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異世界のキャンセラー~俺が不遇な人生も纏めてキャンセルしてやる!~  作者: 空地 大乃
第二部第三章 西部レフター領編

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第58話 一番槍は誰?

 マイリスの立てた作戦通り俺たちは動いた。門の前まで来て遠距離からの援護からの強襲で門番も騒がれることなく倒すことが出来た。


『首尾は上々みたいね』


 頭の中に直接マイリスの声が届いた。ジョブを手にしたことでスキルとして念話を覚えたようだ。


 便利だなそれ。


『あぁ門番は倒した。今なら気づかれず中に入れる』


 相手の念話にはこっちも念でやり取り出来る。やっぱり便利だ。

 

『わかったわ合流するわね』


 そして後からマイリスがやってきた。マイリスが手に入れたジョブ【ベーグム】は支援系のジョブだ。


 範囲内の仲間の能力を向上させたりといった物が多いが直に戦闘するには不向きなようだった。


 扱える武器スキルも玄人止まり。なんでも使用可能だが武器を扱う際の補助などはないようなので本人の腕に依存する形になる。


 ただマイリス本人が戦闘を得意としてないからな。だから前には出ずに常に後方からサポートしてもらうこととなる。


 メンバーが集結したが一斉に動くと目立つしいい的だ。今のところ気づかれていない雰囲気もあるが敵の本拠地だ。何が起きるかわからない。

 

「ならうちが行って見て来たるわ」


 そこで一番槍を買って出たのはカラーナだった。


「しかし、最初は危険だぞ?」

「ボス心配してくれてるんやな。ほんまうちのダーリンは優しいわぁ」


 ピタリと俺の肩に寄り添うようにしてカラーナに言った。む、胸が当たってるんだが……


「お前姐御から離れろよ!」

「何言うとんのや。うちから当ててるんやで」

「いや当ててるって……」


 アイリーンが文句を言ってきたがカラーナが自分の意志であることを伝えた。いや、照れくさいんだが。


「お前らこんな時にイチャイチャしてるんじゃない。少しは緊張感を持て!」


 クローバが目に角を立てて文句を言ってきた。ごもっともな意見です。


「そうカリカリしてもしゃあないやろ。あまり緊張してても逆に失敗するんやで? と、いうわけでボスも気楽にうちの活躍を見たってな」

「カラーナ……いつも済まない。危険な役どころを任せてしまって――」


 迷宮での探索などカラーナが先手を買ってくれる場面は多い。だがそれは危険が伴う行為でもある。


「問題なしや。うちは自分の仕事はわかってるつもりやし。ボスはもっとドンッと構えて命令したってくれればええんや。戦闘でも夜でもうちはボスの言う事なら何でも聞くつもりやし」

「ば、馬鹿!」


 ぐいっと顔を近づけてきてなにげにとんでもないことを言ってきた。夜って……


「姐御の背中はあたいが守ってみせますから!」

「うんうん。期待しとるで」


 張り切るアイリーンの頭をカラーナが撫でた。アイリーンの顔が蕩けたようになってる。


「だったらこっちからも一人連れてけよ。おいバード」

「わかりました」


 ガンダルに言われ鳥のような頭をした男がついていくことになった。確かジョブはスカウトだったな。


「私達の目的は冒険者ギルドの制圧よ。今町は冒険者に支配されてる。つまりギルドさえ抑えれば私達は勝てる」


 ふむ。確かに今の問題は冒険者が権力を持ちすぎてることだからな。ただ言うほど簡単なことじゃにあ。それはつまり町の冒険者全てを相手するようなもんだ。


 勿論マイリーンの予想通り夜で相手が油断していたらその限りじゃないんだが――


「ほな、行って来るで。ちょいちょい念話で確認してな」

「わかったわ」


 カラーナに言われマイリスが頷く。


「おいバード」

「なんですか頭?」

「……死ぬなよ」

「ははは、安心してや。俺は悪運だけは強いからな。そう簡単に俺の翼は折れないぜ」


 ガンダルに言われバードが薄笑いを浮かべ答える。そして三人が門の奥へ消えていった。






◇◆◇

sideカラーナ


 うちは一番槍として町の様子を見に行くことになったんや。アイリーンと盗賊のバードと合わせてスリーマンセルやな。


 バードはスカウトのジョブらしいんや。スカウトは偵察が得意やしスキルもそれ関係がそろっとるやねんて。


 それにしても町は静かやな――こっちも気配消してるし夜やからと言えんくもないけど静かすぎて逆に不気味や。


 それにボスには言うてへんかったけど、どうも順調に行き過ぎとるねん。


 気にし過ぎかも知れへんけどな。だけどそれ下手に言うとボスに心配かけそうやからな。それに、だからこそ逆にウチが最初に行くことに決めたんや。


「待て!」

「うん?」


 バードがうちらが進むのを制止した。何かあったんかいな?


「こっから先にかなりのトラップが仕掛けられてる。このまま行くのは危険だ」

「こっから先? そんなトラップがあったら姐御が先ず気づくはずだろ!」

 

 アイリーンがわけのわからん切れ方しとるで。うちも近くにあればトラップの位置ある程度わかるけどなぁ、あまり離れてるのは厳しいんや。


「俺のスペシャルスキルはコンプリートマップ。周囲の地図を完璧に把握できる。建物の構造も罠の位置もな。だから間違いない」


 それはまた便利なスキルやなぁ。確かにこういった偵察にはピッタリや。


「冒険者ギルドに向かうならちょっと遠回りだがこっちだ」


 バードの案内に沿ってうちらも移動した。せやけど、何やろか。妙な胸騒ぎを覚える……


「バード。あんたなんでこっちがいいと思ったん?」

「? さっきも言っただろ。俺にはコンプリートマップというスキルがある。それで把握した。この道以外はトラップが張り巡らされているんだよ」


 トラップが張り巡らされ――しもうた!


「あかんそれ自体がわ――」


 その時、耳をつんざく轟音が鳴り、うちの目の前でバードが爆発したんや――


「バードぉおおおぉおおッ!」

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