! おら! おら! おら! おら! おらぁああぁああ!」


「ひ、ひぇえぇえぇえ! せ、聖剣エロスカリバーがぁあぁあ! ザンネンゲツケンがぁあああぁ! マガムネがぁああぁ! ロクデモナロクがぁああぁああ!」


 全く煩いやつだ。全て売ったのだから喚くなよ。


「あ、あんたら一体――」

「まぁまぁ」

「へ?」


 メリッサが店主の隣に立ち、その腕を取る。

 うぅメリッサの巨乳にあんな汚れた腕が埋まるのは正直我慢できないが、仕方がない。

 この出っ歯を引き止めておく為だ。

 しかしどんな時でもやはり男は女に弱いものだな。


「さて! どんどんいくぞ!」

「あいよ!」


 こうして俺とカラーナで店の商品を尽く破壊していく。

 それにしても脆いな。勿論この槌がそれだけ優れているって事もあるだろうが、噂通りこの店の商品は手抜きも手抜きで耐久性に欠ける。


 全くまるで豆腐のようにあっさり粉々になりやがるぜ。


「商品は終わりやで!」


「よっし、じゃあ次は!」


 言って俺は店の壁を槌で殴り付け、バキバキに破壊していき、更に床をも叩き潰し――出っ歯の店主が唖然としている中、奴とメリッサの立つカウンターだけを残し、三〇分も経たない内に店は見事に瓦解した。


 うん、マジですっきりするなこれ。


「ふぅ終わった終わった」


 俺は額の汗を拭いすっきりした気持ちで声に出す。いい労働したって気分だ。


「……え~と随分と変わったことをなされるのですな……折角購入したものを、こ、壊すなど」


「うん最近ストレス溜まってたからな」


「な、なるほど。いやしかし大金叩いてストレス解消とは! 流石お金を持っていられる方は我々と考え方が誓いますな! まぁこちらとして売ったものをどうされようと問題ありませんが……」


「あぁその事なんだけどさ。この店は品物も最悪だし建物も脆すぎるしでどうしようもないから、やっぱ取引中止ね、だからお金返して」

 

 俺はにっこりと微笑んで手を差し出し、その出っ歯にそう告げる。 

 すると引き攣った笑顔で、ご、ご冗談を、なんていってくるものだからな。


「キャンセル――」


「へ? あ、え、え~と」


「買ったものをキャンセルだ。クーリングオフで頼むぞ。お金は返してくれるよな?」


「あ、はいどうぞ」


 店主はあっさりと俺に金塊を戻してきた。

 三五〇〇万ゴルド分確かにあるなっと。

 なのでそれをバッグに戻しっと。


「うん、確かに。いや~それにしても大変だな店も。商品も全てなくなってどうするんだこれから?」


「え? え? あ、あぁああぁああ! ど、どどおおおおおおおどおおっどおおお、どうすればぁああぁあ!」


「しょうがないな、助けてやろうか?」


「え? え?」


「この一〇〇〇kg入るマジックバッグを売ってあげてもいいぞ」


「せ、一〇〇〇キロ入るマジックバッグですと!」


 うん相当に興奮してるな。何せこいつは店をわけのわからない取引で失い、頭のなかはパニック状態だ。

 そこにこの価値ある逸品を売ろうと言うんだから当然飛びついてくる。


「本来はかなりの値打ちものだけど、今この店にあるお金全部で売ってあげよう。いくら用意できる?」


「しょ、少々お待ちを!」

 

 カウンターの中から出っ歯がお金を取り出した。ここだけ壊さなかったのは勿論このためだ。

 金は用意させる必要があったからな。


「ぜ、全部で一五〇万ゴルドですが……」


「オッケー売った!」


「ほ、本当ですか! あ、ありがとうございます!」


「いやいや、じゃあこれバッグね。で、俺は一五〇万ゴルド受け取ると」


「はい! 確かに!」


 喜色満面って感じだな。全く判断力が欠如してると思われるが、まぁとにかく。


「はい、じゃあそれをキャンセルだ」


「……え?」


「そのマジックバッグ返せ」


「あ、はい……」


「うん、ありがとう。それじゃあ後始末――精々頑張ってな」


 そういって一瞬にして奴を天国から地獄にたたき落とした後、俺達は店を後にし――


「う、ううううぅうううあああぁあぁあああぁあああボンゴル様の店がーーーーーー! お、お金がぁああぁあぁあぁ! なんてことだぁあぁぁ、終わりだぁああああ! ひゃ~~はっはっはっっはっは全部、ぜーーーーんぶなくなったあああぁあぁあ!」


 背中を撫でる絶叫に心地よさを覚えながら、俺は次の店を目指したのだった――

やられたらやり返す!ばい……というわけで結構無茶してますが

ボンゴル商会の店舗をどんどん壊します

次の更新は2015/04/06 0時頃予定


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