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異世界のキャンセラー~俺が不遇な人生も纏めてキャンセルしてやる!~  作者: 空地 大乃
第二部第三章 西部レフター領編

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第45話 意外な加勢

 突如現れた人形によって周囲が次々と爆破されていく。森の被害が半端ないなこいつら。しかもおそらく仲間と思われる冒険者を躊躇なく爆弾にしやがった。


「セット――」


 人形たちはまたセットと口にし、そのへんに散らばっている石やら枝やらを拾い投げつけてきた。


 それらは着弾すると爆発する。そういうスキルなのか……しかし何故人形が?


「キャンセル! キャンセル! キャンセル!」


 俺はとにかくキャンセルで爆弾を消した。だけど、切りがないなこりゃ。


「にゃん!」


 ニャーコが苦無を投げて人形に命中させる。すると途端に人形が爆発した。こいつら攻撃すると爆発するのも厄介だ。しかもいなくなった側からまた追加の爆弾人形が出現する。


「……御主人様、あの人形消せない?」

「人形、あ、そうか」


 セイラが俺に問いかけてきた。もし人形がスキルで出来てるならスキルキャンセルで消すことが出来るはずだ。試す価値はある。


「キャンセル!」

 

 俺は範囲効果をつけてスキルキャンセルを発動した。すると纏めて人形が消えていく。これは、予想通りか。


 とは言え、数が多い。しかも範囲指定のキャンセルを行使したから暫しキャンセル出来ない。


 その上、消したと思ったらまた人形が増えやがった。


「……二十体」

「その数がどうかしたのかセイラ?」

「……さっきから人形の数が二十体を維持されている。減ると増えるけど、それ以上は増えない」


 セイラが人形の方を見ながら言った。そうかつまりあの人形は最大で二十体しか同時に使役出来ないってことか。


 ただ、それでも正直多いぞ――


「……フェンリィ」

「ガウ!」


 セイラがエリンを抱っこし命じると、フェンリィが森の奥へと消えていった。セイラは何か思いついたようだが――


「フェンリィはどうしたんだ?」

「……この人形がスキルで生まれている以上、操っているのがいるのは間違いない。しかも増えるタイミングが的確なら、私達が見える場所に潜んでいる可能性がある」


 なるほど、言われてみればそのとおりだ。もしかしたら人形を通してこちらを見ているという可能性もあるが、だとしてもこれだけ新たに補充するタイミングが的確なら生み出してすぐ補充できる位置にいると見ていいだろう。


 それに元のゲームで考えればこの手の遠隔で動かすスキルはそこまで範囲は広くない。このわけのわかんない人形を生み出すジョブに心当りはないし、最近は知らないジョブ持ちも増えてはいるけどそういった基本的な部分は共通してると思う。


 それならばフェンリィほど頼りになる仲間はいないな。狼は五感が優れているし、きっと相手を見つけ出してくれるはずだ。


 だからいかせたわけか。そうなると眠ってるエリンを一緒には出来ないからセイラが預かったと。


「ニャーコ、それにスピニッチ。フェンリィがこの人形を操っている敵を見つけるまで持ちこたえてくれ!」

「おお、流石神獣フェンリルの子であられるな。頼りになります」


 スピニッチはフェンリルを崇めてるからか、フェンリィの評価が高いな。


「セイラ、エリンは俺が預かろうか?」

「……大丈夫。メイドの嗜みとして子どもの扱いには慣れてる」


 おお、そうか。セイラは最初はメイドだったもんな。今もメイド姿だし。


「にゃんにゃん来るにゃん」

「あぁ、だけど見ていてわかった。奴らのあの攻撃。セットする対象の質量で威力が変わるようだ。石や枝だと大して威力がない」

「そこに気がつくとは流石にゃん」

「なるほど。私としては正直心が痛いですが……既にこの辺りの森はメチャクチャですが、それが逆に幸いしてますか……」


 確かにノマデスの民であるスピニッチからすると素直に喜べないか……ただ、手当たりしだいに爆破した影響で爆弾化できそうな物は限られてくる。


 これなら爆弾の威力はもう気にしなくて――


「にゃ、にゃん! あいつら爆弾を生み出したにゃん!」

「は?」


 見ると、人形の手にそれぞれドクロマークのついた爆弾が握られていた。あいつら、爆弾を生み出すこともできたのか!


「にゃにゃ! 投げてきたにゃん!」


 くっ、キャンセルはまだ使えない! どうする!?


「私におまかせを! 我の弓は守りの弓! グレートウォールアロー!」


 スピニッチが弓を構え射ると、放たれた矢が途中で巨大な壁に変化した。直後激しい爆発によって壁が大きく揺れる。だが、爆発からは完全に守られた。


「これは、凄いな!」

「お役に立てて何より。しかし、これはスペシャルスキルですので、すぐに次とはいきません」


 スペシャルスキルか……確かにそれならクールタイムもそれなりに長くなる。


「壁はどのぐらい持つかにゃん?」

「十数秒で消えてしまいますね」

「……なら、一旦離れてフェンリィが戻るのを待つ」


 確かにその方が良さそうだ。この人形に構っていられる場合でもない。


 だから一旦離れようかと思ったが、壁の向こう側で更に激しい爆発が起きた。

 

 それでも壁は壊れない。かなり頑丈な壁のようだな。これなら――


「にゃん! 後ろから来たにゃん!」

「な、何だって?」


 ニャーコが叫び振り返ると、ぞろぞろとあの人形が姿を見せた。


 手には爆弾も持ってる。そうか壁の向こう側のに自爆でもさせて下手した上で追加の人形を回り込ませたのか!


「どうするにゃん?」

「とにかく、出来るだけ撃ち落とすぞ!」


 数が多いが、ある程度距離はある。全ては無理でも――


「お前らは正面からとにかく撃て! 俺らも援護する!」


 は? 何だ今横から声が? と、とにかく。


「爆弾を狙え!」


 俺はファルコンで爆弾を撃ち、スピニッチも弓で、ニャーコは苦無、セイラは鞭で飛んできた爆弾を撃ち落とす。爆発はしたが影響はない。


 何よりどこからともなく加勢が入り、横から飛んで来た手投げ斧やナイフ、矢が俺らが捌ききれなかった爆弾も撃ち落としてくれた。


 すると奥からぞろぞろと姿を見せる男たち。て、こいつら。


「全く情けないな兄ちゃん」

「え? お前、ガンダル!」


 驚いた。俺達に加勢したのは立ち去ったと思った盗賊のガンダル達だった――

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